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マカピーな日々 #0050 図太い神経の人々

マカピーです。

インドの列車ではいろいろ思い出深い事がありました。

といっても、1980年代ですから、今の旅にはあまり参考にならないでしょうけど、沢木耕太郎の「深夜特急」がいまだに若者の支持を受けているのですから似たようなものかしら?、マカピーもあの著作に影響を受けたひとりでしたもの。笑

当時のインド旅行は、やたらと手間のかかるものでした。現代のようにインターネットなどなかったし、カードの利用も少なく大方の人は安全を考えて、現金とトマスクックとかのトラベラーズチェックを持ってましたね。トラベラーチェックに自分のサインを入れて、銀行で現金化するのです。

日本への国際電話も電話局へ行って予約して電話がつながるまで待ったり、郵便局でも小包を送るのになぜかしら布でチクチク縫い合わせる必要があり人を雇わなくてはならなかったり。バスも列車の席の予約も数日前にしておかないとならなかったのです。

ともかくインドを旅していると「一日に一つの事ができれば大成功、やったー」みたいな達成感があったね、と当時の人と話をすると「ああ、そうだったね」と納得してもらえます。おそらくスマホにラインをやっている今の若者から見たら「石器時代」の事のように感じられるかもしれませんね?

インドの列車にはドロボウがうようよしています。走行している列車の屋根の上に無賃乗車しているグループがいて、そこからチームが一人の足を持って逆さ吊りにして客車内を物色させる手口は一般的です。マカピーの奥さんんはそれを女性コンパートメントでやられています。「一緒だった日本人の女性が窓際においてあったバッグの中を物色され、私たまたまさかさまの人が窓の外でスーッと上に消えてゆくのを見ちゃったのよ」

夜行寝台車では女性は一つの部屋に入ることができ内側から鍵をかけるので安全ということになっていますが、どこにいても油断がならない訳です。それに女性だってトイレに行かねばなりません。

このトイレがなかなかシュールです。そもそも備え付けの紙などなくて、空き缶があるだけというシンプルさ。蛇口から空き缶に水をとってその水でお尻を洗いきれいさっぱり。でも困ったことに、よく水が出ないときがあるんですよね。

そうそう基本的に走っている列車でもしっかり格子がついていて鳥かご状態です。理由はドロボウが多いからです。スピードが落ちたカーブなどでは人が乗り込めたりしますからね。とにかく「スキあればとられる」ことがわかっているので神経が磨り減るのがインドの旅です。

ある日マカピーは寝台列車を予約してその列車に乗り込みました。乗車前に駅に行くと自分の列車番号と座席番号のあるリストが張り出されるからそれで確認するんですね。ところがですよ、マカピーの席はびっしり人が座っているんです。満席。おかしいなーどうしたのかな?

「エキスキューズミー。そこ私の席なんです」「ああ?何だって?」「そこは私の席なんですけど」「どうしてだ?切符を見せろ!」「ほら、これ」「あん?別の列車だ。お前間違えたんだよ」とポイっと床にチケットを投げ捨てられました。相向かいも含めて6人が馬鹿にしたような目つきで「しょうもない奴だなーお前は!」という態度なのです。

仕方なく連結近くのトイレの前へ行き考えました。「いや、おかしいな。さっき駅で自分の名前を確認しているんだ。間違いない。次の駅で止まった時にコンダクター(車掌)に尋ねてみよう」

マカピーは次の駅に着くとホームに降りて車掌に駆け寄り助けを求めました「自分の席に誰かが座っているのです」「ふん、そうか。じゃあ戻って待っていなさい」と言ってくれました。

しばらくすると先ほどのコンダクター氏が来てくれました。私の切符を確認して先ほどの席まで行くと「おい、みんな切符を見せろ」と声を掛けました。

すると全員がすごすごと別の車両に移動を始めました。コンダクター氏は「あいつらは3等車両の客なんだ。これでノープロブレムだな!」「ありがとう」「良い旅を」結局、そこは二段ベッドになる席だったのですがマカピー以外に乗客がいませんでした。

またマカピーは一杯食わされるところでした。旅慣れた上級バックパッカーは「そんなことは普通だよ。それが楽しめないんだったらパック旅行にすればいいんだよ」とうそぶくのでした。なにくそ、とマカピーは旅を続けるのですが次第に疲れがでたのか、なかなかおなかの調子が回復しない日が続くのでした。

こうしてマカピーのインドの旅は続くのでした。

マカピーでした。

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