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【フッドスター・ZORNを木村昴が語る】「前編に続いてテーマはZORN。そのキャリアと作品を振り返る中編!」【HIPHOP HOORAY VOL.21 ヤングジャンプ公式】

『ヒプノシスマイク』で山田一郎役も務める声優界一の“ガチなヘッズ”な木村昴の日本語RAP連載!

前回は地元新小岩での衝撃の出会いエピソード中心でしたが、今回は作品とそこに込められたスキルについてじっくりと。語り足りなすぎてさらに続く展開に〜!

木村 昴 きむら すばる:1990年6月29日生まれ。ドイツ出身。『ドラえもん』ジャイアン/剛田武役、『輪るピングドラム』高倉冠葉役等を担当。『ヒプノシスマイク』ではイケブクロ・ ディビジョン代表Buster Bros!!!を率いる山田一郎役。天才劇団バカバッカを主宰。ラッパーとしても『フリースタイルダンジョン』にも出演していたラッパー・掌幻と“掌幻と昴”として活動中。

※本記事は週刊ヤングジャンプ2021年6・7号に掲載された内容をnote用に一部改変して収録しました。

ZORN THE DARKNESS時代からの変化と進化がスゴい!

前回に続いて、僕の地元でもある新小岩をレペゼンするラッパー・ZORNさんについてお話させて頂きます

——前回のお話では1stアルバム『心象スケッチ』(2009年)からZORN作品を聴かれてたということですが。

名前がZORN THE DARKNESSだった時代ですね。もっとハイトーンで、言葉の多さでリスナーをなぎ倒すようなスタイルで、そのパワーに圧倒されてしまったのか、最初に聴いたときは正直ピンと来なかったんですが、聴き進めるうちにどんどんハマっていって。

それから般若さんの主宰するレーベル『昭和レコード』に合流されたり、いろんな経験や作品作りの中でどんどん作品の内容も強くなっていったと思うんですよ。これは完全に僕の妄想ですけど、ご結婚されたりお子さんが生まれたりっていう人生の変化があって、それと並行してラッパーとしても成長していく中で、価値観や考え方が大きく変わったんじゃないかなって。それが作品の中に反映されていったように思えるし、作品を追って聴くとすごく変化を感じるんですよね

——現在はソロレーベル『All My Homies』を立ち上げられて活動されていますね。

そこでまた変化したり進化してるのがすごく格好いいし、離れてから更に進化するっていうのは、恩返しでもあると思うんですよね。それからAKLOさんとの邂逅も印象的

——AKLO『カマす or Die feat. ZORN』やZORN『Have A Good Time feat. AKLO』など、2人のタッグはお互いに韻とスキルがエグすぎますね。

2人のライミングスキルと、ワードチョイスのセンスと独自性は、聴くたびに鳥肌立ちますね。

ラップの歴史も長くなって、ZORNさん自身のキャリアも長くなると、ある程度踏まれたことのある韻とか近い韻が出てくると思うんですけど、それでも“その韻の踏み方、初めて聴いたわ……”とか“そういう踏み方もあるのか!”って驚くような韻が非常に多いんですよね。

AKLO+NORIKIYO『百千万(Remix) feat. 般若 & ZORN』の、“わざわざ格下を見ないでしょ 俺が葛飾のリヴァイ兵長”は、韻の面白さとパンチラインがガッチリ噛み合ったフレーズ。最近だとKREVAさんとの『タンポポ feat. ZORN』。ZORNさんの“年少の独房”って言葉に、KREVAさんが“慶応を卒業”って返して、そのあと2人がユニゾンで“今交わるデコボコのオフロード”ってラップする部分は格好良すぎて震えましたね

——その二人の交わりも、まさにヒップホップだから生まれる化学反応でしたね。

“スタバは無いし タワマンよりエメマン”ってリリックもすごく新小岩のリアルを感じます。そういう風に、ZORNさんの言葉選びって、綺麗事やイメージの世界じゃなくて、現実的でリアル、誰でも起こり得ることや、経験したことのある挫折や泥臭さが基本にあると思うんですよね。だから『My Life』での“洗濯物干すのもHIPHOP”っていうパンチラインが生まれるんだと思うし、生活と密接なリリックが魅力なんですよ。

『My Life』:2015年に昭和レコードよりリリースされた5thアルバム『The Downtown』に収録。

新小岩収録の『Life Story feat. ILL-BOSSTINO』でも“武道館の翌朝も俺は作業着”って歌われてるんですけど、恐らくそうなんだろうなって。

映画の『8マイル』でも、バトルに優勝したエミネムが、祝勝会するんじゃなくて“バイト行くから”ってフード被って帰るじゃないですか。そういうリアルさを感じるんですよね。ああ、前後編で終わらなかった……(笑)。次回はアルバム『新小岩』についてお話します!

最後までお読みいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!

撮影◎門嶋淳矢
取材・文◎高木“JET”晋一郎

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