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【SEEDAを木村昴が語る】「SEEDA編後編!その独特なリリックの世界にさらにDEEPに迫る!」【HIPHOP HOORAY VOL.36 ヤングジャンプ公式】

『ヒプノシスマイク』で山田一郎役も務める声優界一の“ガチなヘッズ”な木村昴の日本語RAP連載!

日本語RAPシーンを変えたSEEDA。ありがちな俺語りを超えたリリックのスケール大きさを伝えたい!

木村 昴 きむら すばる:1990年6月29日生まれ。ドイツ出身。『ドラえもん』ジャイアン/剛田武役、『輪るピングドラム』高倉冠葉役等を担当。『ヒプノシスマイク』ではイケブクロ・ ディビジョン代表Buster Bros!!!を率いる山田一郎役。天才劇団バカバッカを主宰。ラッパーとしても『フリースタイルダンジョン』にも出演していたラッパー・掌幻と“掌幻と昴”として活動中。

※本記事は週刊ヤングジャンプ2021年40号に掲載された内容をnote用に一部改変して収録しました。

SEEDA編後編!その独特なリリックの世界にさらにDEEPに迫る!

前回に続きSEEDAさんについてお話させて下さい。やはりSEEDAさんの大きな功績の一つに“バイリンガルスタイルのラッパー像を更新した”ということが挙げられると思います

——SEEDAさんはイギリスからの帰国子女で、英語も堪能ですね。

しかも“英語が使えまっせ!”じゃなくて、ラップの中で日本語と英語が自然にシームレスにつながっていて、言葉が混ざっていても、聴いていて違和感がないんです

——今はそのスタイルがシーンのスタンダードになっていますが、そこにSEEDAさんが与えた影響は計り知れないですね。

バイリンガルスタイルって、当時はちょっと違和感を感じる人も多かったんですね。でも、そういう二刀流の凄さを作品として証明したのがSEEDAさんだと思います。僕自身、英語をちゃんと勉強しようと思ったのは、SEEDAさんとエミネムの影響が超大きくて。日本語だけじゃなくて、英語も使えるのがこれからは当たり前になっていくだろうし、自分の可能性もそこで広がるな、って思わされたのは、その2人の作品を聴いてからでしたね

——ではSEEDAさんの楽曲で昴くんのフェイバリットは?

大好きな曲は沢山あるんですけど、一番聴いてるのは『街風』に収録された『AROUND MY WAY』かなぁ。この曲のBPMは、僕の歩くスピードにぴったりで、家の近所を歩くときなんかはよく聴いてます。歌詞にも“かっこつけねー 近所をただウォーキング/かっこつけてー ビート上ウォーキング”って箇所があって、内容ともリンクするんです

『街風』:『花と雨』で注目を集めた後、期待がかかる中2007年にリリースされたメジャーデビューアルバム。

——シンプルな言い換えなんだけど、本質をついたリリックですね。

そういう突き刺さるリリックがSEEDAさんは本当に多いんですが、詩的なセンスが詰まってるのが『23edge』収録の『LIVIN'』。まず冒頭から“地獄へと天国を歩いている”……どういうこと? っていう(笑)。でもそこで“なぜだろう?”と思わせることによって、リスナーの脳内が刺激される。このフレーズも明快なイメージは浮かばないかもしれないけど、でも何も見えないわけじゃないですよね

——確かにぼんやりとヴィジョンが浮かびますね。

“淋しくなって時に間違え/愛されたいけど人を愛せぬ”っていうフレーズも、100人聴いたら100人とも浮かぶイメージは違うと思うんです。でもその明確に言わないからこそ生まれる、断片的な言葉ゆえの、イメージ喚起の強さと重みがこの曲の特徴で

——ちょっと哲学っぽい感触がありますね。

そう。僕は聖書を読んでるような気持ちになったんですよ

——詩篇で理解させるというか。

刺さるフレーズも人によって違うと思うし、SEEDAさんがこの曲に込めた思いも、僕の想像とは全く違うかも知れない。でも、そういう曖昧なフレーズを自分の中でつなぎ合わせて、自分なりの理解と解釈をするのが楽しいんですよ。自分の中で超重要だと思ったフレーズは“20までに30が決まる/30までに50が決まる”……もう“タトゥーで入れようかな!”と思ったぐらい(笑)。それぐらい自分にとっては重要な言葉で。18でこの曲を聴いたときから、そう思いながら人生の選択をしてきたし、ちょっと前30歳を迎えたんですが、いま50が決まると思うから、この1年をより大事にしようって。だから僕の人生の価値観を決めてくれた曲ですね

——僕も10代で出会いたかったな〜(笑)。

今からでも遅くないから(笑)!この曲は他のフレーズでも人生や生きることに対するメッセージが沢山込められてると思うし、その表現もすごくドラマティックなんですよね。とんでもなく深い、壮大な映画を観たような、大スペクタクルラップなので、ぜひ劇場で!……じゃなかった(笑)、ぜひその耳で体感して下さい!

最後までお読みいただきありがとうございました!

撮影◎門嶋淳矢
取材・文◎高木“JET”晋一郎

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