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転院時の負担軽減が欲しい。 マカピーな日々#0152

マカピーです。

マカピーは義母が入院先から新しい病院に転院するのに付き添いました。

総合病院で体力の回復と病気の診断をし、更に専門医のいる病院に転院するのは自然な流れでしょう。

ただし転院をはたで見ながら疑問が残りました。

「転院先の病院へは必ず朝9時までに行ってください」と言われたのでマカピーは朝7時半に電車に乗り8時前には義母のいる病院へ行きました。

大きなバッグを持ちこみ、そこに義母の着替えやら消耗品を入れても更に尿パッドの袋などがあり背中のバッグには次の病院が必要としている屑籠などもあり、3つの大きなかたまりができました。

マカピーは両手にそのバッグ類を持って入院棟から降り、義母は看護師さんがおす車椅子で降りてきました。

タクシーで移動するので、ロビーに合った3社のタクシー会社直通電話機の一つで病院前まで来てもらい、看護師さんに挨拶をして荷物を車の後ろに入れました。

義母は身体機能低下で、2週間の入院生活で車の乗り降りも不自由になっていました。マカピーは反対側から乗り込み彼女の体を引き上げるようにして安全ベルトを装着しました。

転院先まで30分ほどの道中でしたが、これまで新型コロナウイルス感染予防のために2週間の入院中毎日荷物の受け渡しだけで面会していなかったので久々の面会と会話の機会でもありました。

義母は入院中は気力が衰えスマホの画面も見たくない状況だったのと、4人部屋であったため、待合室の特別なコーナーに行かない限りスマホでの電話も禁止されていました。

このチャンスを使って、長らく会話も面会も出来なかった義父に電話して会話をしてもらいました。

「がんばるんだぞ!」義父は幾度もそう受話器の向こうで叫んでいるのが聞こえました。そりゃあ、昭和一桁の年代ですからなかなか気の利いた言葉が出てこないもんです。

「がんばれって?」「そう、そればっかり・・・・」義母は少し笑いました。

そして義母がこういったのでした。「ああ、飴が舐めたいの」

「いいですよ!運転手さんそこのセブンイレブンに止まってください」「お母さんどんな飴がいいんですか?」

「カルピス味」

入院前にカルピスのキャンディーを義母にあげたのを覚えていたのです。

買って戻り小袋を取り出して開けて差し出すと、震える細くなった指でキャンディーをそっとつまみ上げてマスクを外した口に入れました。

「ああ、おいしいね・・・」「よかったね。次の病院で持ち込んでいいのか聞いてみよう」「食事が決まっているから難しいと思う」「副食ってわけじゃないから案外OKかもしれないよ」「そうね・・・・」

でも少し経つと咳込みが始まってしまい、義母は飴をティッシュに取り出し水を少し飲んでマスクをして肩でゼーゼーと息をしていました。

飴玉一つも味わう事が難しいとはなんと不憫なのかと涙が出そうでした。

車窓から見える早場米の刈り取り風景などを目にして、近隣ながら今までに来たことない町の病院にたどり着きました。

病院に到着すると警備員が車椅子を準備してくれて、義母を院内の受付まで運び入れてくれたのでマカピーは「おお、いい感じだなあ」と大きな荷物を義母の近くにおいて、前の病院からもらった封書を差し出し入院手続きをしました。

ところがこの後から疑問が次々に生じることになるのでした。

まず「そりゃあないでしょう?」と思ったのは受付で「では外来内科に行ってください」と指示があった事です。

「先ほどお渡しした義母の病状や検査結果もあるのに、なぜ即入院とならないのですか?」

「当院のそういう決まりですから、よろしくお願いします」

「だから言っているじゃあないですか。転院元の病院から即入院できる準備ができているというので朝一で来たのに、どうして外来に回る必要があるのですか?」

「そのことを含めて外来内科でお話しください。お荷物はこちらであずかれませんのですべてお持ちください」

「あのね、これだけの荷物を私が持って、更に私が義母の車椅子を押して行くのですか?」

「お手伝いできる人手がありませんので、そちらでよろしくお願いします」

「そちらって私だけですよ。そうですか私一人でなんとかやってみます!!!」

意地になってキャスターの付いた大きなバッグに小さな荷物を整理して押し込め背中のバッグにも入れてさらに一つ残ったバッグは軽かったので、義母の車椅子の取っ手にぶら下げました。

