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特定外来生物とカックイ奇譚 マカピーな日々#0638

マカピーです。

農家出身という事もあり、マカピーは時々農業新聞で農業記事をチェックしています。

無料会員登録でざっと見ている感じですね。さて今回気になったのはカミキリムシです。

そうです、あの触角が長く「ギー、ギー」て鳴く昆虫です。

「クビアカ」特定外来生物で正式名はクビアカツヤカミキリの事で、2011年から被害が拡大しているそうで桜の被害が大きいそうです。


マカピーの家がある埼玉県北東部には有名な「権現堂堤の桜」が有名で開花期は数十万の人出がある人気スポットです。

こうした桜を襲うのがカミキリムシなので、ところどころに「Wanted(この虫見たら駆除しましょう」と掲示板に注意書きが出ています。

駆除とは、つまりは殺処分です。

見つけたら捕まえて殺す、これって案外大切なんですね!


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マカピーが子供のころ群馬の実家では、そろそろ斜陽産業にしかかってはいたものの養蚕を盛んにやっていました。

特にマカピーの家は一夏の間に収穫を5回繰り返す、最先端の時差式養蚕をやるので桑の葉が生育している間は蚕がいる状態で家の時間は「蚕」に従っていたんです。

つまり、蚕が脱皮を繰り返して大きくなり糸を吐き出す段階のものもいれば、まだ卵から孵化したばかりのケゴと呼ばれる段階のも同時に飼育するというので、手間のかかる典型的な労働集約農業と言えるものでした。

だから、子供もそれに付き合わされたので今でいえばヤバい「児童労働」的なものでしたが、地域全体みな同じだったんです!

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カイコは「天の虫」と漢字に書きますが、まさしく昆虫飼育で一大産業を生み出したスゴイものです。

もちろん古代よりその飼育法は開発されていて、中国を中心に養蚕が盛んにおこなわれ、いわゆるシルクロード沿いに伝播してゆくのでした。

日本だけでなく、以前暮らしたことのある中央アジアのウズベキスタン共和国でも養蚕をやっていました。

ただし夏の間1回だけ、猛烈乾燥するので桑の葉が水分がなくなってチリチリにならないようにプラスチックのシートをかぶせていましたけど。

古代では乾燥防止にどんな飼育法をしていたのか知りたいものです。

乾燥するとみずみずしい葉を食べることができないのでカイコは困るのですが、一方でメリットもあります。

それはカイコは良質な生糸生産するために高度に品種改良されているので病気に弱いのです。特に湿潤な日本の環境は病気が発生しやすい!

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実家では一回ごとの収穫が行われると、マカピー父がホルマリン消毒をしなくてはならないので防毒マスクをつけての作業は大変でした。

それが、乾燥していると病気も少ないのです。納得!?

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更にカイコたちは桑しか食べない特性がありました。ですからクワを植えなければカイコを飼うことができませんでした。

マカピーが育ったころは、群馬県はどこへ行っても桑畑ばかりでした。というよりも、長らくは日本全国どこへ行っても桑畑があったはずです。

日本全国に種苗屋さん、つまり今でいうところのブリーダーがいてその土地に適合した高生産品種を作り出して、種(卵)売っていたんですね!

つまり、メンデルの遺伝学で習ったあれです。異種の掛け合わせで生まれる雑種強勢を利用したハイブリッド技術です。

これは、カイコの品種改良だけでなく、ニワトリ、ブタ、ウシなどの経済動物、コメ、コムギ、トウモロコシなどの穀物などでも品種改良に使われる技術であることは皆さんご存じのとおりです。

ところが、困ったことに改良種は一般的に病気に弱いのです。

そのために消毒が必要になります。食べる桑に消毒をしてしまうとその薬害で簡単にカイコは死んでしまう繊細さなのです。

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さあ、やっと話が害虫に戻ってきました!(やったー)

つまり広大な桑畑を消毒することは命取りになりかねないので、なるべく害虫の防除は人の手による人海戦術に頼ることになります。

そうするとその役目がマカピー達に回って来るのでした。もちろんカミキリムシは害虫でしたから殺すのですが、それ以外にも春先の桑畑での仕事はシャクトリムシの駆除でした。


シャクトリムシは色々種類がいるのですが、桑に害を及ぼす種類は生体で越冬し、春先に桑が発芽する頃になると活動を開始して萌芽を食べつくしてしまうのでした!

夏の間、大きくなった桑の葉を食べられても、その食害は大したことありませんが春先の萌芽はその後の枝が生えなくなるので致命的ダメージなんです。

その憎き?シャクトリムシの事を地元では「カックイ」と呼んでいたのは「桑喰い虫」が短縮され「クワクイ」そして「カックイ」となったと容易に想像できます。

ですからマカピー達は桑の木の間を、カメレオンのように目を動かしてカックイを見つけては処分するのです。

カックイは暖かくなると、尺取虫の名前の通りヤットコサ、ヨッコラサと移動しますが、寒い春先まで擬態といって桑の枯れ枝に見せかけて生き延びているのでした。

それをプロの目を持ったマカピー達が「見つけた!」とその頭部を指でひねり潰すと真緑色の体液をだして死ぬのでした。

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最近の養蚕技術では遺伝子組み換えで、何でも食べる品種となり飼料化したペレット(顆粒)で育てているのを見た時は「時代は変わったなあ」って思いました。

確かに郷里に帰って驚いたのは、子供のころ見渡す限りの桑畑がほとんど消えていたことです。

時々大きな桑の木がその実(「ドドメ」と呼ばれていました)をつけているのを見て、つまんで食べると懐かしい味がしました。

実兄に言わせると桑は成長が早く、害虫の被害を受けるし、実がなっても誰も食べるわけではないし落ちて道路が汚れるので切り倒すというのです。アラマ!

そうだ、アメリカシロヒトリは子供のころ養蚕農家の目の敵となり、徹底的に駆除されたものですが、最近目につきませんね。

もっとも、マカピーが日本にいない事が多いのでその機会がなかったと言えますが。

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。産業も害虫も時代で変化するんですね









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