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ムッシュこっちにどうぞ マカピーな日々#0290

マカピーです。

高校のクラスメートに気になるヤツがいました。

地方都市ながら、老舗家業の息子せいなのか独特のファッション感覚をしていました。

彼の家に遊びに行くと三味線の音がして尋ねると「あれ、おふくろ」後でお茶を入れてくれたけどさすがに着流し和服姿で田舎育ちのマカピーにはドキッとする優美さを感じました。

全然あいつと似てないじゃん?

彼は部屋で好きなジャズやロックのレコード(LPだよ)をかけてくれるのだけど、聞き終わるとジャケットにしまわずに床に散らばらしたままで更にその上を歩いていたのにはびっくりしました。

なんだこいつは?

学園祭でクラスの出し物を考えたところ、カメラ好きが3人ほどいた事から安易に「写真館」をすることにしてその背景をつくったりしたのです。

いつも「だるいぜ」という割に頼めば手伝ってくれる彼に「来てくれたお客に渡す「しおり」を作るからその絵をかいてくれ」と頼んだのでした。

短冊状の色紙に数人が絵をかいて行くのですが、マカピーは彼の絵を一目見て好きになりました。

ウマヘタの和田誠風のユニークな線画でマカピーは記念に一つ貰いました。

東京の大学へ行くと彼はジャズがやりたいとサックスをやっていました。たまたまマカピーがカンボジアで仕事をしている時に出会った人が、学生時代彼とセッションをやったと知ってかなり上達していたそうです。

卒業後やつは広告会社に入りコマーシャルを作っていたけど嫌になってその会社を辞めて、かねてから美術を勉強したいとパリに行きました。

ところが、彼はその美術学校にも数日で飽きてしまい、モンマルトルのサクレクール寺院前の階段で似顔絵を描いていたんだそうです。

ある日、階段で絵を描いていると、フランスのオニイサン二人が現れ「ムッシュ、こっちにどうぞ」なかば強制的に人通りのない場所に連れて行かれました。

ヤベー

そこに日本人男性がいて、彼にこう尋ねたそうです。

「あなた、何期?教授は誰?」

「え? はい○○大の先生ですか?もう覚えてません」

「なに?芸大じゃないの。じゃあ戻っていい・・・」

その日本人は芸大出身ながらここでショバ代(めかじめ料)を取っていたらしいのですが、芸大以外には興味なかったようでした。

彼はその後しばらくパリにいたけれど、友達に見つかって日本の広告業界に引き戻され?コマーシャルを作り続けているんだ、会っ10年ほど前に会ったたときに言っていたっけ。

売れっ子監督で「これから東京のスタジオに戻らなくちゃなんないんだ」とも。

そのクラス会で女子の一人が「実は小学生の頃彼と一緒の絵画教室に行ってたのよ。先生がユニークでね、みんなのびのびと絵をかけてよかったわ」

モンマルトルの丘でめかじめ料を請求されなかった彼の似顔絵というのは、あの頃の「ウマヘタ線画」だったような気がするんだけどなあ。


マカピーでした。

最後までお読みいただき感謝します。明日もマカピー的史観をお届けします。


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