一応バリアフリーの廊下でしたから、なんとか義母の車椅子を押しながらなんとも情けないような姿で廊下を進むのでした。

総合病院の廊下は色のついたラインが引いてあって内科にたどり着き受付にファイルを渡したところ、中央処置室に移動するように指示がありました。

ここからは受付にいるような医療事務員はいなくなり、医療専門職の世界になります。

「先ほど転院してきたのですが、どうして直ぐに入院できないのでしょうか?」マカピーは先ほどの疑問を看護師にも尋ねると「それは大変でしたね。チェックしてみますね」

しばらくして先ほどの看護師が「入院に際しては当院での検査項目をやっていただかないといけないのです。この項目をはじめにしておかないと改善したのか目安が付かないことになります。それから入院病棟は5階になりますので毎回検査項目毎に降りてこなければならないので今しておくのがおすすめなんです」

「やっぱりそうですか、でも義母はかなり疲れています」「なるべくこちらのベッドに休みながらやってもらいましょう」

「まず血液と尿検査、胸部レントゲン、骨密度、CT、心電図があります。まず血液はここで採取しますからその後荷物をこのベッドの近くに置いて貴重品を持ってレントゲン部門へ行ってください」

オイオイそんなに検査項目があるの? 義母は各種の検査に使われるかなりの量の血液を採取された上に、右の手の甲に留置針(その後の治療で幾度も針を刺さずにすむように血管に差したままにするもの)が固定されていました。数日前検査しているのにまた検査とは義母が不憫でなりませんでした。

検尿も採尿室でトライしたのですが出ないので、ベッドに横たわりカーテンの中で二人の看護師が尿道カテーテルを挿管して強制的に採取したので「さあ、レントゲン室へどうぞ」と見送られても、義母にはすでに疲れが見えていました。

義母の車椅子を押してレントゲン室の受付にファイルを差し出すと「今30人ほど患者さんがいるので一時間以上待ってもらうことになります」と言われたのです。

マカピーは「義母は車椅子のヘッドレストがないのでもたれかかれないので疲れてしまっているのですが、どうしたらいいでしょうか?一時間もこのまま順番待ちできません」と訴えると先ほどの中央処置室に戻って順番が来たら呼び出してもらう事になりました。

マカピーは「最初からそうしてくれればいいのに」と思いながらまた義母と処置室に戻ったのですが、彼女は相当疲れたのでベッドに横になるとすぐに寝息を立てて眠ってしまいました。

マカピーもベッドのそばで奥さんに頼まれて入院に必要な着替えや消耗品のチェックをすることにしました。下着の数やパジャマやタオルなどの数を数えて小さな袋に分けてしまう作業をしました。

マカピーも作業を終えてうつらうつらしていましたが「レントゲン室から順番が来たので来てくださいとありましたから、行ってください」との声で目が覚め、先ほどのレントゲン室に行くと「まず地下室にある骨密度検査室に回ってください」とあり指示のあった部屋までエレベーターで移動しました。

どの方向で車椅子をエレベーターに乗せるべきか、だんだんマカピーも車椅子の取り扱いがうまくなってきました。

それが終わり、再度中央処置室に戻ると「今度は心電図ですが、ここに来てもらって測りましょう。その後CTですね」

ようやくCT検査が終って中央処置室に戻ったのは午後1時半でした。

ところがもう一つ伏兵が待っていました。

「もう一つ心エコーもお願いします」(えええ、まだあるの)

「お母さん、さっさと終わりにしましょう」

マカピーも全く飲み食いなしでここまで来たのですが、義母は相当疲れたと思います。

そして、とうとう入院になりました。ヤッター。

看護師と一緒にエレベーターで上がりながら担当医との話があると聞き「そちらでお待ちください」と待合室に向かいながら振り返るともう義母の姿はありませんでした。

一日付き合った義母とのあっけないお別れでした。

その後で主治医から画像をみて担当医と相談して今後の治療方針を聞き看護師に義母の入院に必要なものが入ったバッグを渡しました。

この後総合受付に戻り、入院手続きと保証金5万円を収めて釈放されました。結局バス、電車を乗り継ぎ帰宅したのが午後4時でした。

長かったなあ、患者データが共有されているので横滑りで転院ができると思ったマカピーの読みが浅かったのでしょうかね。

マカピーでした。

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