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さっそくカルカッタで詐欺 マカピーな日々 #0048

マカピーです。

バックパッカーで東南アジアを旅したお話の続きです。

カルカッタはさすがに大都市で観光客がたくさん来ます。そこで各州の観光局が独自のお店を出していて自分の州の観光名所のツアーを出しているのでした。

マカピーもそれを利用しようと思い州観光事務所へ向かったのでしたが、既に直近のツアーが満席でした。さて、どうしたものかと公園をぶらついていた時の事です。

カメラを片手に観光客をしていたマカピーの前に現れたのは、普通の会社員風の身なり(ネクタイなしスラックス姿)のジモチー感たっぷりなおじさんでした。

「どこから来たんだい?」「日本」「もうカルカッタは観光した?」「博物館とかは見た」「これからどうするんだい?」「近くの州に行ってみようと思っているんだ」「どこの州?」「○○州。実はさっきその観光局に行ってきたんだ」「それで?」「満席だったので、次のツアー開催は3日後なんだって」「おや、そりゃあ偶然だね」「何が?」「私はその観光局の職員をしているんだ」「まさか!」

「君は僕のことを疑っているね?」「まあ、そりゃそうだよ」「でも私が君の明日のツアーの席を確保したとしたらどうする?」「うれしいよ。でもさっき事務所は閉まったよ。無理だね」「もちろん私は職員だからその事は知っているよ。でも私は家に帰って観光局の同僚に電話して君の名前を登録できるんだよ」「だってさっき行ったら満席だったんだよ」「いいかい。こういう時のために、観光バスは必ず2席ほど予備をとっておくのだよ」

「それでも信じられないなよ」「君は私の事を知らないね」「そりゃそうだ、さっき会ったばかりだもの」「そうじゃない、私はクリスチャンなんだ」「だから何なの?」「ヒンズー教徒は嘘をついてもなんとも思わないけど、クリスチャンはそうじゃあない。私と神の契約があるんだ」「それはご自由に!」「私はね、こうして君が困っているのを見て見ぬ振りができない。そしてこれは私の営業成績にもなるんだ」

マカピーは結局このおじさんの名前を聞いてツアー料金の半分を渡して、翌日その観光局事務所で落ち合うことにしました。

マカピーは翌日ツアー出発一時間前に事務所に行きました。

昨日あのおじさんは事務所前にはいなかったけど事務所の奥にでもいたのかと思い、受付でツアーの参加を伝えました。

「あら、アナタ覚えているわ、昨日言ったでしょう、ツアーは満席だって」「ハイ覚えています。でも昨日こちらの事務所の○○さんにお会いしてこのツアーに参加できると聞いたのです」「誰ですって?」「○○さんです。ほらこの名前です(メモを見せる)」

受付のサリーを着た女性は事務所の奥のマネージャーらしき別の女性に目配せしました。「ごめんなさいね、この事務所には○○さんはいません。そしてあなたはだまされたのです」「・・・・は?」「お金を渡したの?領収書は?この国で観光局事務所以外で申し込めないのはこういう詐欺事件が起こるからなの。そして正式な領収書とバウチャーがなければツアーに参加できないの」「・・・」

「まだ旅を始めたばかりで良かったわね。被害もそう大きくなさそうだし。いい、よく聞きなさい。たくさんのろくでもない連中があなたを狙って金をだまし取ろうとするわ。でも賢くなってね。良い旅を祈るわ」

マカピーはありがたい受付の話もまともに聞かず、事務所を飛び出してしまいました。なんとも恥ずかしくて仕方がなくいたたまれなかったのでした。そして足は昨日の公園に向かっていました。

きっとあの詐欺師は次の獲物を狙って徘徊しているに違いありません。

ところが半日費やしても彼は現れませんでした。考えてみれば当然で発覚したら被害者がすぐに元のコンタクトポイントに戻ってくることは容易に想像できます。

そしてバックパッカーが別の場所に移動したあたりにまた舞い戻ってきて罠を仕掛けるのでしょう。さすがにジモチーは地の利がある。

もちろん旅の道中ではマカピーはたくさんの親切に出会いました。

でもこのカルカッタの事件はいまだに忘れることが出来ません。

「可愛い子には旅をさせよ」といいます。旅をすれば嫌でもいろいろ経験するものです、時には傷つき、嘆くこともあります。でもそれが人生なんですよね。

そう、人生を楽しもう。

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。今だから話せる事です。

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