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ノロオちゃんが牢屋に入りたいんだって!マカピーな日々#0516

マカピーです。

RCサクセッションが大好きなノロオちゃんが「ボクも監獄に入りたいなあ」って漏らしたのは、ネパールの我が家でワインを飲んでいた最中で、マカピー妻の話を聞いていた時のことでした。

当時マカピー妻は、「監獄訪問」というボランティア活動に加わっていました。友達から「話せる言語を登録すれば、訪問者の少ない死刑囚の気持ちも落ち着くだろうから」という誘いで中央刑務所に毎週のように出かけることになったのでした。

スタジアムの近くにある刑務所は普通の建物と変わらない外観でした。結局マカピーは一度もその中に入った事はなく、マカピー妻からの話を聞くばかりでした。

ノロオちゃんも興味深くその話を聞いていたのには理由がありました。マカピー妻が言うにはもちろん悲惨な状況の人もいるのですが、囚人でもお金があればいろいろできるというのです。

例えばマカピー妻が毎回の訪問で1時間ほど話の相手になっていたのはカシミール人のシンさんでしたが、彼は暑い日などマカピー妻に監獄を出入りするカンチャ(下男)に言ってコカ・コーラを買って飲ませてくれたりしたのです!

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更にマカピー妻がよく見ると、頻繁に外部で洗濯もしてもらい、料理もレストランから取り寄せ、なんとインターネットまで引いている「金持ち囚人」もいると聞くに及んで、突然ノロオちゃんの目の色が変わったのでした!

ノロオ:「ボク、仕事に行かないでそこの監獄に入れてもらえないかな?」

マカピー妻:「ノロオちゃん、何考えてんのよ?」

ノロオ:「だって、聞いている限りでは、かなり持ち込みも自由そうだし、それはホテル並みの生活じゃないか!きっとボクが会いたくない人は、絶対そこへ訪ねてこないしさ。食べ物と、PCにインターネットがあればボク全然大丈夫だから!

ノロオちゃんはお医者さんだったのですが、どうやら悩みがあり「ひきこもり」を目指していた様子だったのです。

マ:「だって、罪を犯して囚人にならなくちゃ監獄に入れないんだろう?」

ノロオ:「ネパールだったら少しお金を払えば入れてもらえそうじゃない?ネエどうなの?」

マカピー妻:「私が相手をしているシンさんは、どう見ても冤罪だと思うんだ。たまたま殺人現場近くにいたらしょっ引かれて殺人罪が適用されちゃったんだから!」

ノロオ:「そのシンさんの保釈金をボクが立て替えるので、代わり入れないかなあ?」

マカピー妻:「ノロオちゃん、私の話聞いてる?終身刑の受刑者なのよシンさんは!でも弁護士がいい人らしくって,シンさんはどう考えても冤罪だけど、この国では真犯人が名乗りを上げない限り、判決を覆すことはできないだろうって、脱走を勧めたんだって!」

マ:「ええ脱走!そんな事可能なの?」

マカピー妻:「どうやら、中央から別の刑務所に身柄を移送する時に普通のタクシーを使うので、金を貰った護衛官と運転手が途中で脱走させるそうなのよ!」

ノロオ:「ボクが出そう、そのお金」

マカピー妻:「ところが、シンさんはカシミールから家族が送金を受けているのだけど、金で法を破る事は出来ないってその話にのらないのよ!」

マ:「そんな真面目なヤツなのかい、シンさんて?」

マカピー妻:「そりゃ、あなたやノロオちゃんのようないい加減なところがないのよ!いつも自分の故郷をグレート・カシミールって誇っているんだから!」

ノロオ:「ボクははたけば、ほらホコリがでるでしょう!(笑)」

マカピー妻:「バカな冗談言ってないの、ノロオちゃん!それよりディディ(お手伝いさん)に頼んでその何か月も洗っていないセーターを何とかしなさいよ!」

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そんな話をしてしばらくしたある日、マカピーが自宅に戻るとマカピー妻が元気なさそうでしたので声をかけました。

マ:「どうしたの?今日は監獄訪問の日だったよね?」

マカピー妻:「ほら、刑務所前にチャイ(お茶)屋さんがあったでしょう。私もシンさんから、よくそこのオッサンの作ったチャイを貰って飲んでたし、毎回の訪問でも行き帰りに挨拶もしていたのよ」

マ:「それで?」

マカピー妻:「そのオッちゃん、今日店のそばに生えている大きな木の枝にぶら下がって自殺しちゃったのよ、私ブラーンとしているオッちゃんをしっかり見ちゃったのよ。今日は子供を連れて訪問したんだけど、思わず子供たちに、木の上を見ちゃダメって叫んじゃったよ」

マ:「塀の中の囚人もつらいけど、そこから紙一重の外のシャバの世界もつらいんだよね」

マカピー妻:「私、なんだか疲れちゃったわ」

もう20年以上前の話でした。

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。いろんな生死があるのでした。


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