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ツバメをめぐる物語 マカピーな日々#0390

マカピーです。

4月になるとツバメが戻り、電線で賑やかさえずり巣をかける家から頻繁に出入りする様子を見ながら、マカピーはツバメが我が家に来てくれないかなあって思うのでした。

我が家にはツバメが巣をかける何かが欠けているようです。

ウズベキスタンの家のガレージの壁には。ツバメのつがいがやってきて巣をつくり始めた時マカピーはとっても喜んだものです。

それは子どもの頃の郷里群馬の実家では、家の中で巣をつくるツバメのために巣立つまで入り口の引き戸を閉めることがなかったほど大事にしていたからです。

ツバメが民家に堂々?と巣をかける理由は外敵のカラスやヘビから人間に身を守ってもらう事にあるのですが、当然いろいろな事が発生します。ウズベクではカラスに襲われたのか巣の一部が欠けて、中のヒナが転落しました。

ところが、愛犬レディがそれをパクリと食べてしまう緊急事態事案発生!

マカピーは、まずレディからヒナを吐き出させましたが、既にぐったりとして死んでいました。おそらく転落時に死んでいていたと思われます。

レディはゴールデンリトリバー種でその名の通り猟犬として主人が撃ち落とした水鳥などを湿地の水をものともせずに回収してくる能力があります。

ですからレディはその口にテニスボールを3個も咥えたまま走る能力があり、ニワトリ小屋から走り出てきた生きたヒヨコをパクリとしたことがありましたが、吐き出させると2羽とも生きていて、その後しっかり成鳥になりましたから、むげに「噛み殺す」ことはしなかったです。

マカピーは巣の下にはしごをかけて、カップラーメンの容器を半分にしガムテープで壁にくっつけ巣を補強をしました。

生き残ったヒナたちは成長して巣立って行きましたが、翌年からそこにツバメが巣をかける事はありませんでした。それはガレージの空間が大きすぎカラスの来襲を防げないとツバメが学習し放棄してしまったからでしょう。

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ネパールの首都を貫くバグマティ川カトマンズ地区とパタン地区の境界でその橋のたもとに「布団屋」がありました。

ネワール族の特徴ある家屋で「日干しレンガ」と朽ちかけた「瓦屋根」の背の低い店は街道に面していたのに橋の工事で道路がかさ上げされてしまい、道路から階段で降りる様な店構えになったのですが、沢山の買い物客で繁盛していました。

店は手縫いの日本風の中綿をいれた布団(マットレス)や掛布団を扱っていたのですが、その商品棚もれなく透明プラスチック・シートが掛けてあって、しかも鳥の糞で汚れているのでした。

「キッタナイなあ」ってマカピーも感じました。

しかも低い天井には電線が渡してあって、そこにビッシリと生きたツバメがいてペチャクチャジージーと賑やかです。

更に出入りする人の波を縫うように戸外に行ったり来たり飛翔するのですが、誰もがその様子に慣れていているような不思議な空間でした。

今風に衛生的な事を考えれば「トンデモナイ」話になりますが、そんな店が流行っている理由は、ツバメが幸運をもたらす神様の使いとして扱われ、商品に付加価値をつけていたようなのです。

「あの店で買う布団にはご利益がある」っていう感じでしょうか?

ところがそんなネパールに大きな地震が発生し、ランドマークだったビムセムタワーをはじめ王宮周辺の史跡も沢山崩壊してしまいました。

マカピーはその後ネパールを訪ね、かつて住んでいたパタン地区に行くのにバグマティ川の橋を徒歩で渡ってみました。

パタン地区に入ると、さっそく例の「ツバメの布団屋」を探したのですがもはやそこにはかつての倒れそうなお店はありませんでした。地震で崩壊してしまったのか、その前に商売をたたんでしまったのかは分かりませんでした。

布団屋のあった道路を進むと途中に懐かしい馴染みのお店もありましたが、モモ(餃子)やダルバートタルカリを食べさせるような粗末なお店はいつの間にかハンバーガー・ショップやインターネット・カフェに姿を変えていました。

一概に「むかしは良かった」とは言えません。それは衛生的にも人畜共通感染症のリスクを考えた時に相容れるものではないからです。

ただ、100年前は日本でも牛や馬の役畜と人が家の中で同居していた時代が普通にあったのです。

動物と近い生活をしていた頃は「神話」が生活の中に生きていて、子ども達がじいちゃんやばあちゃんの語る「昔話」に真剣に耳を傾けて、夢見ていた頃だったのではないかなあってマカピーは考えるのでした。

「ツバメの布団屋」が見えなくなったのを知った時、ネパールでも知らないうちに「伝説」がまた一つ消えていったような気がしたのでした。

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。ビスターリ(ゆっくり)ネパールを旅したいなあ。

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