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それって枝じゃないんですけど! マカピーな日々#0436


マカピーです。

昨日の「ラズベリー・ハンター」に続けてのお話を続しです。

そもそも、木苺ごときで東北地方でクマを仕留める「マタギ」のように、けものを狩るわけでもないのに「ハンティング」なんて大袈裟だろう?って思う方がいても不思議はありません。

でも、アウトドアでの活動なんですよ、対象が植物であっても「ハンティング」でいいなあってマカピーは思うんです。

そして「ハンティング」って、一つ間違うと逆の立場になることもあるのです。つまり狩られる側に転落する可能性だってあるので、気が抜けないんです。

つまり「ハンティング」はサバイバルゲームなんですよ!

それは、日本の民家近くの里山であっても、ちょっとしたことで大人でも簡単に迷子になってしまう可能性があるから、「カミカクシ(神隠し)」と恐れられていたのです。

しかも、小さな崖でもそこから転落し、、運悪く骨折してしまえば身動きが取れなくなります。

さあ皆さん、そんな時あなたらならどうします?

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マカピーが以前マレイシア国サバ州の村青年海外協力隊(JOCV)の村落開発の活動で暮らしていた頃の事です。

マカピーはフッと思いついて一人で集落を見下ろせる裏山に登ってみたくなりパラン(蛮刀)を腰に出かけて行きました(誰にも行く先を告げずに出かける時に事故は起こりやすい!)

麓から見上げた時には簡単に稜線に出られると思ったのですが、アランアランとよばれるチガヤの草地帯の急登を行くと熱帯の強烈な日差しにあぶられて頭がくらくらし途中で引き返そうかと思いました。

ようやく頂上近くになり茂みの中に入ると日差しが弱まり、ヤレヤレと一息つこうと近くの木の枝に手を伸ばして、慌てて引っ込めました。

それは枝でなくて、猛毒のグリーンスネークが首を伸ばしていたからです。通常ヘビは危害を加えない限り逆襲しませんから、そっとその脇をすり抜けさらに登って行くのでしたが、もう心臓はバクバク状態でした。

もしも、運悪くグリーンスネークに嚙まれていたら、マカピーは麓に助けを求める間もなく確実に絶命していたでしょう。

それとも直ぐに腕を縛り上げて血流を停めた後で、傷口を蛮刀で切り裂いて毒を吸い出すなんてできるだろうか?

普段から、すぐ近くにある危険にどう対処するべきか、救急医療の知識は誰でも必要ですね!


さて、マカピーはこの村に来てニワトリの試験飼育をすることになり、村の人の協力で鶏小屋を作ってヤシ畑の中に放し飼いのネットも周囲に張り、一休みしていると黒っぽい日本のアオダイショウのようなヘビに出会いました。

マカピーは子どもの頃からヘビが好きで、そいつも木の枝で首を抑えて捕まえてみました。「こら、放せよ!」っていう感じで腕に絡みついてきてその冷たい爬虫類の感触に喜んでいました。(ほとんどヘンタイ?)

ところが、その頭部を観察しようとすると、この蛇はシュッと唾を飛ばすのです。

へー、舌をチョロチョロ出すヘビは普通だけど、唾を飛ばすとはさすが外国のヘビだ!なんて珍しいのを喜んでいました。

ヘビで遊んでいるとやがて村の子供たちも寄ってきました。それで黒いヘビを見ると指さして「こいつはアブナイ蛇だぞ!」っていうではないですか!

え?頭もハブのようなハート形の無毒タイプでないし、おとなしいアオダイショウの仲間くらいに考えてたんですけどー。

そこに村一番のインテリなオジンピンがやってきて「マカピー、そいつは毒蛇で英語ではスピッティング・ブラック・コブラって言うんだ。コブラだから牙にも毒があるけど、その唾(スピット)が目に入ると失明するよ」

なんと!アオダイショウのつもりで捕まえたヘビが毒蛇だったとは!!

マ:「オジンピン、ボクこれからどうしたらいいと思う?」

オ:「村の周辺にいると危ないヘビだし、村の子供も被害にあうか分からないから殺してくれ」

マ:「・・・やっぱり、そうか。仕方ないな、ゴメンよ」

マカピーはいつも腰にしていたパラン(蛮刀)でヘビの首を切り落とし、さらにその胴をぶつ切りにして、ニワトリの運動場に放り込みました。するとあっという間にニワトリたちが奪い合って食べてしまいました。

後日ランドローバーに乗って未舗装路を走っていると、道ばたに例のスピッティング・ブラック・コブラがいたので、停車して近づいてみました。

すると今度は威嚇で体を平たくし鎌首をもたげた立派な姿は、見まごう事なき「コブラ像」でした。

それを見て先日の自分の見立ての悪さに冷や汗が出るのでした。そういえばグリーンスネークもあの目の覚める様な鮮やかな色以外で毒蛇を思わす体の特徴もないものね。既成概念というのは判断を誤らせるんです!

(注:毒蛇の分類名称に関しては現地での呼称を使用していますので学術的な名称と異なる可能性もありますのでご了承願います)

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このルングス族の村には『ルマ・パンジャン(英語でLong house)』と呼ばれる一直線に長ーい10戸ほどが連なる長屋タイプの高床集合住宅があるのですが、その他にも個別住宅があり、そこを訪ねていた時のことです。

マレイシアなど高温湿潤地帯での高床式家屋の理由は、風通しを良くして乾燥させるのと毒虫などが近寄らないようにするためでした。

その階段の手すりにもたれかかり、そこの家のおばちゃんと世間話をしていると、突然彼女の目が開き「マカピー、動かないで!」と言っていきなり彼女のパランで手すりに乗せた腕めがけて振り下ろしたのです。ゲッ!

ヤバー、何でこんなところで腕を切り落とされなくちゃいけないんだ!

でも、痛くないので目を開けてみると、彼女はマカピーの腕に近づいていた大きなムカデを一撃で仕留めていたのです。

ヒャー、危機一髪だったんだ、ありがとうね!


マカピーは頭をつぶされた大きなムカデを貰って帰り、小さな空き瓶に入れて食用油を満たしました。

これは、日本の民間医療の「ムカデ油」です。東北出身の友達から聞いた話とマンガの『釣りキチ三平』で知った知識でした。

製法は至って簡単なのですが、3か月ほどして熟成すると猛烈な悪臭を放ちます。そしてそれが活躍する日が来ました。

アシナガバチに刺され痛みに苦しんでいる同僚隊員に塗ってやると一瞬で「え?痛みが消えた!」と喜んでいました。さらに村の子供数人がが蜂の巣でいたずらしたので逆襲されて顔や手がボコボコになって泣きながらやってきたので、「ムカデ油」を塗ってやると見事に腫れが引いて痛みも消えたのには、普段医療に関わっている保健隊員も驚いていました。

そうです、知らないという事は命取りになるし、知識は身を助けるんです。

「さあ、サバイバル知識を得る機会にもなるから、植物であってもハンティングってスゴイでしょう?」

とマカピー妻に伝えると「バッカじゃないの!ワタシは虫が嫌いだし、絶対田舎暮らしはしないからそんな余分な知識がなくてもゼンゼン大丈夫!」とあっけなく撃沈されました。

・・・ということで、マカピーの個人的意見でした!

最後までお読みいただき感謝します。マカピーがトゲに痛い思いをしながら採取したラズベリーにヨーグルトをかけて食べるのが好きなマカピー妻でした



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