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【KEN THE 390を木村昴が語る】「当連載3回目のゲストは日本を代表する知性派・実力派ラッパーKEN THE 390さん!!」【HIPHOP HOORAY VOL.31 ヤングジャンプ公式】

『ヒプノシスマイク』で山田一郎役も務める声優界一の“ガチなヘッズ”な木村昴の日本語RAP連載!

『フリスク』『DEVILMAN』『ダンジョン』と共演歴多く、“一番お世話になってるラッパー”のKENさん登場で当然トークも弾みます!

木村 昴 きむら すばる:1990年6月29日生まれ。ドイツ出身。『ドラえもん』ジャイアン/剛田武役、『輪るピングドラム』高倉冠葉役等を担当。『ヒプノシスマイク』ではイケブクロ・ ディビジョン代表Buster Bros!!!を率いる山田一郎役。天才劇団バカバッカを主宰。ラッパーとしても『フリースタイルダンジョン』にも出演していたラッパー・掌幻と“掌幻と昴”として活動中。

※本記事は週刊ヤングジャンプ2021年28号に掲載された内容をnote用に一部改変して収録しました。

『ダンジョン』でのムチャ振り事件とは!?

——KENさんが審査員、昴くんがナレーションを務めた『フリースタイルダンジョン』や、お互いに作品制作に参画している『ヒプノシスマイク』など、縁の深いお2人ですが、そもそもの出会いは?

KEN THE 390 ケンザサンキューマル:ラッパー。音楽レーベル“DREAM BOY”主宰。フリースタイルバトルで実績を重ねた後、2006年アルバム『プロローグ』でデビュー。日本全国のほかタイ、ベトナム、ペルー等の海外でもライブ経験あり。『フリースタイルダンジョン』審査員としての的確なコメントにも定評が。

「フリスクのCMですよね」

KEN「そうだね。あれが2016年」

「KENさんは出演に加えてラップの制作も手がけられて。なのでKENさんが僕の思いやヒストリーを汲んだラップを、僕の登場パートに向けて書いて下さって。そこでジャイアンの声をやってることを織り込んでくれたり」

KEN「“リサイタル”っていう言葉で韻を踏んだのは初めてだった(笑)」

「“やるべきこと人の2倍やる/から目指す武道館リサイタル”ですよね」

KEN「めちゃくちゃラップが上手かったし、そこでラップが好きだってことも知って。だから今回は僕が書いたけど、自分で書いてもいいラップするだろうなってあの時に思ってた」

「嬉しいです!」

KEN「そのあとがアニメ『DEVILMAN crybaby』(2018年)」

「般若さん、YOUNG DAISさん、AFRAさん、KENさんの中に僕が入れてもらうっていう……その時の事は以前にこの連載でもお話してるんですが、激烈緊張しましたよ!」

KEN「世界観をまとめるために俺が全員分のリリックを書いたんだけど、それこそ俺自身、般若さんのヴァースを書くっていう超プレッシャーがかかる仕事だった(笑)」

「以降もヒプマイはもちろん、“掌幻と昴”でもKENさんのイベントに呼んでいただいたり、『フリースタイルダンジョン』でもお世話になって。だからラッパーの中で一番お世話になってる方と言っても過言ではない」

KEN「『ダンジョン』の特番でも一緒になったよね」

「そう! あの特番はERONEさんや呂布カルマさん、FORK (ICE BAHN)さん、輪入道さんのような、豪腕ラッパーが集結してたんですけど、番組エンディングでフリースタイルセッションが始まって。だから僕は見つからないようにステージの後方で息を殺してたんですけど、ラップし終わったKENさんがマイクを僕のところに持ってきて“やんなよ!”って(笑)。超嬉しかったですけど、めちゃくちゃ緊張して」

——突然のパワハラが(笑)。

KEN「違うよ(笑)!せっかくの機会だからと思ったのと、昴くんとはラップの仕事でいつも会ってるから、僕の中では完全にラッパーとして認識してて、“あ、まだマイク持ってないラッパーがいた!”って感じで自然に渡したんだよね(笑)」

「一度“あのアニメ見たよ!昴くん、声優も出来るんだよね”って仰ってましたよね」

KEN「あはは! そうだっけ?」

「ありがたいお褒めの言葉として受け止めております!」

後半は、他のラッパーと比べて特に多い印象の、KENさんの提供仕事に関して。『ヒプマイ』論としても画期的な内容なのでは!?

