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可愛らしいおじいちゃん

いつも行くスーパーのカート置き場の向きが
ちょっと変わりました
今までは左手でカゴを取り
そのまま進んで右手でカートを引き出して
店内へと向かえました
狭いのでやむを得ない変更ではありますが
位置と向きが変わりました

昨日そのスーパーに行き
カートを取ろうと手を伸ばした時に
70代後半ぐらいの男性が左手でカゴを取り
右手で元カート置き場だった所に積んであるカゴを
手にしました
私はカートを引っ張り出して
その男性が手にしやすいように取っ手を男性に向け
カートを差し出しました

〝あ〜!ボケてしもた!カゴ2つ持って〟
と恥ずかしそうに笑いました
〝いえいえ、前はそこにカートがありましたから〟
〝ほーよなっ!〟
〝そーですよ〜!
いつもちゃんとお買い物してる証拠ですね〜〟
私がそう言うと
何度もお礼を言いながら店内へと消えて行きました

いいな、可愛らしいおじいちゃん
目標になるおじいちゃん、おばあちゃんが
また1人増えました

レジ等でもたついてしまった時
〝ごめんなさいね、もたついてしまって〟
と謝るようにしています
ニコニコ笑って
〝大丈夫ですよ〜!〟
と言ってもらえる事がほとんどです

歳を重ねてできにくくなった事を
卑下する必要はないと思っています
できなかった事が
できるようになっていく子どもたちとは逆に
スマートにできていた事ができなくなっていきます
それは当たり前の事
誰でも間違いなくそうなっていきます

それにイライラして
〝老害〟と言われるように逆ギレするのか
一つ一つ受け止めて受け入れていくのか
それはその人の生き様だと思います

ごん太とトボトボ歩きながら
そんな事を考える今日この頃

すごく怖がりで
自分から人へ向かって行く事のなかったごん太
今は一人一人に挨拶するように近づいて
顔を見上げます
〝可愛らしいおじいちゃん〟しています
私の名前は知らなくても
〝ごんちゃん!〟と呼んでくれる人が増えました

穏やかに…
でも楽しそうな事には貪欲に
綺麗に枯れていけると良いですね




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