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アフリカで謎の光る廊下の正体!マカピーな日々#0472

マカピーです。

悪夢で目が覚めることがありました。それはかつて働いたザンビアの職場が舞台でした。

目覚めた後で「ああ夢でよかった」と安堵するとともに「ふー、10年も経つのに、あの廊下の光景がトラウマになったのかなあ」って思うのでした。

マカピーの職場は結核研究室でした。

ちなみ「結核病」とはエジプトで発掘される古代のミイラからもその病変(脊椎カリエス)ら埋葬者が罹患していたことが分かると言われている人類とは長ーいお付き合いのある病気です(苦笑)

現代日本ではあまり耳にすることがなくなった病気ですが、映画やテレビドラマなどでは、吐血するシーンなどで「胸を病む、不治の病」と恐れられていたので覚えていらっしゃる方もいると思います。

若い方でもジブリの『風立ちぬ』なんていうと、例のサナトリウムを思い出すようですが、しっかり栄養を取って空気の良いところで隔離するやり方はかつて中東などでも結核になると砂漠に行ってテントを張って自然治癒をするのを待っていたという話と基本的に同じですね。

良い薬(ストレプトマイシンなどの抗生物質)が開発される戦前までは、沢山の方がこの病気で亡くなっています。

日本を代表する作曲家、滝廉太郎さんが早逝されていますし、『男はつらいよ』シリーズで活躍された渥美清さんも片方の肺が機能していなかったと聞いています。

維新の頃では新撰組の沖田総司さん、長州藩の高杉晋作さん、作家では石川啄木さん、新見南吉さん、正岡子規さん、国木田独歩さん、長塚節(たかし)さん、中原中也さん、堀辰雄さん、画家の竹久夢二さん、政治家の陸奥宗光さん、同志社大学創立者の新島襄さん、秩父宮親王も結核だったんですね。

この病気は結核菌で引き起こされる病気で、現在猛威をふるっているCOVID-19(新型コロナ肺炎ウイルス)とは形態が違いますね。

何で、マカピーが結核の話をしているかというと、イエメン、ネパール、カンボジア、ザンビアと15年ほど結核に関わる仕事に就いていたからなんです(ちなみにマカピーは医療従事者ではありません)

10日の夕陽

ザンビアの研究所で朝一番最初に入り口のドアの施錠を解いて入るのが4年間変わらないマカピーのルーティンでした。

ところが、その間に幾度もそこの洪水を経験したのでした!

ザンビアは南部アフリカの内陸国ですが周囲の国々と同様、標高1200メートルほどある高原でしたからとてもすごしやすい環境でした。そして雨季と乾季がある気候で、ひとたび大雨が降ると排水施設が弱い首都ルサカでも低地が水没するような出水はありました。

でも洪水が起こるのが研究室室内なんですよ、これが。

つまり、原因はラボの中の水道の蛇口の閉め忘れなんです!

乾季が厳しくなると、大学病院内にあったそのラボ施設も断水がしばしば発生するけど、ラボのスタッフは蛇口を開けて「?」と断水を知ると閉めていない、または途中で断水した場合誰かが止めたと勘違いしてしまうのでした。

そして、翌朝マカピーが到着した時にはシンク(洗面所)やラボの洗浄槽の蛇口からドバーッと水が溢れかえって、部屋のドアから廊下まで押し寄せていたのです。

「ヤバイ!」マカピーは開錠したドアをあけ放ち、まず放水状態の蛇口を止めに走ります。そしてバケツを持ってモップとちり取で水をすくい取り他の部屋への洪水被害拡大を防ぐのでした。

ラボにある各種機材は壁の電源を延長ケーブルで引いて、そのタップから機材の電源ケーブルに接続しますから延長ケーブルが床をはっているいるのにそこに水がかかるとまず感電してショートサーキットとなり壊れます。

ヘタをすると機材の電源ユニットがやられてしまうとアウトです。修理が出来ても技術者が少なく外国製品ばかりなので部品取り寄せもかなり時間がかかります。

ましてや、マイナス80℃の超低温冷蔵庫には検体が収納されているので大容量の無停電電源でバックアップしているのに、バイオハザード地区に水が流れ込んだら大変なことになります。


マカピーが今でも悪夢で、暗がりの廊下が洪水で光っている光景に恐怖するのは、かつてその光景を幾度も経験しているからでしょう。

マカピーは、ラボ室長に今朝の洪水事件の事を報告しますと彼女は

室長:「アララ、それは大変だったわね。マカピーがいてくれて本当に良かったわ」

マ:「いや、そういう事じゃないんです。出水は今年でこれで3回目ですよ!スタッフ全員に帰宅前に蛇口を閉める事を確認させてください!」

室長:「先週もスタッフ会議でもみんなに伝えたんだけどね」

マ:「そもそも濡れた機材で操作したら感電死の恐れもあるんですよ。それに高価な機材がいっぱいあるラボで、出水はマズいですよ!修理だって簡単にできないのに、今やっている研究だって止まってしまいますよ」

彼らが真剣にならなかったのには理由があります。

沢山高度な分析機械の取り扱いを覚えても、援助団体がいなくなれば自分たちでメンテナンスできる費用を捻出する事なんて至難の業です。

だから、むしろ壊れた方が良いかもって思うのも無理からぬこと。新しい機材を買って貰えば、初年度の無料メンテナンス費用付きだったら、なにも苦労して自ら資金を捻出する必要ないって。

そんな実情を知っているから悪夢として何度も登場するのかしら?

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。国際協力の現場って複雑です





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