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『魂の万国博覧会』の平安

物語の物語


あるところに男がおった。

男の名は、アイスキュロス。


アイスキュロスは、劇の脚本を書くのが好きだった。


あるとき、アイスキュロスは天寿を全うした。


肉体を脱いだアイスキュロスは、世の移り変わりを眺めてすごしておった。


そしてあるとき、こう思った。

「今度は、小説を書いてみよう。」


そこで、とある夫婦の娘として生まれることとした。

娘の諱は、琴子。


あるとき、琴子は天寿を全うした。


肉体を脱いだ琴子は、世の移り変わりを眺めてすごしておった。

そして、自分のことが紫式部の名で知られることを知った。


そしてあるとき、こう思った。

「今度は、ドラマの脚本を書いてみよう。」

そこで、とある夫婦の娘として生まれることとした。


その娘の名は、クミコ。


物語の物語 完

 

日記の物語


あるところに女がおった。

女の通り名は、真尋。


真尋は、『源氏物語』を読むのが好きだった。


あるとき、真尋は天寿を全うした。


肉体を脱いだ真尋は、世の移り変わりを眺めてすごしておった。

そして、自分のことが菅原孝標女の名で知られることを知った。


そしてあるとき、こう思った。

「今度は、ドラマの脚本を書いてみよう。」

そこで、とある夫婦の娘として生まれることとした。


その娘の名は、壽賀子。


あるとき、壽賀子は天寿を全うした。


肉体を脱いだ壽賀子は思った。

「まだ、脚本をかきたいわ。」


あるとき、肉体へ入っている者と入れ替われることを知った壽賀子はキリストのもとへいった。

そこで、キリストの所へ直談判にいった。

そしてキリストに、

「私も入れ替わりたいです!」

と直談判をした。

キリストは、

「それでは、自分で入れ替わる相手を見つけてきなさい。」

と答えた。


そこで壽賀子は、希望者をつのったところある女の守護霊のひとりが手を挙げた。

その女の名は、シズカ。


壽賀子は、それからシズカの夢に出た。

「シズカさん、私にあなたの体を貸してもらえませんか。」

それを聞いたシズカは、

「えーーー!」

思わず目が覚めてしまった。


次の夜、壽賀子は、再びシズカの夢に出た。

「シズカさん、私にあなたの体を貸してもらえませんか。」

一度聞いていたシズカは、おちついて、

「そうしたら、私はどうなるのですか?」

ときいた。

すると壽賀子は、

「今の体を抜け出して、新しく生まれ変わるのです。」

と答えた。


シズカは考えた。

「いままで自分の好きなことを楽しくしてきたし、人に譲ってもいいかな。」

そして、

「わかりました。お受けします。」

と答えた。


あるとき、壽賀子は肉体に飛び込んだ。

自らの肉体を飛び出したシズカのかわりに。


日記の物語 完

 

平安


平安とは、日常の持続の異名である。

平安とは、持続の日常の異名である。

平安とは、共有の持続の異名である。

平安とは、持続の共有の異名である。

平安とは、放置の持続の異名である。

平安とは、持続の放置の異名である。

平安とは、日常の無為自然の異名である。


平安 完



この文章は、『魂の万国博覧会』で登場する平安について考察したものである。

『魂の万国博覧会』の理解の一助のために記す。


三次元地球の余韻のときに記す。


〆 完

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