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銀ちゃんといっしょ 80

ちょっと思い出してみました

二十歳の頃は東京にいました

夏から秋へとの季節の変わり目
日暮れが日に日に早くなっていくこの時期の
夕暮れ時の駅前の雰囲気が好きです

☆☆☆

今の私の生活に〝駅〟は存在していません
最後に電車に揺られたのはいつだろう…
路面電車の坊っちゃん列車が最後かも知れない

10数年前
胃がんの手術を終えて退院したのが1月

2週間母親が不在で
少し表情がこわばっていた子どもたちのために
車ばかりの移動ではなく
変わった事をしてあげようと思いつき
坊っちゃん列車に乗せる事にしました

元々寒いのは好きなんだけど
急激に減った脂肪の影響で物凄く寒くて
久しぶりに分厚いコートを着て
三人の子どもを連れて歩きでお出かけです

坊っちゃん列車は
市の中心の駅から道後温泉までを走る路面電車です
昔の路面電車を再現して作られています

実家が市の中心部なので実家から歩いて行きました
寒いしフラフラするしで体調は最悪だけど
子どもたちは嬉しそう

観光客がたくさん乗っていたので立ったまま…
キョロキョロしているけどおとなしい子どもたち
短い距離だけどガタンゴトンと電車に揺られ
懐かしさでいっぱいになりました

☆☆☆

夕暮れ時の駅前は
思い出がつまっています

電車が停車する度に掃き出されて来る人たち

郊外の駅なら

どこからともなく漂ってくる夕飯の匂いと一緒に
家で待っている人の
〝お帰り!〟っていう声が聞こえてきそうで
キュン!となります

薄暗くなった通り

オレンジ色の家の灯

スープの匂い…カレーの途中かな…なんて

子どもがはしゃぐ声がしたりして
一人暮らしの身にはちょっと侘しくなる情景

街の駅なら

これから始まる宴の予感

待ち人をみつけても控えめな反応で
そっと寄り添い夜の街へ消えて行く後ろ姿…

学生のグループがあちこちで奇声をあげている

キョロキョロと待ち人を探す不安気な顔

そういう自分は〝あの人〟のいる店へと向かう
行ってはいけない〝あの場所〟へと

そんな思い出




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