銀ちゃんといっしょ 16

銀ちゃんの事 ②

うちに来てからの銀ちゃんは
やはり触ろうとすると暴れて噛んで来ました
トイレの躾ができていないので紙オムツをします
それの脱着の時が一番大騒ぎになります
主人は１度歯が食い込むほど噛まれてしまいました

２週間ほどは一日中断続的に吠えていました
部屋で１人にされると吠えます
事務所にいても聞こえるので
その度に2階の部屋まで行き声をかけていました
それを続けているとどこか近くにはいるって
安心し始めたのかほとんど吠えなくなり
う○ちをした時だけ吠えるようになりました

でも噛み癖だけはどうにもならないので
去勢手術の時に歯の先を削る処置もする事に
決まりました

〝これは凄い！〟と医師は唸りました
診察台の上で狂ったように暴れる銀ちゃん
医師はいろんな行程を飛ばして麻酔を打ちました
手の出しようがないほどでした
私は呆然と見ているしかありませんでした
麻酔の効いた銀ちゃんを委ね家へ帰りましたが
もしかしたら生きてる銀ちゃんには
もう会えないかも知れないと感じていました

手術後迎えに行く時間まで何も手につきません
ただ事務所でボーッとしていました

迎えに行くと医師がとても浮かない顔をしています
ぐったりしたままの銀ちゃんを診察台に…
〝麻酔はとっくに切れとる時間なんやけど〟と

顔にフーッと息を吹きかければビクッとはします
でもそのままです
泣けて来たけれど
〝このままでもいいです 連れて帰ります〟と言い
キャリーに入れて助手席に乗せました

しばらく行くと
キャリーの中でムクッと立ち上がった銀ちゃんが
異様な声で叫び声をあげバタッと倒れました
逝っちゃった…と思い
泣きながら車を走らせ家に帰り抱き上げました

息をしていました

ブランケットでくるんでずっと抱っこしていました
ずっとずっと抱っこしていました

夜 一度起き上がり 歩きましたが
ヨダレをたらしながら 動かない下半身を
引きずるようにしてうろうろするばかりです
見かねて引き寄せ 抱っこして眠りました

朝起きても状態はあまり変わって見えませんでした
どうしてもの仕事があり
急いで行って 急いで帰って来ると…

昨日の午後からの事が嘘のように
元気に走る銀ちゃんがいました