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【木村昴の持ち込み企画!】「超絶独自企画!!日本語ラップに出てくる“どこでもドア”特集!」【HIPHOP HOORAY VOL.34 ヤングジャンプ公式】

『ヒプノシスマイク』で山田一郎役も務める声優界一の“ガチなヘッズ”な木村昴の日本語RAP連載!

今回は木村さん持ち込み企画!この連載でしかあり得ないオリジナル切り口!!ラッパーたちはドラえもんの道具に何を見出したのか!?

木村 昴 きむら すばる:1990年6月29日生まれ。ドイツ出身。『ドラえもん』ジャイアン/剛田武役、『輪るピングドラム』高倉冠葉役等を担当。『ヒプノシスマイク』ではイケブクロ・ ディビジョン代表Buster Bros!!!を率いる山田一郎役。天才劇団バカバッカを主宰。ラッパーとしても『フリースタイルダンジョン』にも出演していたラッパー・掌幻と“掌幻と昴”として活動中。

※本記事は週刊ヤングジャンプ2021年35号に掲載された内容をnote用に一部改変して収録しました。

超絶独自企画!!日本語ラップに出てくる“どこでもドア”特集!

ドラえもんに関するワードって、ヒップホップのリリックにもけっこう登場するんですよ

——MUROが『病む街 pt.2』で“ドラえもんのFat Pocket”ってラップしたり、福岡のPEAVISが『Nobita』っていう曲を作ったりしてますね。

その中でもひみつ道具の定番中の定番、“どこでもドア”が使われた楽曲3曲を紹介できればと。まずはこの連載初期にもご紹介した韻シストの『Artis-tech』

——2007年のアルバム『GOURMELOGIC』収録曲ですね。

アーティスティックに動き続けるためのテクニック、ヒップホップを通してアートに関わること、ラッパーやヒップホップ・バンドとしての意思みたいなことを歌った曲です。その中で、ラッパーのサッコンさんのヴァースに登場するんですが、“丹精”“歓声”“反省”みたいに、【A/N/E/I(E)】で怒涛の11連踏みしていって、その最後の“どこでもドア”では踏まないっていう(笑)

——急な踏み外しが(笑)。

ただ、それによって“どこでもドア”ってワードを際立たせる技な可能性も大ですね。この曲でのどこでもドアは、“お客さんを別世界に連れて行くよ! リスナーを楽しませるぜ!”っていう“イキり道具”として使われているんですよね

——初めて聞くひみつ道具のジャンルだな(笑)。

でもそのイキった感じがキュート!そういえば韻シストからBASIさんの脱退が発表されましたね。すごく残念なのと同時に、新ラッパー募集してないかな……(笑)。そしてNORIKIYOさんの『秘密』にもどこでもドアは登場して

——2011年リリースのアルバム『メランコリック現代』収録です。

生きてればルールやモラルに反することに手を染めてしまうこともある、それが人生……といいつつ、それで本当にいいのか? っていう問いかけも含まれた曲で。この中でどこでもドアは、“タフで居ないとさ頭が変になる/はちきれそうだドコでもドア/望めばほら…We have it"っていうリリックで登場するんですが、僕の解釈としては、どこでもドアに助けを求めてしまうぐらい、人生は難しいってことを歌ってるんだと思うんですね

——ある種の現実から逃避する為の道具という感じですね。

そしてどこでもドアに救いを求めているけど、もしかしたら自分たちはすでにそれを持ってるのかも知れない、それは色んな形で……っていう想像もさせる切りロになってると思うんですね。一方でどこでもドアに夢を託しているのが、SEEDAさんの『DREAMZ』

——2012年リリースの『23edge』に収録されました。

『23edge』:『DREAMZ』収録。SEEDA名義9作目、EMIミュージック2作目となるアルバム。

人が世界や未来に対して持つ願望や希望としての夢がテーマになっていて。ひみつ道具に通じる言葉も多いんですよね。例えば“絶対飛びたい”は“タケコプター”にも通じるし

——“動物と話せるナイスな将来”は“ほんやくコンニャク”が浮かびますね。

“一流シェフが珊瑚壊す藻 おいしく料理バカンスの夜”は“グルメテーブルかけ”かな。ひみつ道具が出すぎて『劇場版ドラえもん』ですよ(笑)。そして“愛の数だけある愛がそば/会えない魂に会えるどこでもドア”っていうリリックがあって。これは場所を移動するだけじゃなくて、亡くなった方、会えなくなった人の魂に会えるどこでもドアがあるといいよね、っていう希望を歌ってると思うんですよね。だから本来のどこでもドアの使い方から一歩踏み込んだSEEDAさんの解釈が面白いんですね

——この3曲だけでもどこでもドアに対するイメージがみんな違いますね。
だけどどこでもドアの存在は、誰しも共有できるっていうのは国民的アニメだからこそ。

誰しもがその効果や見た目をイメージ出来るけど、解釈は違うのがどこでもドアの幅広さかなと。結局、今回何が言いたかったかといえば、みんなドラえもん観てね(笑)!

——まさかのオチ(笑)!

最後までお読みいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!

撮影◎門嶋淳矢
取材・文◎高木“JET”晋一郎

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