『ヒプノシスマイク』で、フィクションならではのラップのリアリティーを感じた!

「僕がKENさんの作品に触れたのは、おそらく『MY LIFE』(2007年リリース)。不良とは違う、いい意味で“普通の感覚”を感じるラップがあるんだ、って。一方で、DJ JINさんプロデュースの『超・ラップへの道feat.TAROSOUL,DEJI』みたいにラップ的にはめちゃハードな楽曲もあって、
そのバランスが凄く興味深かったんですよね。それから『What's Generation feat.RAUDEF,SHUN,KOPERU,日高光啓 a.k.a.SKY-HI』みたいに、いろんなラッパーとコラボされてて、KENさんのCDから今まで知らなかったラッパーを知ることも多くて。しかもその参加ラッパーの幅が超広いじゃないですか。
そこに柔軟性と審美眼、公平さを感じるんですよね」

KEN「嬉しいな。やっぱり自分の根本はクラブやライブハウスっていう“現場”だから、そこでの繋がりがやっぱり大事で」

ニューアルバムはHIP HOPのフルコース!

「でも楽曲提供のような外仕事もされるフレキシブルさがすごいですよね」

KEN「サラリーマンのときは、昼は会社、夜は制作っていう生活だったんだけど、その感覚はいまの外仕事と自分の制作っていう両輪とも繋がってる。だから“やるべきこと”と“やりたいこと”の両方が自分には大事だし、それが刺激になるんだよね」

「なるほどな〜。舞台や役者にもトライされてますよね」

KEN「例えば物語やドラマの中にラップが絡むと、曲ともセリフとも違う、独特の表現が生まれる場合があるんですよね。ミュージカルにとっての歌のように、役と物語、背景にラップがマッチした瞬間、凄く感情を揺さぶるものになる。特に『ヒプマイ』にはそれを強く感じて。ラップって、リアリティがないとつまらないんだけど、その“リアル”は単に現実世界を意味してるわけじゃなくて、フィクションの中にも“その世界の中のリアル”があると思う。そしてそれを成立させるには、演技力や表現力が必要だと思うんだけど、『ヒプマイ』は世界観の設定とそれに伴った楽曲を、声優さんがしっかりと表現しているから、そのリアリティが担保されて、すごく“リアル”な世界が生まれてると思う」

「めちゃくちゃ嬉しい!ヒプマイを始めたとき、お客さんは楽しんでくれても、ヒップホップシーンからは“フェイクだ”って思われるんじゃないかなって。でも、僕らなりにヒプマイの世界をリアルに感じて欲しいと思ってたし、KENさんにそう言って貰えるのは凄く嬉しいですね。だから今のコメントの音声ください。目覚ましにします(笑)!」

——ハハハ。そしてKENさんはニューアルバム『en route』をリリースされたばかり。

『en route』:1stから15周年のタイミングに放った11thアルバム。般若、R-指定、PES、漢a.k.a.GAMI、SKY-HI、TARO SOULと豪華ゲストを迎え、サウンド的にもジャンルレスな意欲作に。

「個人的には『Overall feat.R-指定,般若』をまず聴いて欲しい!ラップの達人の3人がバチバチにラップで噛み合うさまは、めちゃくちゃスリリングでした。いつも『おはスタ』の楽屋で聴いてます(笑)」

KEN「『おはスタ』ってそんなに気合い入れなきゃいけないの(笑)!?」

「そういうハードな曲から、ディスコっぽい曲、メロディアスな曲まで、とにかく幅広いですよね。参加アーティストも含めて、1枚のアルバムでヒップホップのフルコースを食べたような満足感がありました」

KEN「ありがとう。15周年アルバムだから、自分にとっても集大成になったと思ったんだけど、でもやっぱりまだ道の途中だと思って『en route』っていうタイトルにして」

——ちなみに“KEN THE 390 feat.木村昴”はイメージできますか?

KEN「全然イメージしてるし、いつか一緒に出来たらなって」

「マジですか! 叶う日を待ってます!」

最後までお読みいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!

撮影◎門嶋淳矢
取材・文◎高木“JET”晋一郎

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