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インビクタスの丘 マカピーな日々#0509

マカピーです。

昨日の話の続きです。

さて、ジョンの車は大学を抜け、広場のある丘に登って行きました。

うかつにも何も前情報なしに出かけて行った先のユニオン・ビルディングとは大統領府だったのですが、初めてなのにマカピーに見覚えがありました!

それはクリント・イーストウッド監督映画「インビクタス」に出てくるシーンでネルソン・マンデラ大統領がここにスプリングボックス(ラグビーチーム)の主将フランソワを呼びつけた際に出てくる見事な建物だったからです。


ああ、そうか。あのシーンはここだったんだ!マカピーは背筋がゾクゾクししました!

あれ?これまだでM国って言ってたのに、自分でバラしちゃったよ!(笑)

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ところが、マカピーが興奮気味にその事をジョンに伝えると、あまり乗り気のない返事が返ってきました。

何かあったのかと思い、話題を変えて先ほど彼が電話していた時の言語が気になったのでその事を尋ねました。

ジョン:「この国は公式言語が11あるんだ」

マ:「そうなんだ。で、ジョンの言葉はどこなの?」

ジョン:「じつはボクはここの国の人間じゃないんだ。ジンバブエ人なんだ。妻のメモリーもそうだ。15年間この国に来て働いていている。子供は二人いるけどジンバブエの学校なんだ」

ご存じの通りジンバブエは以前南ローデシアと呼ばれていて、独立後は国の経済を牛耳っていた白人社会との融和をはかり上手く行きそうでしたが、彼らの資産を国有化する政策に切り替えたことで国の経済が破綻してしまいました。

ザンビアの日曜市場にでかけると、ジンバブエ紙幣がお土産で売られていました。なんと億ではなく、京とかがつく単位の紙幣が刷られていたのです。

もはや自国の通貨に何の意味もなくなってしまい、人々は周辺国へ出稼ぎにでて、白人農園主もザンビアで新しい農園を開いたりしていました。

やがてフリーダムファイター(独立戦士)で長年ジンバブエに君臨したムガベ大統領も亡くなるのですが、いまだにジョン達のように出稼ぎしている人が沢山この国にはいるのでした。


マ:「そうなんだ。次はいつジンバブエに戻るの?」

ジョン:「来年・・・かな」

マ:「ボクはザンビアに4年間いたから、ザンビアやジンバブエの人が沢山南アに仕事に来ているのを知っている。ザンビアでもジンバブエから働いている人を知っている。そうだ、マカピーの三男の大学時代のベストフレンドはジンバブエ人で、彼の結婚式にも呼ばれているんだよ!」

出稼ぎに来ているこの国に対するジョンの気持ちは複雑なものだったに違いありません。特に故マンデラ大統領の登場で明るさが取り戻ったこの国でさえ、前大統領の投獄等で南アの政治不安が募っているからです。

それでもジョンとは色々な話をしながら、丘陵の庭園を廻って帰ってくるとそれまでの陽気なジョンに戻っていました。

駐車場の脇に土産物屋がありました。南アでは交差点ではトウモロコシを売っている人もいるのですが、マカピーはまだ入国して日も浅いのでこうした路上での商売をする人を見かけることが少ないのです。

土産物が並べてあるテーブルに、ザンビアでよく見かけた懐かしいビーズ細工のなかにティラピアの彫刻されたキーホルダーがありました。

マ:「ほら、これがティラピア。ブリームとも呼ばれてるよね。これをフライしたシマ・フィッシュがマカピーの好物なんだ!(シマはトウモロコシ粉を練ったザンビアやジンバブエの郷土料理)」

すると売り子のオバちゃんが反応して「なんで、おまえさんがシマを食べるんだい?」というので「だってルサカに4年いたからね」と言うと「私もルサカから来たのさ!」というではないですか!

おお、ジンバブエ人の次はザンビア人の登場だよ!

しばらく彼女と最近のザンビアの話をしていたら時間がたったので「じゃあ、また会おう」って離れようとすると「なんか買ってっておくれよ!」というので立ち止まって小さなプラスチック袋を見るとキャタピラー(毛虫を煮て乾燥したもの)がありました。

マ:「黄色のと黒があるね。マカピーは緑色が好きなんだ!シマ料理にはキャタピラーがあると最高だね!

買って帰ろうかと思ったのですが、財布を車のトランクのバッグにしまっておいたことに気づいた。(車上荒らし対策でウインドウから見えないトランクにしまうのがここでの常識)

「また来るよ、元気でね!」というと「またそんなこと言ってさ、いつ来るのかはっきり言ってちょうだい!」と背中にオバちゃんの声が飛んできたのでした。

そうだな、インビクタスの丘に再度訪れるのはいつのことになるかなあ?

マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。ありゃりゃ国名がバレちゃった。





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