ぶっ飛びジジイの正体 マカピーな日々#0306
マカピーです。
カンボジアで仕事をしていたころ、日本から調査活動の応援に来てくれたT先生は不思議な方でした。
T先生が京都在住なのに京都弁ではなかったのは台湾育ちだったからです。
すでに現役引退をされていたのですが、奥さんのいないホテル暮らしでは服装もかまわないヨレヨレ状態に加えて頭はボサボサ、かつて肺がんを患ったはずなのにうまそうに煙草をふかす面白い人でした。
これは彼と調査でコンポンチャム州に出かけた同僚の後日談です。
同僚:「まったく、T先生には驚いたよ」
マ:「何かあったんですか?」
同僚:「ゴム園の中での調査が終わり片付けをしていたら、若者が125㏄のホンダで平らなゴム林の中を行ったり来たりしていたんだ。そしたらT先生がその若者を呼び止めたんだ」
マ:「うるさいって注意したの?」
同僚:「僕もそう思ったら違ったんだ。そのオートバイに乗せろっていうんだね」
マ:「どこかに乗せて行ってもらいたかったの?」
同僚:「いや、オートバイを運転させてくれって頼んだんだ」
マ:「結構年配ですよね、T先生は」
同僚:「70歳にはなってなかったと思うけど」
マ:「それでT先生はどうしたの」
同僚:「バイクはこうやって乗るんだ!って叫んでね・・・」
マ:「え? T先生て、まさか暴走族より前の・・・・そうそう、カミナリ族だったの?」
同僚:「いきなりアクセルを吹かしてギュワーンて車体をターンさせて、あっという間にぼくたちの前から消えちゃったんだ」
マ:「ジジイから一気に豹変したんだ!」
同僚:「しばらくすると戻ってきたんだけど、今度は我々の前で前輪を上げたウイリーで駆け抜けて行った時には本当にびっくりしたよ」
マ:「へー、いつもボーっとしている感じのT先生がねえ。信じられない」
同僚:「あれにはバイクを貸した若者も大喜びでね。後でT先生から熱心にテクニックを習っていたよ」
後でT先生にこのことを尋ねると、
T:「うん、ぼくは今でもオートバイの後ろに妻(ワイフ)を乗せて走ってるんだよ」
マ:「まだまだ現役なんですね!」
T:「今度マカピーさんも京都に来たら乗せてあげよう」
数年前にT先生を京都に尋ねたことがありました。
その時は既にバイクを卒業されていたので、自動車で案内してくれました。
T先生は誰に対して見下すような態度は一切せず、クリスチャンでもあったT先生は宗教を問わず沢山の若い留学生の面倒を見ていたのでマカピーも心地よく泊めさせていただいたのでした。
カンボジアでお会いしてから、マカピーが各国から送信するニュースレターを楽しみにされ、その感想と共に時々台湾での奇譚なども教えてくださいました。
お宅でお世話になりました奥様も亡くなられ、T先生御自身も病床に就くことが多くなり、メイルも文章での返信よりも「今心に響いているクラシック音楽」の楽曲紹介に変って行き・・・それも途絶えて久しいのです。
ところが、FBから今「日がT先生の誕生日」と知らせがあったのです。
ビクッとしました。
どうしてマカピーは急にT先生の事を思い出し、こうしてnoteを書き始めたのかなあ、と不思議な気持ちになりながら、FBに誕生日のお祝いを送りました。
「ぶっ飛びジジイ」がいたずらっぽく目をくりくりさせながら
「マカピーさん、どう?なんか面白いことあった?」
て、突然連絡してきてくれたら、どんなに嬉しいかなあ。
ただただマカピーは待ち続けているのでした。
最後までお読みいただき感謝します、そして貴方に会えたことにも感謝します。
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