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キビだんご欲しい? マカピーな日々#0078

マカピーです。

「キビだんご」をいただいたことがあります。

マカピーは「桃太郎」が岡山県の民話だと知ったのは大人になってからでした。そしてマレイシアにいたころ、あるグループの会話中で岡山県出身の若い女性が「ぼっけえなあ」としみじみ言ったのに反応してしまいました。

一瞬一同の動きが止まりました。「今、なんて言ったの?」

可笑しいのではなくマカピーをはじめグループの皆が、「まんが日本昔話」の市原悦子さんが「桃太郎」を語っているようなホンワカした気持ちになったのです。本人はいたって真面目に会話していたのですが、これぞ方言の力だと確信した瞬間でした。

さて、それからしばらくして、マカピーがNLP(神経言語プログラム)の研修に参加した時の事です。参加者が順に自己紹介するのですが、その一人が岡山出身でーす。と言いながら「キビだんご」を他の参加者に配りました。

構図としては、さしずめ彼が「桃太郎」で我々がサルやキジだったりしたのかなあ。

だんごをいただいたから言うわけではないですが、彼はとても不思議な魅力を持った若者でした。自己啓発的に「目標に向かって頑張るぜー」という参加者にありそうな気負いもなく、どこかトローンとしていて一緒にいるとこちらまで眠くなるような、それでも優しい語り方にホンワカさせてしまうのでした。

成功して金を持っている訳でもない様子。それでも全く焦る様子もない彼から、実は共著で本を出版したと聞いた時に驚きました。それからつい先ごろリッツカールトン東京に招待されて泊まったというのです。それもそれらの事を偉ぶって話すでもなく「ただ、こんなことがありました」的に話をするのでした。この人、何者なの?

安くない研修参加費だったと記憶していますが、彼はいつも普段着でやってきて、淡々と受講して一緒に近所の安い定食を食べていましたが、ある日共著した会社のオーナーが開催するセミナーがあるとマカピーを誘ってくれたのは証券会社でした。そのセミナーでも彼は社外役員的存在で驚きました。この人は何なんだ?

マカピーはこちらであまり知り合いがいないという彼を深川に連れて行き、そこで二人して深川めしを食べた後近所のお寺が夏祭りの縁日をやっていたので立ち寄りました。

そこで彼が興味を持ったのがカルメ焼きと射的。是非食べたいというので大きなのを一つ買って、二人で分けて食べたけれどその甘さに頭がしびれそうでした。

射的も岡山では見たことが無いというのでトライしてみることになりました。「ほら、こうやって体を乗り出してぎりぎりまで腕を伸ばして的に当てるんだよ」「ええ?ずるじゃないですか?」「そうしないと、的が倒れないんだから。それでも必ず当たるわけじゃないからね」

彼は子供のように嬉々として射的をやっていました。

いつの間にか夕暮れとなり、浴衣姿の女性がたくさん集まってきて盆踊りが始まり、二人でしばらくそれを眺めて帰ってきたのです。ちょうど梅雨が明けたあたりの頃だったと思います。

今でも「桃太郎」とか「キビだんご」と聞くと岡山出身の二人の顔が思い浮かぶのでした。彼がくれた「キビだんご」は小さくて口に放り込んでも特別うまいっていうほどの味ではなかったんですが、くれた「人の味」が夏の思い出としていつまでも心に残ったのでした。

マカピーでした。


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