銀ちゃんといっしょ 15
銀ちゃんの事 ①
銀ちゃんは初めて会った私の顔をじっと見上げ
ペロッと一回 私の鼻先を舐めました
後にも先にもそれっきり
9ヶ月一緒に暮らした中での一回きりの事でした
どんな犬でも人の顔をペロペロと舐め回すと
思っていませんか?
私はそう思っていました
でも銀ちゃんは一回きり
ごん太はうちに来てから2年目ぐらいに2,3回
それだけです
2匹の共通点は他にもあります
〝遊ぶ事〟を知らない事
ボールを投げても知らん顔です
おやつを仕込んだボールなら追いかけて行きますが
食べたら終わり
ボールを持って来たりはしません
銀ちゃんはそんなおやつを仕込んだボールさえも
見向きもしませんでした
銀ちゃんの本名は〝銀四郎〟
ヨークシャーテリアと何かのMIX犬
推定10歳の♂
真夏の炎天下住宅街をとぼとぼ歩いていたそうです
汚れたモップのような風貌で…
そこを保護されました
1ヶ月ほど老夫婦の預かりさんの所にいましたが
トイレの躾など全くされておらず
とにかく触ろうとすると物凄い勢いで噛んでくる
体力的に無理だという事で
他の預かりさんを探す事になりました
その〝預かりさん募集〟のブログの記事を見た私は
横にいた主人に
〝この子!知ってる!預かりさんしてもいい?
するよ!〟と
強引に了解を得てすぐに連絡をしました
記事をアップして数分後の事だったそうです
それも銀ちゃんの写真をアップしたのは初めてで
私は見た事があるはずのない銀ちゃんを
〝知ってる!〟と言った訳です
医師の診断から聞いた事は
約10歳ぐらいであるという事
背骨が湾曲しているという事
健康面では問題はないという事
産まれてから一度も愛情を受けていないという事
そんな銀ちゃんの話を
仕事上での知り合いの人に話しました
すると顔色がスッと変わって保護された場所を
細かく聞かれたので地図を出して指し示すと
そこはその人の自宅の近所でした
そしてその自宅の向かいの家の人は
10年ほど前までペットショップを経営しており
廃業してから廻りに迷惑になるくらいの
複数の犬の鳴き声がしているそうです
それが最近少し少なくなっているようだと
確かめた訳ではないので推測でしかありませんが
売れ残った犬をケージなどに閉じ込めたまま
フードだけ与えているのではないか
銀ちゃんはそこから逃げ出したのではないか…と
そうでなければ手入れもされていない小型犬が
炎天下首輪もなしでとぼとぼと歩き
飼い主が名乗り出る事もないなんて
あまりある事ではないと思います
保護活動をしていて役場から銀ちゃんを引き出した
人と〝確かめに行こうか…〟などと話をしましたが
もしも銀ちゃんのような子がたくさんいたら…
責任を持って救い出す事はできるのか?
軽はずみな事はできないと…
いろいろな縁がつながって
私の所へたどり着いた銀ちゃん
まず去勢手術をしなければいけません
物凄い噛みつきようなので歯を削る処置も
その手術の時にする事になりました
そうしなければ里親候補が名乗り出ても
帰されてしまうだろうという事でした
でも私は預かりさんを名乗り出た時から
銀ちゃんを手放す気持ちは全くありませんでした
うるさいからという理由で主人は小型犬が嫌いです
その主人に銀ちゃんを家族として迎える事を
認めてもらうのに時間がかかると思いました
それまでは〝預かりさん〟として
銀ちゃんと暮らしていく事になりました
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