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ホタルイカ掬い

                     実施日:2024年5月8日(水)

富山湾へホタルイカ掬いに行ってきた。残念ながら爆湧きには出会えなかったが、貴重な経験ができた。来年はリベンジしたいので、個人的なメモとしてこの春調べたことをまとめる。学術的根拠のある内容ではないので、了承願いたい。


ホタルイカ掬い

水深200~600メートルで暮らすホタルイカは、春になると産卵のために浮上し、その大群が接岸することが知られている。この現象は「ホタルイカ群遊海面」と呼ばれ、世界的に見ても珍しい現象である。また、国の天然記念物にも指定されている。

産卵を終えたホタルイカは砂浜に打ち上げられ、それが「ホタルイカの身投げ」と呼ばれている。砂浜に打ち上げられたホタルイカは砂を噛んでいるため、海面を漂うホタルイカを掬うのが一般的である。

補足として、天然記念物に指定されているのはこの現象を指しており、ホタルイカを捕まえる行為に違法性はない。また、それらの個体は寿命が迫っており、ヒトが捕まえなくても鳥や魚に食べられてしまうため、どれだけ捕獲してもホタルイカの減少には繋がらない。

いつ行けば良いのか?

一般的に、以下の条件が揃っている日が爆湧きの可能性が高い。

【3月の深夜から未明】
ホタルイカ掬いのシーズンは2月から5月までだが、シーズン序盤と終盤は少ない印象がある。シーズンの真ん中である3月と4月が狙い目である。

【新月】
ホタルイカは月明かりを目印に自らの位置を把握していると言われている。そのため、月明かりがある場合は沖合で産卵が行われるので身投げは少ないが、月明かりが少ない(新月前後の夜)条件では方向感覚を失い、浜辺に異常接近することで身投げが多くなるのではないかと考えられている。

雨が降らない気温の高い日
イカ類は真水を嫌うため、雨が降った日の海面への浮上は控えめである。また、卵のふ化が進みやすい暖かい場所を求めて浮上してくるため、気温の高い夜が狙い目と言われている。

陸から海に向かって風が吹く日
海面を覆う淡水層が沖に運ばれることで深層ではその逆の水の流れが発生し、ホタルイカが沖から流されてくると言われている。
個人的には、波が高くなければ風向きは気にしなくていいと思っている。

SNSで爆湧きの報告があったその翌日
X(旧Twitter)、Instagram、LINEのオープンチャットなどを通じて最新の情報を入手できる。情報を入手した後、数時間後に現地に到着することは現実的ではないが、その翌日であれば行くことができるかもしれない。報告があった日とその翌日で天候に大きな変化がなければ、爆湧きの可能性は高いと考えられる。

まとめると、2025年のホタルイカ掬いに行くなら、新月の3月29日(土)前後の晴れた日が良さそう。0時には現地入りできるようにスタンバイしておくと良いだろう。

ホタルイカ掬いに必要な道具

・ウェーダー
海に入るのに必須のアイテム。ウェーダーを身に着けても海水の冷たさは伝わってくるので厚手のズボンを履くことを想定したサイズを選ぶように。Amazonなどで5,000円前後で購入可能。

自分が買ったのはこれ↓

・防寒着、雨具
防寒対策をしないと5月でも寒い。
ダウンジャケットの上から合羽などの雨具を重ねて、風と波の飛沫から身を守ること。絶対に体を濡らしてはダメ。

・ヘッドライト
網やバケツで両手が塞がるので必要。これがないとホタルイカが見つけられない。広い範囲を照らせるものがお勧め。

・たも網
ホームセンターや釣具屋に売っている一般的なものでOK。堤防から掬うのであれば柄が長い方が有利。100均にある魚とり網でも戦えるが強度に難があり、水の抵抗に抗えず折れてしまう事があるので非推奨。

・バケツ
掬ったホタルイカを一時的にキープするためのもの。バケツを片手にホタルイカを掬うは意外と邪魔。バケツは岸に置いといて掬ったホタルイカを都度岸にあるバケツに入れるのは面倒。
魚篭(びく)を使うなどバケツ以外での工夫の余地あり。

・ライフジャケット
水辺で遊ぶ際のマストアイテム。安全第一。

・クーラーボックス
折角捕ったホタルイカを新鮮な状態で家まで持ち帰るには必須のアイテム。
保冷剤も忘れずに。

・おやつ、行動食
水の中を移動するのは意外と大変。普段は寝ている時間に体を動かすのでお腹が空くことも。近くのコンビニに車を出すのもウェーダーを着ていて面倒。必須アイテムではないがあると便利。

・着替え
万が一浸水してしまった時だけでなく、想像以上に気温が低い時には重ね着してやり過ごすことができる。あって損することはない。

ホタルイカ料理

2時間で50匹ほど掬うことができたので代表的な料理を3品作ってみた。
3品とも前処理として水洗いをしている。また、目やくちばしを取り除いた方が食感が良く美味しい。
※ホタルイカには寄生虫がいるので生食は非推奨。非加熱で食べたい場合は、冷凍殺虫するなど前処理をしてリスクを下げたうえで自己責任でお願いします。

・ホタルイカのしゃぶしゃぶ
鍋でお湯を沸かす。沸騰したら火を止め、水洗いしたホタルイカを30秒ほど加熱し完成。

ホタルイカ本来の味を楽しめる一品。何も付けなくても十二分に美味しい。捕れたてを現地で食べるならこの方法一択。寄生虫が気になる方は加熱時間を長めにすること。

・ホタルイカの丸干し
3%食塩水にホタルイカを30分漬け込む。干物ネットに重ならないように並べて天日干し。干すこと2日で完成。

軽く炙って、ぷっくり丸みを帯びたら食べごろの合図。

3%食塩水は塩っぱすぎた。長期保存が目的ではなく、美味しく食べたいのであればもう少し低濃度の食塩水にした方が良い。
加熱すると肝が溶け、独自の美味しさがある。たくさん捕れたら保存目的で作りたい。

・ホタルイカの沖漬け
水洗いしたホタルイカの水気を切り、醤油、味醂、料理酒を合わせた割り下に漬け込む。寄生虫リスク低減の為、冷凍庫で3日以上寝かせて完成。

冷凍しても生の食感が損なわれず美味しい。割り下は醤油だけの方が自分好みかもしれないのでリベンジしたい。3品の中で一番美味しかった。

まとめ

今回は初参戦ということもあり、ホタルイカを掬うこと、新鮮なホタルイカを食べることを目的に現地へ赴いた。現地ではあまり時間を確保できなかったので写真撮影は厳かになってしまった。次回はホタルイカの幻想的な発光をしっかり観察できるようにスケジュールに余裕を持って挑みたい。

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