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ブラバーマウス マカピーな日々#0072

マカピーです。

おしゃべりな男は嫌われるといわれています。

マカピーはおしゃべりと言われ、妻の母親から「私が寝ようと思ってもずっとしゃべっているものだから、寝不足になった」などと迷惑をかける事もあるようです。

もちろん一人でいてもベラベラしゃべるわけでなく、基本的に誰かと一緒にいると話さない事が放置プレーにならないか心配になってしまうんですね。

前回レタス畑で、農家のじいちゃんにレタスの収穫ができないと言われたことがありましたが、その後は仲良くなりました。

マカピーは農家出身ですし民俗学的な事柄が大好きだったので、じいちゃんに村の風習や自然についていろいろ尋ねるとホイホイ答えてくれました。実はその間は背中の痛いのを我慢して作業をしなくてよいのがねらいでした。苦笑

他のバイトの仲間から「ずるいよ。一人だけ休んでるんだもの」「いや、もう腰の痛みがマックスなんで」「それにしても年配者の話によくついて行けますね?」「田舎育ちだからかな?」

実はじいちゃんはそれほど作業をしませんからその話し相手になると時間稼ぎができました。50代?の息子が実質的な切り盛りをしていたのですが、じいちゃんと話をしているマカピーをたしなめることはありませんでした。つまりそういう力関係が存在していたのですね。

農作業は必ずしも晴天の下でやるものでもなく、雨の日もありました。

一度、朝から土砂降りで「やった!休みだぜ」と喜んでいたら雨合羽を渡されたのでした。ものすごい雨量でレタスの畝と畝の間が川のようになっているのにブルーシートを持ち込んで収穫して詰める段ボール箱を濡らさないようにしながらの作業となりました。

収穫だけでなく、作付けもするし段ボール箱の組み立てを行い準備することもあります。また黒い農業用ビニルシートを回収して焼くこともありました。もうもうと黒煙が上がりひどい悪臭でしたが、当時はまだ野焼きの規制がなかったころの話です。

そこのバイトは同じ学校の同級生も来ていたので、夜になると友達のいる家の離れなどに遊びに行ってましたが、もちろん同じところで働いている仲間とも、いろいろな話をしたことがありました。たいがい大学生でしたが一人だけおばあちゃんがいました。

彼女がどうしてここにいるのか最後までよく理解できなかったのは、青森の弘前出身という彼女の言葉が難解だったからです。まるでフランス語を聞くような「ジュブジュブ・・・・」と始まると誰もがお手上げとなってしまうのでした。もちろんマカピーたちの標準語を聞き取ることはできるのですがその返答が超ムズイ訛りに変換されてしまうのでした。

毎年この家のレタス収穫の時期を過ごしているのだそうですが、そもそもここの家の主人が話をしているのを聞いたことがありません。

ある日、そこの農家の息子が畑に来て、父親に叫んだのでした。「とーちゃん、天気予報は明日雨ずら!」 おお、「ずら」と来たか!

お国訛りっていいなあ、マカピーは思うのです。まだ東京に出てきたばかりで新聞の専売所の二階に住んでいたころ、同じ仲間の二人が静岡出身でその会話が楽しかったのを思い出します。まず部屋に来るときも「いるら?」ととても耳に優しいのです。

一方鹿児島出身者もいましたが、彼は怒ったような顔をしていて無口なのです。いつもボソボソと反応するだけでしたが飲み会の時に尋ねました。「あまりしゃべらないのは訛りを気にしているから?」「うん。はずかしい」「ほら隣の宮崎出身者だってあれだけベラベラしゃべってるじゃない。気にすんなよ」「全然違うんだ。ことばが」「そんなに?」「うん、だからなるべく口を利かないようにしているんだ」

あれからずいぶん長い年月が流れました。

高校野球の甲子園大会は今年新型コロナウイルスの感染拡大で中止になってしまったけれど、関西のチームの選手のインタビューなどを聞いていると「完全な標準語」と思っていると生粋の関西生まれだったりします。

そうか、そうなんだろうな。

子どもの頃の上州弁が抜けきらないマカピーでした。


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