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マカピーな日々 ヨルダン紀行(6) #0023

マカピーです。

ヨルダンの生活は1年余りでしたがそれ以来マカピーは毎日オリーブ油を口にすることになりました。ヨルダンへ行く前はそれほどオリーブ油が好きになると思いませんでした。

オリーブは乾燥した地域でも育つことから、ヨルダンの山間部でも栽培が盛んです。実はマカピーが勤務していた農業省は各種の優良な作物品種を農家に紹介ししていました。(世界的にはスペイン、イタリアなど地中海沿岸での生産が多いようで、スペインでの格付けが最も権威あるらしいです)

前号でお知らせしたデーツもその一つで並木としても利用できますが、やはり実を食べたいですね。実がつけば食べられるのかと思ったらそうではなく、熟さないうちにおいしくないまま終わってしまうものもあります。実が小さなコロコロとした品種から親指よりも大きなジャンボサイズまでいろいろあり、また糖度も香りも違い輸出品れべるになるとさすがにしっとりとして美味しいですね。

乾燥してカチカチのものはミルクにつけておくと食べやすくなるとアラブ語を習っていた際にZaki先生に教わりいくつか食べてみました。その後イエメンに行くのですが、そこで熟するとベチャベチャになる品種にであいました。スーク(市場)で初めてそのデーツを見たときの事を覚えています。なんと一斗缶に詰め込まれている塊を大きなドライバーで掻き出していたのです。そしてその周囲にミツバチが乱舞していてまるで養蜂をしているような景色だったのです。

きっとそうした種類もあるのでしょうが、ヨルダンの農園に生えているナツメヤシは上品な品種が多く、花房に沢山の実がつくと熟す前にミカン・ネットの大きいサイズの袋掛けをして鳥などの食害に遭わないようにします。また袋掛けしておくと熟して落下しても地面に落ちて腐敗しない利点もあります。

生のオリーブを最初に口にしたのは26年前のアンマンでした。イエメンから地中海に浮かぶキプロスを訪ねた際に、イエメンに戻る便がアンマン経由だったです。トランジットに10時間以上あったので空港近くのホテルに家族とともに滞在しました。今であればそれだけの時間があればペトラ遺跡を見て帰ってくることだってできたはずです。でも当時まだ乳飲み子がいて静かにしていましたが、あまりにも暇なので一人で戸外に出るとオリーブの木に実がなっていたのです。しかも黒く熟しているのが分かりました。

オリーブは瓶詰や缶詰のものが大好きでしたので、早速一つを摘んで口にいれ「いつもの味」を期待していたマカピーの舌にショックが走りました。ものすごいビリビリという刺激が襲い掛かったので慌てて吐き出しました。そうです、オリーブの実って塩蔵するなど処理をしないと食べられないのでした。

まさか、仕事でヨルダンに帰ってくるとは思いませんでしたが春先になるとオリーブの花がびっしりと咲きます。そして花が落ちると実がだんだん大きくなり秋口になると熟すわけです。面白いのがそのころに降る雨を農家の人が待っているのです。雨が来るとオリーブの収穫が始まる合図なのですがおそらく、早取りしすぎないように習慣的に行われていたようです。

オリーブは木の下に大きなシートを広げて、脚立に登って小さな熊手で書き落とす収穫スタイルが一般的です。雨が欲しかったのはその実についた誇りが落ちるからというのが理由と言われていますが、そんなパラパラ雨でほこりが落ちるとは思えません。最近は省力化をねらって電動のゴム突起物が回転して実を落とす機械なども販売されています。

実を落とすだけであれば幹にトラクターのアタッチメントでバイブレーションを与えて振動させて落とす手もあるかと思いますが、そのタイプを採用している例を見た事はありません。手間がかかる作業です。

収穫したオリーブは酸化が始まるで劣化をしないように素早く搾油工場に持って行きます。一度搾油工場を訪れてみました。現在は大型機械が稼働していて全自動で投入されたオリーブの選別、洗浄、破砕、搾油、充填、排泄などが行われます。しかしその工場の駐車場にはかつて利用していた巨大な石の回転臼があり50年前はこれで搾油作業していたのだそうです。

緑色の新鮮な油を手に取って舐めるとピリピリと舌を刺激します。かつて生のオリーブの実を食べたことを思い出させる刺激でしたが、気になるほどではなくむしろうまいと思いました。このようにコールドプレス(冷搾油法)型の行程では高温での搾油よりも油の生産量が少ないのですが質も味も格段にいいものができます。次々に一斗缶に詰める傍らで絞り切ったどろどろの残渣はベルトコンベヤーで工場の裏手のヤードに捨てられます。

実はこの残渣を型に入れて乾燥させると燃料ブロックになりますし、畑に還元できれば有機肥料としても利用できます。自動搾油装置ができてよかったのは貴重な水を無駄にしなくなったこと、作業ロスが少なくなったこと、収穫時期の大量処理が可能になった事があります。

日本に輸入されているオリーブオイルはバージンエキストラと書いてありますが、そのほとんどに製品に国際的な等級が示されていません。それは日本にその規格がないことをいいことに相当ひどい質のオリーブオイルが輸入されて出回っている事にもなっているようです。

日本でのオリーブ生産の中心地は小豆島でそこの製品など100mlで数千円するものもあります。ただ高いだけではありません。その業者が扱うスペイン産のオーガニックの油もそうですが、大量に売られている安いオリーブ油とはまったく別の製品と思ったほうがいいかと思います。現在は庭木としてもうまく育つ品種が導入され、埼玉県熊谷市あたりで栽培されている例をうかがっています。しかもそこではオリーブ油の生産だけでなく、薫り高いオリーブの葉っぱを練りこんだクッキーなども生産しているとのことでした。https://www.epbiz.co.jp/order.php

ヨルダンでは昔からオリーブ油も体に良いとされて「子供の頃から毎朝スプーン3杯のオリーブ油を飲んでいる」という女性がいました。マカピーも朝食のパンにはバターの代わりに必ず新鮮なオリーブ油とバルサミコ酢を混ぜパンを浸して食べています。

でもそろそろヨルダンで手に入れたオリーブ油が尽きようとしていて、さてどうしたものかと安心できるオリーブ油を日本で探しています。笑

それから、最近の研究ではオリーブの実だけでなく樹形を保つために剪定する整枝作業をしますがその時の枝や葉には抗酸化作用物質が豊富に含まれてアンチエイジング効果が期待できるそうです。その技術開発をヨルダンのオリーブでも利用すれば産業育成にもつながると紹介してみたのですが日本側の人員体制が十分でなく話が進まなかったのは残念でした。

次はオリーブ油でできたアレッポ石鹸を紹介しますね。

マカピーでした。


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