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「幸福行きの切符」を入手して(2)マカピーな日々#0562

マカピーです。

2019年8月のブータン王国旅行記の第2回目をご紹介しています。

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ヨルダンの首都アンマンからイスラムの大祭イードを利用して2019年8月10日から15日までブータン王国を訪ねてきました。


建築様式が面白い

ブータンでは、新築の際に必ず伝統的建造物を踏襲することになっているらしいのです。それって本当に凄いことなんです!!
だって、高級外資系ホテルのメリディアンなども例外なくそれに従って、仏画が描かれていて仏教的伝統的構造と装飾となっていているのです!

こうなると全部手作りですから、町全体がまるで博物館のような独特の景観を呈しています。

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なるほどなあ、こうすれば自然と伝統的な木材加工技術や装飾、塗装の需要があり、技術の継承もできるのでマカピーはとてもいい考えだと思いました。(日々の建設が将来的な観光資源を生んでいるようなものです)

もっとも屋根材に天然スレートを使う家は少なく、高級ホテルでさえトタンで屋根を葺いていたので、ちょっとがっかりしましたけど。


マカピーがその建設で嬉しいと感じたのは、新築ビルの建設でも「竹「を使ってた事で、竹の足場を使っているところに出会えて感激しました。

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効率化よりも人手をかけてモノや伝統が循環するブータンの独特な社会構造は、単に昔の遺産に頼って生きる世界各地の観光地と一線を画す考えだと思いました。


買い物事情

外国人も利用するスーパーマーケットにはお隣さんである大国インドや中国からの製品だけでなく東南アジアからの品物があり、ビールも地元産から輸入品まで種類がありました。

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一般に「ブータンは鎖国状態の国」みたいなことを言われることが多いのですが、利用したい人にとっては多少高価ながら、さほど違和感はありませんでした。

マカピーの目から見て一般の物品の価格もそこそこです。伝統的衣装の「ゴ」や女性の「キラ」の生地屋さんにも行きましたが。相当な金額になるものが多く、給与がさほど高くない国民が買える価格なのかは疑問でした。


ブータン国民は日本人と違い、外国人へのコンプレックスがないようなのです。そしてよくある外国人価格設定など「ぼられる」ことはありません。

マカピーにとっては、住みやすそうな印象でしたが、友人夫妻に尋ねると「まあそうなんだけどね。なんだか飽きちゃうんだよね」とポツリ。

確かに人口70万くらいのコンパクトな国ながらこの国で作られたテレビ番組や映画もやってました!

ブータン料理の特徴

かつて5年間過ごした近隣国のネパールではお馴染みの餃子(モモ)などもあるのですが一般の人の食事はネパールよりもシンプルのようでした。

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ただし猛烈辛い! 

基本的に唐辛子が野菜の代表で、それにチーズがおかずの代表らしいです。

なるほど、地元の公設市場に行けば、石ころのように硬い乾燥チーズと山のように積み上げられた各種の唐辛子類を思い出しました。

かつて協力隊経験者だった別の友人は当時の事を思い出して、青物野菜がなくなる冬場には、もっぱら唐辛子のスープばかりを飲んでいたと信じられないような事を言ってたのでした。

マカピー妻はタイ料理で鍛えていたのでかなり、辛さに対する耐性があるのでしたが、今思い出しただけで汗が出てきそうです。

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それは友人夫妻に誘われて民族料理店でブータン料理のセットを頂いたのですが、辛さに弱い私としては胃がひっくり返りそうだったからです。

勿論、マイルドな辛さの料理もあるのですが基本的に超辛い。なんであんなに辛くする必要があるかと思うくらい辛いのです。

おそらく幼いころから慣れているのでしょうけど、その味を経験していない赤ちゃんだったら、その辛さに「ひきつけ」を起こすでしょう!!

宗教と肉食について

マカピーたちは週末に開くという公設市場に行ってみて、東南アジアの国の市場と比べると野菜の種類が少ないように思いました。

この国は殺生を嫌うので川魚も獲れないというのです。

ですから市場で売っている干し魚はいろいろ種類がありましたがもっぱらインドからの輸入品だそうです。(それを食するのはいいのかな?)

チベット系仏教戒律が浸透しているので、殺生をしないという事では、人の血を吸いに来た蚊も殺さないのだそうです。

「ほら、あっちにゆけ」と手で追い払うだけで、ピシャリとやるのは御法度だそうです。

友達は、血を吸った蚊をぴしゃりとつぶして、「ほら、こんなにボクの血を吸ってたんだ」と手のひらを同僚に見せたらいやな顔をされたそうです。

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それだったら市場や、道端でカチコチに乾燥し、まるで縄のれんの様にぶら下がるチーズはいいとして、そのそばで売っている干し肉(ものすごいケモノ臭いヤク牛の肉)はそもそも誰が屠殺したのでしょうか? 

