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運転しない沖縄vol.2 髪を切りに行く

沖縄旅行中、車の運転ができないくせに不便な場所へ髪を切りに行く。


私はペーパードライバー。
若い頃はがんばって運転を試みていたが、スピードに心がついていかない。結局諦めて今に至る。

沖縄は鉄道がゆいレールしかなく、バスかタクシーが主な公共交通機関だ。
運転しない者にとって全く便利ではないこの土地で、今日は髪を切りに行ってきた。

ゆいレールとバスを乗り継ぎ、バス停から15分歩く。着く頃には汗だくだ。

それでもかれこれ3年通っている。

貴重な沖縄旅行中に、なぜ髪を切るのか。
それは施術中、ずっと沖縄の話ができるからだ。


普段は仕事帰りに髪を切っている。
私は首都圏に住んでる。

世間話を楽しめないタイプだ。
何事も耳にする以上、学びがあると自分に言い聞かせているが、お愛想で返事した話しはどんどんエスカレートしていく。
興味がない。興味がない。興味がないよー。
これは心の叫び。

世間話をするくらいなら英語を学ぼうと、最近は日々日課にしているアプリで学習をしている。
気難しい客と思われてもいい。時間は有意義に過ごしたい。

沖縄で髪を切るようになったきっかけ。
それは南大東島のラム酒会社を立ち上げた金城祐子さんと急にお食事をすることになった時のこと。

原田マハさんの小説「風のマジム」のモデルである金城祐子さんは私の憧れ、尊敬する人だ。

想像もしていなかった展開に、ボサボサの髪とレジャー感満載の服を整えることに奔走した。
できる限りきちんとして臨みたい。

急いでかりゆしを買い、美容室の予約を入れる。
当日でも予約のできる素敵な美容師さんが、那覇市のお隣り浦添市で見つかった。
少々不便ではあるが、せっかくだからと足を延ばし髪を切りに行く。

沖縄で髪を切るなんて、と思っていたが美容師さん曰く東京や遠くハワイからもお客さんが来てくれているらしい。

話が楽しくて、腕も良くお店の雰囲気も気に入った。
以来、通える時は髪を切りに行くことにしている。
特に離島帰りで髪が傷んでいる時は、ヘッドスパをプラスする。

傷んだ髪をすぐにケアできてありがたい。

彼女を育ててくれたお祖母様も、今ではお客さん。
遠くから親戚が車に乗せて来てくれるのだそうだ。

「おばあちゃんの髪を切っている時、ばぁちゃん孝行できてるなって感じるんです」と言う。
聞いているこちらにも彼女のうれしさが伝わり、胸が熱くなる。



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