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ノロオちゃんのRCサクセッションはパタンの夜空に吸い込まれていった マカピーな日々#0380

マカピーです。

ネパールの首都カトマンズパタン地区に住んでいた頃、大きなお祭りがありマカピー妻と友達のノロオちゃんを誘って陽も落ちたパタン王宮広場へ出かけました。

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(写真はパタンではなくカトマンズ地区)

ちなみにネパールって常にどこかで大小のお祭りが催されているユニークところなんです。

人の波の中を行くと、スピリチュアルに生きる友達の日本人「スミ」とばったり出会ったのでした。聞けば彼女が信奉するメンターのバアチャンのところへ行った帰りだったのでした。

マカピー妻が「わたしたちこれから、日本人がめったに来ないキッタナイ地元飲み屋に行くんだけど、あんたはどうする?」って聞くとスミは二つ返事でOKでした。

スミの旦那はロブという米国人でその晩仕事で遅くなるので、彼女はフリーだったのでした。

4人が繰り出したディープなジモチーしか行かない酒処は、古都パタンの裏路地の看板もないところでした。それを知ったのはネパール人の友人ビレンドラさんに紹介されて幾度か行くうちに、自分たちでやってくるようになったお店でした。

そこにある飲み物は蒸留酒のロキシのみで、つまみとなるものは水牛の干し肉とかトウガラシたっぷりの煮凝り(にこごり)だったりド・ローカルでした。

ロキシはネパールのチャン(どぶろく)をテラコッタの甑(こしき)で造るホームメイドのとても美味しい蒸留酒でアルコール濃度40%を超え火のつくのもあるほどですが、大概は25%ぐらいだったと思います。


「スミ、ロキシは飲める?ビールが良ければ外から買ってくるよ」とマカピー妻が尋ねると「大丈夫。私これ大好きなのよ!」というのでした。

よもやま話をするうちに、またたく間に小さなボトルを数本開けてたころでした、スミの異変に気付いたのは。

彼女が旦那のロブがいるわけでもないのに、突然マカピー達に英語での会話に切り替えたのです。

もしかして、酔っぱらった?

既に会計が済ませて店を出る段になっても、スミが「今日は私がおごるんだから、会計してよ」と何度も言い始めたので確信しました。

「早くスミを自宅に送っていった方がいい」ってことで意見が一致し店を出てノロオちゃんの運転手付きの車が迎えに来るポイントまで行くことにしました。

ところが、スミの酩酊状態はひどくなりマカピーが抱きかかえるように支えながら集合地点に来ても、まだ車がな来ていないので道路わきに腰掛けました。

お祭りの人出があまりに多いので、マカピー妻は車が別の場所に行っていないか探しに行き、他の3人は動かずにしばらく待つことにしました。

ところが、何を思ったのか今度はノロオちゃんが豹変したのでした。

いきなり目の前の通行人の波に向かって大声で「元気にやってるかい?」とRCサクセッションの忌野清志郎になって絶叫を始めたのでした。

するとあっという間にノロオちゃんの周囲には人だかりができて、面白そうなパーフォーマンスに誰もがニコニコ見物し始めました。

「あらら、ノロオちゃんもラリパッパ?」

マカピーは群衆からカメラ向けられても平気で絶叫しながら踊るノロオちゃんの姿を見ながら、翌日の地元新聞紙の表紙の写真と記事を想像しました。

「パタンで踊り狂う日本人観光客!」 

お願いだから、やめてよして!

すると、ノロオちゃんの歌に反応したスミはヨタヨタと一緒に踊ろうとするのでマカピーは必死に押しとどめながら、「ラジェンドラ(運転手)早く来てくれー!って叫んでいたのでした。

そこへ真理子が「私を触る痴漢がいたのよ!それでその男と口げんかになったら人垣が出来ちゃって、ようやく帰って来たのよ」

と、メンバーはどこへ行っても狼煙(のろし)を上げるのには飽きれました。

ようやく渋滞で遅れたラジェンドラの車が登場、スミを自宅に送り届けることにしました。

マカピーはスミを背負って急いで入ろうとすると、そこのチョキダール(門番)が「ご主人がいないので門を開けられません」というではないですか!

「おれたちを知ってるだろう?それに見ろ、キミのメン・サーブ(女ご主人)はボクの背中にいるんだ!分かったら早く開けんかい!」

無理矢理家の中に押し入り二階の寝室へ駆けあがるのですが、一瞬遅くスミはマカピーの背中に嘔吐して完全に意識を失ってしまったのでした。

マカピーはマカピー妻の指示で、バスルームに運び、彼女がスミを着替えベッドで寝かしつけ様子を見ることになり、ロブが帰ってくるまで付き添う事になりました。

マカピーも体をきれいにしてノロオちゃんは勝手知ったる友人宅で酔い覚ましのコーヒーを淹れているところに電話がありました。

旦那のロブからでした。

ロ:「ハイ、ハニー・・・え?これってマカピー?なんでボクの家にお前さんがいるの?」

マ:「お祭りでスミと会って一緒に飲んだら、ロキシーでベロベロに酔ってしまって家で寝かせたところなんだ。君が帰ってくるまで3人で待ってんだよ」

後で聞いたら、スミはその晩から3日間二日酔いに苦しんだそうです。ロキシが好きだと言ったのは、これまで2口ぐらい飲んだ経験がある程度だったそうで、はじめてみんなとコップ酒で飲んだら、途中で記憶が吹っ飛んだのだそうで後の事を何も覚えていなかっただそうです。

一方、飲み友達のノロオちゃんも一部記憶が欠けながらも翌日から普通に働いていました。ちなみにノロオちゃんは医学生時代に演劇をやっていて更にRCサクセッションに心酔していたのだと知りましたが、騒ぎが新聞記事にならなくて良かったと思ったのはマカピーだけでした。

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。RCサクセッションを聞けばあの夜を思い出す。



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