仲良きことは美しきかな マカピーな日々#0184
マカピーです。
学生のころ一年休学して行ったのは米国アイオワ州の酪農家でした。そこで実習のお世話になっていた家庭には犬、猫、アヒル、、ニワトリがいました。
マカピーがビックリしたのは毎朝搾りたてのミルクを二つのパン(お皿)に入れてやると彼らが一斉にミルクを飲むのでした。
パンをぐるりと囲んで犬の隣にネコ、その隣にニワトリ数羽とアヒルが同じパンからミルクを飲む様子に最初はジーっと見入ってしまいました。
「うわー、こんな光景見たことない!」
そこの息子のロブが
「ヘイ、何見てんだよ。餌くれに行かないと遅れるぜ!」
「彼らはいつもこうして一緒なんだ。喧嘩しないのかい?」
「ハッ? 何言ってんだ。連中は昔からこうして一緒なんだよ」
「へー、面白いなあ」
「いつまでも見ていると日が暮れちまうぞ」
「オーケー、直ぐ行くよ」
個々の犬はオスのボーダーコリーのバウンサーでした。いさかいが嫌いな性格なのかニワトリとアヒルがいがみ合うと仲裁に入るほどでした。
ネコはBJと呼ばれた白黒のキムリック系の雑種とシット・アスでした。
「シット・アス」は非常に汚い名前ですが、捨て猫で住みついた時には下痢をしていたのでロブに文字通りの名前を付けられてしまいました。
BJは優雅で家の中にも出入り自由でしたが、シット・アスは決して家の中には入れてもらえませんでした。
主人のロバートは猫たちを呼びよせるときに「キーリ、キリキリキリキリ・・・・」とやります。つまりKittyなんですね。
それから家業である酪農牛にはボッシー(bossy)と呼んでいました。犬はもちろんドッギー(doggy)です。
マカピーは農家で育ったのでものごころついたころから犬がいました。彼らは番犬でしたからいつも鎖につながれていていました。
アイオワのバウンサーは小屋があっても鎖につながれていませんでした。
マカピーが結婚生活を始めたフィリピンのマニラで長男が生まれる前に最初の家族に加わったのはメスの小型雑種犬ハロハロでした。
車庫に小さな裏庭のあるタウンハウスでしたが、ハロハロは散歩に出かける以外は繋がれずに自由にしていました。
マカピーの三人の息子は彼女からじょうずに寝返りを習うほど一緒に暮らしていました。
ハロハロは次の国イエメン、ネパール、そしてカンボジアへ一緒に旅しました。最後は乳がんで家族に見守られて亡くなりました。
ネパールではポンタという大型雑種犬が合流したのですがジステンパーの接種をする前に発病して死亡。その後に友人が飼っていたジャーマン・シェパード(メス)のマナが加わりました。
マナはカンボジアのあとウズベキスタンに行きました。家を探すときは必ずマナの排便ができるように庭のあるうちが決まりでした。
5年の滞在で年老いたマナは私たちがウズベキスタンを去る1か月ほど前に肝臓疾患で亡くなりました。
そのマナと一年重なったのはゴールデンリトリバーのレディでした。
こちらおっとりした性格でおバカで臆病でとっても美しい家族の一員でした。以前書きましたが彼女は「お嬢様」育ちでインターコンチネンタルホテルのGM家族の犬だったので最上階の住居からエレベーターに乗って散歩に出かけるゴージャスな生活をしていました。
数奇な運命でマカピーの家に来るのですが、更に次の国ザンビアで4年ほど一緒に暮らしました。
帰国する際には私の仕事がどこの国になるのか決まっていなかったのです。
ルサカ(首都)の知人宅にしばらく預かってもらおうとしたら、お試しで連れて行ったその直後に、こともあろうにそこの奥さんが大事に飼っていたハンディキャップのあるネコを食い殺してしまいました。
レディの窮状を救ったのはカナダにいた次男で「僕が引き取る」と言ってくれたのでルサカースキポール(オランダ)-バンクーバー(カナダ)の特別カーゴに乗せてお別れしました。
ところがその2か月足らずで肺がんが悪化してバンクーバーでレディが死んでしまいました。
それ以来マカピーは犬を飼っていません。
これまでのように任国でも犬のために庭のある家に住むことが必須条件だったのが夫婦二人だけのアパートになりました。
そもそも日本にいつまでいるのか分からないから飼わなかったのですが、もう10か月近くいるので浮浪ネコに餌をやりながら
「どうだい?うちの子になっちゃうかな?」
なんて声をかけていると、早耳の奥さんが
「ダメに決まってるでしょう!」
「じゃあ、犬は?」
「もっとダメ。もう私は犬を飼わないって決めたの。レディが最後の犬なのよ」
どうも奥さん決心は岩のように固いのでした。
いろいろな動物が仲良く暮らすアイオワでの光景を今でも思い出すのですが実現するのはむつかしいかな?
マカピーでした。
ここまでお読みいただき大変感謝します。楽しいお話を毎日書き続けますのでどうぞお付き合いください。
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