【SEEDAを木村昴が語る】「出会いはやはり『花と雨』!日本語RAP新時代を創ったSEEDAについて語る!!(前編)」【HIPHOP HOORAY VOL.35 ヤングジャンプ公式】
『ヒプノシスマイク』で山田一郎役も務める声優界一の“ガチなヘッズ”な木村昴の日本語RAP連載!
2000年代半ば鮮烈に登場し、今なお大きな影響力を放つSEEDAについて。まずは前編です!
木村 昴 きむら すばる:1990年6月29日生まれ。ドイツ出身。『ドラえもん』ジャイアン/剛田武役、『輪るピングドラム』高倉冠葉役等を担当。『ヒプノシスマイク』ではイケブクロ・ ディビジョン代表Buster Bros!!!を率いる山田一郎役。天才劇団バカバッカを主宰。ラッパーとしても『フリースタイルダンジョン』にも出演していたラッパー・掌幻と“掌幻と昴”として活動中。
※本記事は週刊ヤングジャンプ2021年38号に掲載された内容をnote用に一部改変して収録しました。
出会いはやはり『花と雨』!日本語RAP新時代を創ったSEEDAについて語る!!(前編)
前回の“どこでもドア”特集で、SEEDAさんの『DREAMZ』をご紹介させていただいたので、その流れで今回はラッパーのSEEDAさんについてお話出来ればと思います!
——多くのラッパーに影響を与える存在であり、インタビューメディア“ニートtokyo”を立ち上げるなど、話題の尽きない存在ですね。
僕がSEEDAさんの作品に出会ったのは高校生の時、アルバム『花と雨』(2006年)でした
『花と雨』:日本のシーンにハスラーラップブームを起こした傑作アルバム。
——作品を題材に映画も作られたほどの、日本語ラップクラシックの1枚ですね。
リアルタイムでは聴けてなくて、ちょっと後追いで聴いたんですが、とにかく衝撃でしたね。アルバムのラストを飾る『花と雨』は、内容的に誰かを惜しむ曲だと察しはついたんですが、その背景を調べると、亡くなられたお姉さまの話で。そこでラップの持つリアルな、ノンフィクションな強さと同時に、内包される詩的な部分がむちゃくちゃ刺さったんですよね!それで興味を持って色んなSEEDA作品を聴き始めて、次作の『街風』(2007年)はとにかく聴きまくりましたね。中でも『MIC STORY feat.ILL BOSSTINO』は……なんて曲だ! って(笑)
——THA BLUE HARBのBOSSさんとのコラボ曲ですね。
この曲では“マイク稼業”、つまりラッパーとして生きる矜持を歌ってるんですけど、冒頭の喋りとサンプリングも印象的なんですよね。特にBOSSさんの“マイク稼業はやることやってるヤツが正義なんだよ”というセリフはシビれます!
——この言葉は数多くのラッパーが作品やバトルで引用していますね。
SEEDAさんのリリックも、いわゆるハスラーからマイクで生きることに向かう意思が強烈に出ていてむちゃくちゃリアル。もう歩くリアルですよ(笑)。そして『HEAVEN』(2008年)収録の『Son Gotta See Tomorrow』には、
SEEDAさんのエミネム的な感性が表れてると感じて
——それはどんな部分に?
この曲は、とある男の子と女の子の物語をSEEDAさんが紡ぐんですが、それがエミネムの『Guilty Conscience feat. Dr. Dre』に通じる部分があって。『Guilty Conscience』は、人の心の中の天使と悪魔をエミネムとドレがそれぞれ語る曲なんですが、共通するのは“自分ではない視点の歌詞”なんですね
——いわゆる“オレ語り”ではない歌詞と。
『花と雨』では自分のことを生々しくリアルに歌い、『Son Gotta See Tomorrow』では第三者の視点で歌う……その幅広さに“ラップってこういう表現もアリなんだ!”って驚いたし、その着眼点とリリカルセンスの高さ、そして詩的な情景描写がエミネムと通じる部分があるなって。でも『Son Gotta See Tomorrow』で描かれるような夜の街に沈む人、ドラッグで捕まる人はSEEDAさんが見聞きしたリアルな世界でもあるから、第三者視点なのにすごくリアルなんですよね。その突きつけられる現実感と哀愁は、SEEDAさんならではなのかなって。あとビーフを起こす部分もエミネムと共通するかなと(笑)
——特にTERIYAKI BOYZ(R)との『TERIYAKI BEEF』はラップシーンを賑わしました。
TERIYAKI BOYZ(R)の『SERIOUS JAPANESE』で、VERBALさんがSEEDAさんの『Sai Bai Man Feat.OKI from GEEK』のフレーズをサンプリングしたことで勃発したビーフで。
僕はTERIYAKI BOYZ(R)も大好きだったんですけど、自分の意思を通してメジャーに物申すSEEDAさんの姿はすごく格好良かったし、VERBALさんのラジオにSEEDAさんが出演して和解するんですけど、そこでSEEDAさんはバチバチのフリースタイルをかますっていう、一番格好いい決着を見せてくれて!そのSEEDAさんの曲を次回もっとご紹介させてください!
最後までお読みいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!
撮影◎門嶋淳矢
取材・文◎高木“JET”晋一郎
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