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【夏ソングを木村昴が語る】「ウツウツとしちゃう時期なので、ちょっと前倒しで夏ソング特集!」【HIPHOP HOORAY VOL.32 ヤングジャンプ公式】

『ヒプノシスマイク』で山田一郎役も務める声優界一の“ガチなヘッズ”な木村昴の日本語RAP連載!

HIPHOPでも意外と定番ジャンルである“夏ソング”。日本語ラップの名曲サマーチューンについて語る前半行きます!

木村 昴 きむら すばる:1990年6月29日生まれ。ドイツ出身。『ドラえもん』ジャイアン/剛田武役、『輪るピングドラム』高倉冠葉役等を担当。『ヒプノシスマイク』ではイケブクロ・ ディビジョン代表Buster Bros!!!を率いる山田一郎役。天才劇団バカバッカを主宰。ラッパーとしても『フリースタイルダンジョン』にも出演していたラッパー・掌幻と“掌幻と昴”として活動中。

※本記事は週刊ヤングジャンプ2021年30号に掲載された内容をnote用に一部改変して収録しました。

ウツウツとしちゃう時期なので、ちょっと前倒しで夏ソング特集!

梅雨をすっ飛ばして夏ソング特集なんていかがでしょうか

——サマーソングは洋邦問わずヒップホップでは定番テーマですね。

懐かしの夏クラシック的な

——いいですね。韻も踏んでるし。

夏い懐メロ、いや、懐い夏メロかな……

——どっちかって言うと……どっちでもいい(笑)!

確かに(笑)。夏って明るさと寂しさの両面があるじゃないですか。なので“夏真っ盛り編”と“夏の終わり編”の2部構成で行ければと。今回は夏真っ盛り編ということで、まずはDef Techの『Pacific Island Music』

——200万枚を売り上げた1stアルバム『Def Tech』(2005年) の1曲ですね。

ポコポコっていう水中から空気が立ち上る音で始まるのも、海をモチーフにすることが多いDef Techらしい入り口で。内容的にも、海でつながった島々(注:ハワイと日本)をコネクトして、団結しようぜってメッセージの曲なんですよね。当時のDef Techのライヴもこの曲が1曲目になることが多くて、この曲を聴くと“ライヴが始まる!”ってワクワクさせられます

——大ヒットした『My Way』はメロウな感触でしたが、こちらは派手で明るい曲ですね。

ご機嫌な曲ですね。Def Techは『Irie Got〜ありがとうの詩〜』で“痛みを伴わない音楽は僕は好きじゃない”とメッセージするように、リスナーをハッとさせるような深い言葉も多いんですが、この曲はそういったディープさよりも、楽しさに貫かれた曲だと思います。

同じように楽しい一曲といえば、鎮座DOPENESSさんの『T.U.B.E.』

——2013年リリースの1曲ですね。

夏の捉え方って本当に人それぞれで、曲によっても全然景色が違いますよね。その中でも、夏をとにかくポジティヴに捉えてたのがこの曲。サビからして“待ってましたっ! って感じのシチュエーション”ですから

——夏の真っ昼間な雰囲気ですよね。

ここまでど真ん中で盛夏を満喫してる曲は逆に珍しいぐらい。MVもグアム!
ウォータースライダー!海!みたいな。めちゃくちゃ夏楽しんでるじゃん!っていう(笑)。鎮座さんのラップ自体、超独特の発音とフロウで、そのグルーヴ重視のラップが冴え渡ってますね。リリックも一行一行が夏の楽しさを感じさせるような言葉遊びにもなってて

——スチャダラパー『サマージャム'95』やRIP SLYME『楽園ベイベー』の引用もあって。

そういう引用があると、曲の中で異なった世界線が接続されるような感触があって、それが曲自体の立体感につながったり、リスナーが感じる情景も変化して楽しいですよね。ではお話に出た『楽園ベイベー』に行きましょう

——ヒット曲揃いの『TOKYO CLASSIC』(2002年)の中でも屈指の有名曲ですね。

『TOKYO CLASSIC』:『楽園ベイベー』が収録された『TOKYO CLASSIC』は100万枚を売り上げたミリオンセラーアルバム!

僕が小6のときにリリースされたんですが、このアルバムは隅々まで歌詞を覚えるぐらい聴きましたね。ただ、家族の前で聴いちゃダメです。全体的にきわどい歌詞が多いアルバムですが、『楽園べイベー』は……

——PESさんですね。

PESさんです(笑)。リビングで聴いてて、PESさんの最後のリリック“イメトレだけでまた今日もオナる〜”で家が固まりましたね(笑)。しかも母ちゃんも“……どういうこと?”って(笑)

——見逃してくれなかった(笑)。

もうその瞬間の記憶の鮮明さたるや(笑)

——ハッハッハ。この曲ってすごくモテモテなイメージがあるけど、RYO-ZさんとPESさんは全然モテてないんですよね。

罠ハマっちゃってるし(笑)。ILMARIさんとSUさんのヴァースも情景描写がメインで、モテ描写はないんですよね。でも開放感は最高だし、こんなカラッとした夏を過ごしてみたいもんですよね〜。僕も楽園でいつかベイベーに会える日を期待してます(笑)。みなさんも心の中のベイベーを想像しながら、
きたる楽園の夏を待ちましょう。もうちょっとの辛抱です!

最後までお読みいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!

撮影◎門嶋淳矢
取材・文◎高木“JET”晋一郎

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