もうやって来ないウグイス マカピーな日々#0741
マカピーです。
かつて相談に訪れた近所にあるホームセンターのエクステリア(造園など)部門で言われたことを思い出しました。
マカピー:「うちには車もないので、駐車スペースのコンクリートを取り除いて、庭木を植えたいと思ってんです」
スタッフ:「それは珍しいです。御存じの通り最近の傾向は庭にも駐車場でも雑草が生えないようにしているんです。除草の手間が面倒ですからね。樹も直ぐ大きくなると選定が必要になるんです」
マカピー:「それが楽しみなんですよね、我が家の庭をきれいにするって」
スタッフ:「(笑)まあ緑が好きな人から見れば潤いがないというか、全体的に無機質になっているんですよ。雑草の生える余地を作らないように、防草シートを張ってしまうなど徹底していますよ」
マカピー:「うーん、確かにそういう防草シートに覆われた空き地があちこちにありますね!」
スタッフ:「うちのエクステリア部門ではありませんが、若い人の住む新築一戸建て住宅などでは、極力窓を設置しない設計なんです。あってもすごく小さいですね」
マカピー:「ああ、それも見たことあります。我が家のように窓全開で戸外の風がビュービューと抜けてい行くような家は古いんですね!」
近所でも世代交代が進み、最近次々に90歳を前に畑を耕していたおじちゃんたちが亡くなってしまいました。
マカピーが師と仰いだ「シンちゃん」の畑も主がいなくなって耕されていないので隣夫さんの奥さんに尋ねました。
マカピー:「シンちゃんが耕していた畑が草だらけだけど・・・もしかして具合が悪いんですか。昨年脚が痛いって言ってましたけど」
隣夫妻:「え、知らなかったの? 今年のお正月頃亡くなったのよ。ああ、マカピーさん達はいなかったものね」
マカピー:「それはそれは。残念です。シンちゃんも、そして隣の畑をやっていたキーちゃんも次々にいなくなって寂しいですね」
隣夫妻:「ウチの裏手のキーちゃんの畑にある竹やぶからの落ち葉がそのままうちに入ってきちゃうので困ったわよ。でもキーちゃんが死んじゃって息子夫婦の代になったらあっという間に刈り取ってしまい、全面防草シート張りだものね!残ったのは柿の木が一本だけ」
マカピー:「キーちゃんの竹やぶの中に咲く立派なスイセンが欲しかったんだけどね」
隣夫妻:「もらっておけばよかったのに!」
マカピー:「実はトライしたんです。でも竹やぶの土の中って竹の根ががんじがらめでとても球根だけ頂くってわけに行かなかったんです」
隣夫妻:「あらま!」
今度はシンちゃんの畑がたった一日でその木立が消えました。
シュロが数本、クリの木、紅白の梅があり、面白い形のタケもありました。
日陰で湿気のある木の下にはセリも生えてたのです。
「マカピーさん、好きなら適当に取って食べればいいよ」「このウメの木は苗木を娘の中学校卒業記念で貰ったものなんだ」「どうもタヌキが来ているらしくてせっかく大きくなったスイカに大穴開けられちゃったよ」「インゲンマメが沢山取れたから、ほら持って行きな」「ああ、道路を挟んだ家は次男の家なんだ。でも忙しいから百姓仕事はしねえなあ」「苗木をホームセンターで買ってきたから植えたんだ、こうやって竹を組んでツルをのばすんだよ」「またどっか外国に行ってたんだって?」
いろいろな会話が蘇ります。
マカピーはシンちゃんにお願いしたことがありました。「シンちゃん、もしよければ一本竹をいただけませんか?我が家に移植したいんです」とお願いすると翌日「マカピーさんよ、一本根付の竹を取っておいたから持ってゆくといいよ」とくれました。
マカピーは早速裏手に植えたのですが、その後の下水道工事に伴う浄化槽廃棄作業で施工業者がシンちゃんの竹や大事にしていたサンショの苗木も、マカピーが気が付いたらゴミとしてトラックの産廃に紛れてしまっていました。
新しい畑の主になったのは遺産相続を受けたシンちゃん次男だったらしいですが2日ほど前に業者がきて地上部をきれいさっぱり刈り取ってしまいました。
キーちゃんとシンちゃんは親せきで従弟だったそうですが、彼らが農業をやって緑を守ってくれていたので春先になるとキーちゃんのところのコブシの花が真っ白に満開となり、竹やぶの間からスイセン、そしてアケビの蔓が伸びコーンフリーが緑の茎をぐんぐんとのばし頭上には黄緑色のカキの若葉が覆い…シンちゃんの畑側からはウメの香りが漂い、竹がぐんぐん伸びるそんな春の景色だったんです。
朝玄関を出ると、隣夫妻が何やら手に持っているものが目につきました。
マカピー:「おはようございます!なんですかその手に持っているもの?」
隣夫妻:「ああ、これね。シュロの皮よ。シンちゃんの畑に会ったシュロの木もみんな刈り取っちゃったから、欲しいなら今のうち貰っておいたら。次男がそこにいるから大丈夫よ」
マカピーも畑に行き、息子さんに挨拶しカットされたシュロの幹から網状の皮を引きはがして一抱え程貰ってきました。
隣夫妻:「随分貰って来たわね。何に使うの?」
マカピー:「まだどう使うか決めてないけど、鉢の土の水はけ良くするのに使おうかなって。それにしてもここからの眺めが一変しちゃいましたね」
隣夫妻:「木が無くなると、北風がものすごく強く感じるようになったわ。邪魔だと思ったけど、役に立ってたのよね」
マカピー:「そこの茂みが無くなったから、もうウグイスが来なくなっちゃったんですね」
隣夫妻:「時代が変わったのよね。自分の土地じゃないし、仕方ないわ」
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。わずかばかりの緑のオアシスも消えちゃった
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