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うまいもんはうまい! マカピーな日々#0075

マカピーです。

皆さん、カバの肉って美味しんですって。知ってました?

マカピーはアフリカのザンビアに4年ほど滞在してました。その時に国立公園内で炭疽(たんそ)が発生して野生動物が死に、更に人にまで感染が広がったのでした。連日新聞には被害者の数が増している様子と死んだ野生動物を食べないように、発症したら直ぐに抗生物質投与するようにとの保健省のコメントが載っていました。

炭疽は土中の炭そ菌(Anthrax)が動物内に取り入れられると発症する病気ですが2001年アメリカで炭疽菌をメディアなどに送り付けて死人が出る事件が発生しました。


と、人間が罹ると致死率も高く結構怖い病気です。当時事件に使われた炭疽菌の遺伝子解析をすると、最も致死率の高いザンビア産だったと言われています。Wikipediaの説明にもあるよう人から人への感染はないのですが、病気にかかった動物の肉を食べるとアウトなんですね。

アフリカで野生動物の密漁が絶えないのは、象牙が取りたい業者がいるとかもありますが、その一番の問題はその付近に暮らす人たちの貧困が原因です。

現金収入がほとんどない土地で暮らす人たちだって、子供を学校に通わせたり家族のだれかが病気になれば病院へもつれてゆかねばなりませんが、お金が必要なのです。

とりあえず身の回りで売れるものを探すから、自然と森から見つけてくるのです。

そうすると、木を切って炭にして売ります。こうして貴重な自然林はどんどん盗伐(とうばつ:不許可の伐採)でやせ衰えてゆきます。特に燃料用に良いのは成長の遅い固い樹なのです。そうした木の実に頼って生きてきた野生動物も消えてゆくことになり、大きな木がなくなると小さな木でも伐り倒してしまう悪循環が続きます。

それから野生動物を捕まえて、売ります。

今だから言いますが、マカピーも道路で売っている人から4㎏ほどある大きなレオパルド・リクガメとパイソン(ニシキヘビ)の皮を買ったことがあります。つまり自然破壊に加勢してしまったのでした。スミマセン。

どちらも絶滅危惧種にちかく、日本に持ち込めるようなものではありませんでした。パイソンの皮も知り合いにあげ、結局帰国前にはカメは地元の友達に引き取ってもらい子供の遊び相手になってもらいましたが、その家は許可を持っていたのでよかったのです。

一般に野生動物を勝手に飼育することはできませんし、ゾウなどの野生動物を殺したり、売りさばいたりすると重罪が課せられます。特にビッグ5と呼ばれるサファリの有名野生動物(ゾウ、ライオン、バッファロー、サイ、ヒョウ)ともなれば懲役刑が20年とかになります。

たとえ何かの事故でゾウが狂暴化して住民を殺す事件が発生して、住民が戦ってそのゾウを撃ち殺してもこの刑は適用されるといわれ、動物の方が人間よりも優位なのかと問題になるくらい厳しいものです。

そうした中で密猟をするのは業者ではありません。業者は地元民を雇うだけです。それほどのリスクを負ってでも現金が欲しい現実があるのです。背に腹は代えられないとはこの事です。

でもザンビアの国立公園はものすごく広いのです。そこを守るレインジャーはほんの少しです。とても守り切れる範囲ではありません。レインジャーは銃を携行していますので、運悪く捕まると懲役刑が待っています。なんともやり切れない現実があるのです。

炭疽の発生は周期的にあるようですが、乾季になると緑のエサが不足しするとカバたちは川沿いの草の根まで食べるようになると、その土に炭疽菌があり発症するのだと言われています。

炭疽に罹ったカバが次々に発症する理由は、単に草の根に付いた土を食べたからだけでなく共食い(カンニバリズム)もあると言われています。更に病気で弱ったカバを襲って食べるワニやライオンにも発症するのかどうか?あまりよくわかっていないようですが、人間もそのおこぼれをちょうだいしているのでした。

カバの肉が手に入った!村の人は総出で食べてしまうと炭疽に冒されてしまします。きのきいた保健所が近くにあってすぐに抗生物質の投与ができれば助かりますが、そもそもアクセスの悪い地域なのです。

被害が大きくなってから報告が首都まで上がり、新聞記事になるまでは相当時間がたってからの事になります。

そのころ、医師でもある保健次官にあった時に、ちょうど終息した炭疽の話題になりました。

「炭疽だとわからなくても、病気のカバの肉を食べたらだめでしょう。なんで村人はそのことが分からないんでしょうかね?」

次官はニヤリとこういいました。「なんだ、君は知らないのか?カバの肉がどんなにおいしいのかって!」

そして二人で腹を抱えて大笑いしました。(マカピーはザンビア人のウイットがすきです)

マカピーでした。






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