見出し画像

お仕事道具紹介 菱目打ち

クイズ。

これ、何に使うかわかりますか?


スパゲッティとかケーキを食べるヤツではないですよ。

正解は

革に縫い穴をあける道具、「菱目打|《ひしめう》ち」といいます。
名前を聞いてもわからないですよね。
このアイテム、意味としては「ひし形の穴をあける目打ち」です。
フォークみたいですよね。

歯の数もいろいろ
サビます。

使うシーン

革を手縫いする時、どうやって針を刺していると思いますか?
ちなみにミシンは「パワー」です。無理くり貫通させます。
では手縫いも「パワー!!」??無理です。
レザクラは筋肉ですが、もっとスマートな方法があります。
大体の場合1ミリくらいの革を縫い合わせるため、まず貫通しません。仮にできても縫い終わるまでに何回挿すことになるやら。

というわけで、革を縫うときの下準備として、縫いが必要な革製品制作にはほぼ必要不可欠なアイテムです。

使い方

この歯を貫通させて使うため、下にゴム製の板を敷いて、上からハンマーで叩きます。
すると「/ / / / /」こんな感じの穴が開きます。
なぜ点(丸穴)や直線などでなく、ななめなのでしょう?それは知りません。
革の厚みが厚いほど、一度にあける穴の数が多いほど強く、かつ何度もたたく必要があり、とにかくやかましい工程です。

斜め向きに剣がいっぱいついてる感じの武器。
立てて
叩く!(ちゃんと押さえましょう)
穴が空いたら
縫える!

派生

菱目パンチ

両側から挟んで無音で穴あけ

両側に菱目打ちがついたペンチみたいなアイテムです。
「デン!!デン!!デン!!デン!!」とハンマーでぶっ叩かなくてもぬい穴をあけることが出来ます。

ガブっ。
連続して穴を開ける時は最後の穴に一つ被らせて空けると穴の間隔が一定に保てる。


メリット
アパート暮らしで夜にハンマーガンガンしたら苦情もんですが、こちらは非常にサイレント。夜でも、隣で赤子が寝ていても作業できます。

デメリット
高いです。私が買った時には3000円台だった気もしますが、1つ五千円弱。
直線とカーブ用で4本目と2本目が必要になるので、これだけで一万円の出費は痛い。一万円あるとレザークラフトの初心者スターターセットが買えちゃいます。


菱ギリ

菱形の穴を一個だけ開けられるアイテム。
使い方は簡単、千枚通しの要領で力を入れて押せば、穴があきます。
熟練の職人になると全てこれを使って穴を開けて縫う方もいるのだとか。

メリット
こっちもサイレント。しかも安いです。千円から買えます。
1つずつ穴を開けていくため、これ1つで直線もカーブもいけます。

デメリット
面倒です。1個ずつ穴あけなので時間がかかります。
ハンマーとか使わないぶん、手のパワーで行くために力がいるし、疲れて手が痛くなります。
難しいです。厚みがある物に穴を開けるので、少しのずれが露骨に響きます。まっすぐ正確に垂直に差し続けないと、表が揃っても、裏側がガッタガタの穴になります。


締め

穴だらけのゴム板

ほとんどの方はレザークラフト未経験だと思うので、革の縫い方を考えたことがなかったのではないでしょうか。
革で財布を作った時などに周りの人に見せると、「どうやって縫ったの?」「ミシン持ってるの?」とほぼ確実に聞かれます。
「ミシンないから手縫いだよ」って言うと「どうやって?」って聞かれるのが定番の流れ。

私だけかもしれませんが、自分と違い業種の方の仕事道具を見るのが好きです。

普段知らない世界のアイテム紹介があると面白いかな、と思いまして今回はこんなネタを記事にしてみました。
それではまたお会いしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?