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モモイロペリカンの行く先は? マカピーな日々#0467

マカピーです。

ヨルダンの死海の北部、ヨルダン川が流れる地域が「ヨルダン地峡」と呼ばれ大地溝帯の谷底は海面よりも低い位置(死海の湖面は海抜マイナス400m)で、意外にも冬でも温暖でオレンジなどの果樹栽培が盛んでした。

マカピーがモデル果樹園農家での研修に立ち会った際に、そこから見える対岸側(イスラエル側)の丘の上にいくつもの風力発電のプロペラが回っているのが分かり、実際にそこの農場も1kmも行かない先は国境で銃を持った軍人が検問している状況でした。

研修ではそこの農場主に地域の農家に熱帯植物のグアバの効果的な潅水方法について話してもらっていましたが、マカピーにはアラビア語が分からないし、彼とはその前に打ち合わせをしていますので、一人離れて研修の様子をカメラに撮っていると視界の上方に動くものを発見!

なんとモモイロペリカンの群れがパレスチナ側から飛来してきたのです。


実にゆったりと飛翔しながら編隊を変化させて、ヨルダン川上空を死海方面へ飛んでゆく様子を飽きもせずに見上げながら「ペリカンには人間が勝手に引いた国境って関係ないよなあ」とフォークルの謳う「イムジン河」を思い出しながら感傷に浸っていると、講義中の農場主から声がかかりました。

「マカピー、そんなに水鳥が珍しいかい?たまには説明しているボクの姿を写真にとってもいいと思うよ!」と英語で声をかけられた時、皆がこちらを見て笑っていたのでした。ヤレヤレ。


この乾燥地域での農業開発の一つに、ため池を活用したティラピア養殖があります。ティラピアは和名を「イズミダイ」と呼び1950年代に中東(つまりこのあたり)から日本に輸入されました。

河川の水で育ち、肉質がタイに似ているので期待されました。凍結するような厳しい冬は生き延びられないティラピアは一部の温暖地域や温泉の排水を利用して養殖をしたのですが、河川の魚にある臭みもありほとんど廃れてしまいました。

ところが、このティラピアは日本から皇室外交で今度はタイへ渡り動物性たんぱく質の食糧増産として各地で養殖されるようになり、更にはフィリピンなどでも大量生産しています。

オリジナルは中東、北アフリカらしいのですがヨルダン川やガレリア湖でも昔から食べていたようです。

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イエス・キリストの使徒の一人「ペテロ」ともう一人はガレリア湖の漁師でもあった事から、クリスチャンの方はティラピアを「聖ペトロの魚」と呼ぶと聞きました。

アフリカ南部のザンビアでも、地元料理の「シマ」の付け合わせと言えばチキンかティラピア(ブリームって言ってました)と相場が決まっていました。

マカピーは魚の養殖はどうやるのかと全く知りませんでしたが、教わってみると実は飼料を与えない魚は大きくならないけど、ある一定温度になるとメスはどんどん卵を産んじゃうので池中小魚ばかりになってしまい商品価値がないのでした。(大規模養殖場では繁殖させないようにホルモン剤でオス化させている場合が多いそうです)

この地域に導入したのは、農業用灌漑用ため池を利用して、そこに「浮きイケス」を浮かべその中のティラピアだけに高たんぱく濃厚飼料を与えるとみる見る間に500gほどになり、とても美味しいのでした!

ヨルダン渓谷内の用水は公社が管理していて、農業経営では料金を払ってこの用水を使うのですが、すこし塩分を含んでいます。

しかも供給が不安定なので農家は農地の隅には黒い防水シートを敷いたため池を作っているので、そこを利用しての養殖を考えたわけです。

マカピーが不思議に感じたのは、イケスの上部を漁網で覆っている事でした。ドロボウであれば簡単に結び目を解いてイケス内の魚をすくって盗むことが出来るからです(実際に盗難被害があります)

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「マカピーさん、この網をかけるのは水鳥対策なんだよ!あいつらが集団で飛来するとあっという間にイケスを空っぽにしちゃうんだ!」

そうか、あの南にむかったペリカンたちは、無防備なイケスを狙っているのかと思ったら、なんだか可笑しくなってしまいました。

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。野生生物のしたたかな生き方は見習う事が沢山ありますね!



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