衒学者・堀元見と眷属たちのささやかな、しかし大いなる敗北

『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』という書籍をご存知だろうか。
この記事に辿り着いた方のほとんどはご存知だろうが、一応説明しておこう。

『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』は、2022年4月16日に徳間書店から出版された書籍で、webライター・YouTuberの堀元見氏がビジネス書100冊の教えを面白おかしく、時に小バカにしながら1冊にまとめたものである。

ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律 | 堀元見 |本 | 通販 | Amazon

これ自体非常におもしろいプロジェクトで、書籍単体でも一読の価値は十分にある。
しかし、興味深いのはその先である。
書籍内でも言及しているが、堀元氏は当該書籍と、それを取り巻く環境を現代アートと称している。
当書は、表紙を見る限りでは巷に溢れるビジネス書にしか見えない。中身はふざけ倒しているにもかかわらず、である。
表紙やタイトルを見てジャケ買いし、Amazonレビューでブチ切れる人が現れれば、それも含めて一つの作品ということだ。

詳しい内容は下記動画で堀元氏本人が話している。気になる方は参照されたい。

そして、アートは着実に完成へと近づいている。
下記のレビューをご覧いただこう。

このレビューは、氏のフォロワーによる大喜利大会が行われているAmazonのレビュー欄で「ホンモノ」の香りをひときわ強く放ち、話題になった。
アカウント名がそれっぽいうえ、ハイコンテクストなミームが隠されている様子も見て取れないためだ。

堀元氏もこのレビューを取り上げている。

このツイートのリプライ欄は、現代アートが完成に近づいたことへの歓喜に湧いている。
一部紹介しよう。

現代アートが完成に近づくのは喜ばしいことだ。

しかし私は、そこにもう一層メタを重ねてみたくなったのだ。
どういうことか。勘のいい方ならもうお分かりかもしれない。

そう。上記のレビューを書いたのは他でもない。
私だ。

私が外園竜哉@過去を捨てても、過去は追いかけてくるだ。

証拠も上げておこう。

できることなら、三つほどレビューを書き、エラルド=コイル、ドヌーヴそしてL、世界三大探偵はすべて私です。という漫画『DEATH NOTE』のLみたいなことをしたかったのだが、レビュー権限のあるアカウントが一つしかなかったため仕方がない。

ついでに、ホンモノの香りがするレビューをもう1つ紹介しよう。

こちらも一見ホンモノのようだが、プロフィールを遡ると堀元氏の前著『教養(インテリ)悪口本』を購入している。
つまり、堀元氏がどんな人物がわかった上でレビューを書いているのだ。
となると、こちらも本物のホンモノとは言い難い。

(追記)
こちらのレビュー、段落ごとに縦読みすると「いぎりすの」と読める。これは、氏の界隈でミーム化した「イギリスのオックスフォード」を意識しているのだろう。
ならば、まず間違いなく偽物だ。
気が付かなかったのが恥ずかしい。コメントくれた人ありがとう。

兎も角、皆がホンモノだと盛り上げたレビューは私が作りあげた虚像、ニセモノなのだ。

この事実によって、当初堀元氏が想定していた意味での現代アートは少なからず破壊されるだろう。
無論、完全な破壊とは程遠い。
本物のホンモノはこれから現れるだろうし、発売から日が経って現れた者のほうがより純度の高いホンモノだ。現代アートの完成はそれを待つと思われる。
そもそも完全な破壊など私の求めるところではない。私とて氏のファン、用例の一人なのだから。

では何が目的なのか。
二つある。
まず、こちらも二つ目の理由に係るところがあるが、疑心暗鬼を生むためである。
堀元氏の言う現代アートには欠陥がある。フォロワーがニセモノのレビューを本気で書けば、その真贋を見極めるのは不可能に近いのだ。
日が経って現れた純度の高いホンモノを見ても、氏やフォロワーはそれを100%信じ切ることはもはや不可能だろう。
ダメ押しとして、
本記事の読者の方々には、ちょうどいいタイミングでそれらしいレビューを投稿することを是非ともお願いしたい。

最新集計時刻 2022年4月23日 10:27

そして、こちらが圧倒的に真意だが、私の構築した人格をあざ笑う人々を、更にメタのレイヤーに取り込むためである。
今後、高純度のホンモノが現れたとしよう。疑心暗鬼を乗り越え、それを嘲笑するのは結構だ。しかしもはや彼らは、自らが観察されるべき立場にある可能性を意識せずにはいられないのだ。メタ認知が得意なら尚更だろう。
堀元氏、そしてそのフォロワー諸君、外園を疑うことなく笑ったその心で、一切の濁りなくもう一度ホンモノを笑うことができるのならやってみるといい。それができるのなら、私は負けを認めよう。

繰り返すが、私は堀元見氏のファンである。
これによって氏とフォロワーがダメージを受けたり、ムーブメントが減速したりするのは私の目指すところではない。
堀元氏が、私のような存在が出現する現象すらも面白がり、観察対象に加えてくれる方であると信じていればこそ、本記事を公開した次第である。
バンクシーを気取りたかったとかでは決してない。

とにかく、今後の動向が楽しみだ。
今度はいち用例として、行く末を静かに見届けようと思う。

おわりに
私の文章力は外園竜哉@過去を捨てても、過去は追いかけてくるとさして変わらない。「ホンモノ特有の下手な文章が完璧に再現できてました!」みたいに私を褒めるのはお控え頂きたい。とても傷つく。 

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