再びの記憶。 マカピーな日々#0080
マカピーです。
まるで台風の様な大雨で日本各地で洪水や地すべり、土石流の被害が頻発しています。相手が自然であるだけに「ここはいったん逃げるしかない」生き延びて再生を図るエネルギー蓄えましょう。
どうぞ皆様が無事でありますように。
連日、九州地方の被害が甚大であるとニュースが伝えています。洪水に飲み込まれる街の様子、濁流になすすべもなく流される鉄橋、裏山の下敷きになってしまった家屋を見るにつけどうぞ命だけは無事でありますようにと祈らずにはいられません。
近所に住んでいるハアさんは、大分県の日田の出身です。数年前何気なく立ち話をしていて彼が子供の頃洪水で被災していることがわかりました。
「避難して戻ってきたら、家がないんだよ。家の基礎さえもすべて流し去られてしまい河原になってたんだ」「自宅の思い出が、家にあったもの全てが一瞬でなくなる経験をしたのがあの水害だった」
80歳近くなるハアさんが経験した悪夢がまた同地方を襲っています。ハアさんはそのニュースをどんな気持ちで見ているのかと思ったら、胸が締め付けられるようで辛くなりました。
もちろんこうした経験は朝倉市など九州北部を襲った水害や鬼怒川の氾濫、地震、津波、火山噴火・・・・すべての自然災害に共通することです。でも今をしっかり生き延びてほしいです。
ハアさんはその後も引退するまで日田に住み続けました。かつて自分の生命を危険に追いやった筑後川へも深い愛情をもっていて、いつか見せてくれた彼が撮った桜のきれいな川岸の写真が思い出されます。
ふと、マカピーは地すべり研究の仕事をしていた時に気付いたのでした。
日本こそ、自然災害のショーケースだって。これだけ全ての災害がそしてその記録と復旧の様子がわかる国も珍しいでしょう。日本が世界でこの領域での研究をリードしている理由がよくわかりました。
そして古来より日本人が持つしなやかで強い、生き方で生き延びてきたのだなあと思います。マカピーは強風でもしなって復元する竹をイメージします。
でもその竹も湿った重い雪が降り、うまく雪を振り落とせないと竹藪の一つがパカーンという破裂音と共に折れます。無風状態で静かに降り積もる雪に対して一つの竹が倒れると、その周囲の竹がササーッと一斉に雪を振り払って直立します。
マカピーは、こうして誰かの犠牲で他が助かる様なそんな自然の様子に日本人は自分の人生を重ね合わせながら生きてきたと思うんです。
もう一つこんな例もあります。
森の中で一本の木だけが虫の被害に遭って枯れます。ほかにも同じような条件、同じ品種の木もあるのにこの木だけがターゲットになってしまうとボロボロにされるのですが、他の木にはほとんど影響がないのです。
やがてその木は倒れると、分解が始まります。土に還ってゆく前にキノコが生じることもあります。ぽっかりとあいた空間には林床部に直射日光があたり、一斉に種子が発芽して競争が始まります。
やがてその空間に勝ち残った植物がかつての木の後継者となるというストーリーです。そうです農薬も必要なく森全体は平衡が保たれるわけです。
自然を恐れるのではなく「畏れる」そこには日本人の持つレジリエンス(剛柔性?)があるのかと思います。
ともかくみんなで生き延びましょう、ハアさんのように。どうぞお元気で!
マカピーでした。
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