それから街中にはベーコン(豚)が所狭しと垂れ下がった肉屋も見かけ繁盛しているように見えました。


ブータンの人口の20%はネパール人といわれています、それからバングラデシュ人もいます。インド人もいます。

干し魚の輸入のように、ヒンズー教やイスラム教の異教徒に殺させているのでしょうか?

殺生と肉料理ちょっと不思議な関係だと思いました。

ブータンはキノコの国?

8月中旬はちょうど出回り始めたタケノコ類に混ざってマツタケ(1kgで3200円程)がありました。
日本では秋の収穫期ともなると一本数千円するような代物とは、まったく縁遠い生活をしてきたこともあり、ブータンでドーンと立派な姿に巡り合っても正直なところピンとこないのでした。

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お料理上手な、友人の奥さんにマツタケご飯を作ってもらい確かに美味しかったです。

ただ、別にマツタケでなくてもいいかなあ?的な何故かしらマツタケに申し訳ない気分になるのでした。

友人も「最初は喜んで食べたけど、毎日だと飽きちゃってそれほど美味しいと思えないんだよね」とマカピーと同じく一般庶民を代表するような感想を言っていましたので少し安心しました。

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そのほかにも各地でいろいろなキノコを見る機会がありましたが、市場で見る種類は限られていて、食用できる種類はあまり多くないようでした。

ティンプーの街

ここを歩いて気付くのは町が可愛いほど小さい!のです。
繰り返しになりますがこれが首都かと思うほど小さい。
そもそも国の面積が九州程度で総人口がたったの70万人程度なんですね。

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もっとも標高7000メートルを超えるヒマラヤの山地からインド国境の亜熱帯低地までのバリエーションはあるけれど、基本的には同じ並びのネパールと同じで、地形的にはユーラシア大陸にインド亜大陸が衝突した地形です。

その特徴はアコーディオンの蛇腹のように急峻な山の間を河川がジグザグ流れる特徴があります。

ですから、同じ山地といっても日本のそれとは趣がだいぶ違います。
しかもティンプーやパロの植生を見ると火入れがされた二次林が広がり、その土壌も貧弱でさらに道路の法面(のりめん)を見ると、雨があると土砂崩れを起こしそうな脆い地層でした。
実際に雨季の豪雨があると道路封鎖も頻発するとの事で、この国の移動の厳しさを納得しました。

それでも首都ティンプーには10万人ほどが住んで、ほかの地域から見ればこれでも大都会なのでしょう。そこに政府中央機関、学校、商社、援助機関も存在します。時間によっては街中で交通渋滞も起こるのですが、車両は極めて低速度で運行しています。

市内を路線バスもたまに走っていますが、友人は職場までの2㎞程の距離を朝はタクシーで出勤し、帰宅は徒歩で帰宅していました。

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交通法規遵守はかなり厳格で、歩行者も横断歩道以外で渡ると警官に注意を受けるそうです。(街中以外に横断歩道が存在しないのに)

驚いたのは車のシートベルト着用は世界中の常識だと思っていたのですが、ここでは山地形の悪路での転落時の生存率が低いとかで、義務化されていないそうです!!!

さらに公共の場所、事務所での喫煙は全面禁止です(隠れて吸っている人はいるそうですが)

観光地巡り

友人の案内で隣のパロ県に行きそこの古いゾン(県庁と寺院が合体したようなもの)を訪ねました。
このゾンはとても美しく映画「リトルブッダ」のロケ撮影にも使われたそうです。キアヌ・リーヴスが主演だったかと記憶していますが、ブッダが誕生して歩く様子は、マカピー次男の親友でネパールの友人夫妻の長男ジミーの足をだったそうです。

観光のハイライトは何といっても「タクツァン寺院」という8世紀ころ開山された標高3000メートル以上の断崖絶壁に立つ寺院でした。

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山の中では雲霧森林帯のような森を抜けるのですが枝に絡まるサルオガセや地衣類そしてウスユキソウ(エーデルワイスの近種)に紅いシャクナゲの花がまだ残っていました。

私たちが訪問する2日前には大雨でお寺の手前にある滝の水量が多すぎて観光客が通過できなかったそうです。
世界中から沢山の観光客がこの寺を目指して訪れてきますが、一番多いのは地元ブータン人に次いでインド人で、彼らはビザなしで入国できるのだそうです。

幸福度No.1の国ブータンの魅力

今回ほんの短期ながらブータン王国を訪ねてみて、つくづくと国民の「幸福」とは何か?考えました。

それは、他人との比較をせず「足るを知る」生活をし、健康に毎日生活できる事を喜ぶで質素で強固な信念(仏教)にあるように思えたのでした。

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それを、伝統的な橋のたもとで、犬たちに囲まれてたたずむ初老の男性を見ていていたら、フッとそう思い浮かんだのでした。

マカピーは同時にそれこそが、現代社会で難しい生き方かも知れないと思い至ったのでした。


マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。これで完結です!


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