タパイに酔った頭で適正技術を考えた頃があったのだ!マカピーな日々#0335
マカピーです。
マレイシア国サバ州のルングス族の村に2年ほど住んでいた際に、どぶろくを作りました。
村人は台所の壁につるした「タパイ」と呼ばれる麹(こうじ)を使って米やキャッサバ芋、バナナなどに混ぜて壺状の甕(かめ)に仕込んでどぶろくを作っていたのです。
出来上がったどぶろくも「タパイ」と呼んでいました。
吊るしてあったタパイは麹餅と呼ばれるもので、麹が繁殖したコメ麹を丸いビスケット状にして穴をあけそこにヒモを通して、台所の火のそばで乾燥させておくと長く保存がきいたのです。
マカピーの作ったタパイは、まずまずの出来でしたが、直ぐにショウジョウバエが湧いてきて大変だったのでした。
そもそも村人たちの住む家の台所といってもガスレンジなどなく、石を三つ置いた上にナベを置き焚き木で料理するものでした。
当時は竈「かまど」さえ使っていなかったのです。
かまどは「鈍重」な感じの土やコンクリートのかたまりに見えますが熱効率を飛躍的に上げる効果があります。
「はだか火」といわれる焚火や囲炉裏火(いろりび)ではそのほとんどの熱は鍋に行き渡らないのです。つまり無駄です。
もっともキャンプではその無駄がぜいたくになるのですけど。
たしかに焚火を囲んでの団らんは、とてもいい雰囲気を作り出しますが毎日料理するための焚き木集めをするってのは、それで暮らす人たちにとっては大変な作業なのです。
かまどをつくればその熱効率が2倍にもなるので、焚き木は半分の量ですむことになります。
これってすごい事ですね。(これが適正技術という事になります)
もっとも、ガスを利用したりオール電化が一般化した日本ではその利用価値について知る人は少ないかも知れません。
でも世界中にはこうした現地に適した技術を求めている人々がいます。
それが「適正技術」(appropriete technology) といわれるもので、求められるニーズに対して最適な技術を持ち込むことで、多くの人の手助けになればそれに越したことはありません。
いまだに、焚き木を求めて長い距離を歩いて、木を伐採しそれを持ち帰る生活をしている人は世界中に沢山います。
マカピーもその現場に行って見ると、いわゆる違法伐採に対して「環境破壊だから止めよう」という事が簡単ではないことが分かります。
だって他に手段を持たない彼らが、毎日の煮炊きをする燃料をどうやって手に入れるのでしょうか?
更にマカピーがある国の田舎道をクーラーの効く車中でペットボトルの水を飲んでいるとします。
すると車窓の向こうで砂埃だらけの道を子どもたちが水をポリタンクに汲んで長い家路を歩いているのです。
どう見ても、ポリタンク内の水は濁っているので止まって声掛けします。
「その水は衛生的じゃあないのでお腹をこわすから飲まない方がいいよ!」
忠告は正しいかも知れませんが、これってもはや「バッカじゃないの?!」的発言です。
誰が好き好んで、濁った水を飲みたいと思っているのでしょう?
マカピー自身がその子どもたちだったら、・・・・。
「I know but (わかってるよ、でも・・・)」 としかいえないだろう。
子どもたちは途中で幾度も腕が抜けそうな程の苦労をしながら水を運んでいるんです。
国際協力なんてどうでもいいけど「何とかしようぜ!」って気持ちが湧いてくるのは自然な気持ち。
ルングスを含むカダザン系の住民の結婚式では、タパイの壺がたくさん並びます。そこに細い竹のストローで発酵した酒を飲んで祝うんです。(一週間も続けることもあるそうです!)
やがて興が乗ると銅鑼(どら)が打ち鳴らされると、踊が始まります。マカピーも誘われて踊りに加わります。
薄暗いランプの光の中で、腕を上げます。自分は鷹になり女性の踊り手をうかがう様にその周囲を飛び交う感覚はとても自然な感じ。
踊りで酔いが加速され、飲んでは踊り、踊っては飲む繰り返しの中で頭がもうろうとしてきます。
声:「マカピーよ!お前何やってんだ?」
マ:「タパイで酔っ払っちゃったよー、ハハハ・・・」
声:「バカ野郎だな、お前は!」
マ:「・・・ウン? いったい何の事だい?」
声:「お前はいいさ、お客さんとしてここに来て時間がたてば、日本に帰ってゆくんだろう?」
マ:「そりゃそうさ、日本が自分の国なんだから」
声:「俺が言いたいのは、ここの人たちに、ちゃんと恩返しできてるのか?って事だ」
マ:「え?・・・・」
声:「彼らはホントに優しいから、お前に何も要求しなかったろう?それをいい事にお前はなんもしないで逃げるのか? 村人の生活が楽になる事をちゃんと伝えたか?お前のミッションは完結したのか、エエ?」
汗が吹き出し息苦しくなり、マカピーは目が覚めました。
思い出した・・・・マカピーの答えはまだ出ないままなんだと。
最後までお読みいただき感謝します。麦焼酎で酔った頭でミッションが終わっていない事に気づいたよ。
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