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Gロッソを守り続けた竜装者へ

コロナ禍によって騎士竜戦隊リュウソウジャーショー第5弾が突然の終わりを迎え、魔進戦隊キラメイジャーショー第1弾も幻となったシアターGロッソが、8月1日に再開した。
第2弾からの幕開けとなったヒーローショーに少しでも多くの「がんばれ」を届けたくて、気付けば週末のほとんどを水道橋で過ごしていた。

お断りを入れておくと、Gロッソが再開したことやそれに当たって導入された対策、スタッフの素晴らしい対応、今までの形式に捉われることなく進化したショーと変わらないヒーローの魅力などについて今回は触れない。

これは、リュウソウジャーを演じた3人の演者へのただのファンレターだ。

再開の一報が届いた時、私は歓喜した。しかしその数日後の「リュウソウレッド&ゴールド参戦」という告知に、嬉しさと同時に不安も覚えた。
過去のヒーローが出ることは私にとって極めてナーバスな案件で、覚悟が必要だったからだ。

戦う力や記憶を失った戦士達も。
もうこの世には居ないはずのあの彼も。
需要があればある程、やっとの想いで取り戻した平和はすぐに奪われ、再び戦いの中に身を投じることになる。いい加減、平和な世の中で静かな暮らしをさせてあげてくれとすら時々思う。

そんな彼らを再び目の当たりにするには、それ相応の理由がないと正直しんどい。過去に「こんな登場の仕方をするくらいなら見たくなかった。」という経験をしたことも少なからずあった。だから過去のヒーローが出る事は、喜びと同じくらい不安が大きい。

案の定、リュウソウジャーは悪役だった。しかも3Dプリンターで作られた複製品!闇落ちですらない!落胆と憤りの混じり合う複雑な気持ちで、ただ呆然と彼らの登場を眺めていた。
外見がリュウソウジャーなだけの、ただの兵器。
そんなの、あんまりだ。

しかし──そんな想いはすぐに消えた。
彼らがあまりにもカッコ良過ぎたからだ。

キラメイレッドの台詞を借りるなら“実力が違い過ぎる”2人だった。初日、その台詞に対して心の中で(そうだね……)と思わず呟いた程に。

2人は圧倒的に強かった。
脚本上の設定としてではなく、存在感が、だ。
リュウソウレッドのイキった荒々しさ。
リュウソウゴールドの美しくも恐ろしい冷徹感。
それに加えて圧倒的迫力のアクションと重力を忘れたアクロバット。強い。段違いに強い。
後述するが、後々の展開を知ってから訪れた際には、悪役にしてくれてありがとうとさえ思った。

一挙一動に目が離せない。
それこそ、光も当たらずただ佇んでいるだけの姿から、上空で待機している様子まで釘付けだった。整った指先が、足の角度が、冷たい視線が、全てにおいて悪であり、美しい。勿論、視線が見えた訳ではない。でも私には見えたのだ。倒れたキラメイレッドを蔑むように一瞥したリュウソウレッドの視線を、私は確かにマスク越しに見た。

ただしこのまま悪で終わっていたら、どんなに素晴らしいアクションだろうが芝居だろうが、私は泣いて帰っただろう。

キラメイジャー最大のピンチに駆け付けたのは、本物のリュウソウジャーだった。『俺たちの騎士道見せてやる!』をBGMに背負い頭上から降りてきた「いつも通り」の2人。無邪気なレッドとクールで少しナルシストなゴールド。ああ、あの日、突然会えなくなった彼らはまだGロッソに居た!

王道だった。それが、何よりも救いだった。

先程、展開を知ってからは悪役であることに感謝した旨を記した理由はこれだ。彼らはまだGロッソを守ってくれていた!それを知れたからこそ、複製品は複製品として楽しむことが出来た。

そしてリュウソウレッドはこう言った。

「またすごい戦隊が生まれたみたいだね。」
「これからの地球の平和は任せたよ。」

これまで数々の戦隊が守ってきたGロッソを彼らもまた守り、再び子供達に会える日を信じて姿の見えぬ敵の脅威からこの場所を守り続けていた。そして安心して任せられる強き新たな戦隊と出会い今後を委ねたのだ。
リュウソウジャーはGロッソを、守り切った。

この日、私の中でリュウソウジャーショーは千穐楽を迎えた。

井上テテさんの巧妙な脚本と3人のリュウソウジャーの絶対的な実力がなければ、私はきっと、ずっとこの日を迎えられなかっただろう。

リュウソウゴールドがWキャストだったことにも少し触れる。
実は今回からキャスト名が公式サイトにクレジットされるようになった。素晴らしい!これが当たり前であることを個人的には願うけれども、色々事情があったり歴史があったりするんだろう。脱線しそうなので割愛するが、兎にも角にもお陰ですぐに演者を知ることが出来た。

2人は全くタイプの違うゴールドだった。
私は彼らを『セクシーさん』『ワイルドさん』と呼んでいた。……が、今更だけどなんか恥ずかしいので『Sさん』『Wさん』と記すことにする。
スタイリッシュなアクションをするSさんに対し、Wさんはその名の通り力強さが特徴的だった。心なしか、台詞もWさんの時の方が低く強めだったような気がする。
2人の違いが最も顕著に表れていたのはダンスだ。指先まで美しくハケ際までもがセクシーなダンスと、激し過ぎてキャットウォークから落ちてくるんじゃないかと思うくらい暴れ回るワイルドなダンス。真逆だけど、同じくらい魅力的だった。

既に完成された1人のキャラクターを、こんなにもタイプの違う2人がそれぞれに演じて、どちらも違和感なく成り立っていたのだから面白い。登場の瞬間まで「今日はどっちだ?」とワクワク出来ることなんてそうそうない。

原さんの見下す指先やバタフライ、立ち姿、一挙手一投足が美しくて好きだった。
鈴木さんの早過ぎる奈落落ち、反して優しいBANG、そして優しく手を振る姿が好きだった。
田﨑さんの剣の柄で敵を突く攻撃が、荒い太刀筋が、存在が、語り尽くせない程に好きだった。

千穐楽おめでとうございます。
この日を迎えることが出来て本当に良かった。
最高のヒーローをありがとうございました。

冒頭で説明した通り今回はリュウソウジャー以外には触れなかったが、キラメイジャーも普通にめっちゃカッコ良いので第3弾が始まった際には是非観に行って欲しい。また新しい形で「がんばれ」を届けられる日が待ち遠しくて仕方ない。
たった30分の中にぎゅうぎゅうに詰め込まれた感動が、更に多くの人に届きますように。

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