野村マイクロ(6254)に関するメモ(1)

社名を見て、先月末に下方修正をして金融関連株を大いに冷やした証券会社を思い浮かべる人もいるかもしれないが、関係がないこともないようだ。株探よりまずは大株主構成。

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筆頭株主が北興化学工業。日揮、りそな銀行、積水化学工業などが大株主として名を連ねる。北興化学工業は、旧野村財閥系の野村鉱業から分離独立した会社である。

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1973年に「北興化学工業株式会社のニュクリボアー部門の人員及び資産を当社に移籍し、メンブレンと関連機器の製造販売体制の一体化を図る」、1973年に「米国アクメディア社の超ジュンス技術を導入し、超純水事業に進出」、1975年に「超純水装置を日本電信電話公社(現 NTT)武蔵野通信研究所に納入し、電子産業市場へ進出」、1976年に「世界初の逆浸透膜(RO)によるバイロジェン(殺菌の菌体成分の一部)除去システムを開発し、国内の製薬会社に納入」ということになっている。北興化学工業が筆頭株主なのは設立当初からのいきさつからか。

四季報ONLINE より。

【特色】超純水装置の大手。北興化学から分岐。韓国、台湾企業向け開拓で先駆、韓国サムスンと取引多い【連結事業】水処理装置97、他3【海外】58 <20・3>

水商売一本やりの事業構成。しかし、上にリンクした沿革の最初の方にあるように、1970年代から「超純水」という言葉があったのか。知らなかった。

業績を見る。

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2018年3月期から、ROE は二桁を4年連続で今期も達成見込み、また、今期は営業利益率が二桁に改善の見込みで、増収率、増益率が凄いことになっている。

財務

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2018年3月期が有利子負債倍率0.71、自己資本比率39.7%というのを当面の底として、そこから有利子負債倍率は順調に低下、自己資本比率も50%以上に回復してきている。また、最近5年間の自己資本の充実ぶりは素晴らしく、100億を超えてきている。会社の財務内容は確実に良くなってきているのがわかる。

同社は今期になり、急激に業績が伸びている。四半期ごとの成長率を見よう。

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過去20四半期の履歴である。直近3四半期の業績の伸びが著しいのがわかるであろう。特に、営業利益が桁違いに伸びている。

年足

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2007年の上場時が寄り付き天井で長らく低迷し,2016年の259円が大底、そこから反転攻勢が始まり、昨年に上場来高値 4265円をつけた。今は、業績の急改善を背景にもう一度上場来高値更新を試しにいく局面にあるように見える。

Ullet で「対処すべき課題」をチェック

経営の基本方針

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「適正利潤により全社員の生活向上と、福祉の充実を図れる会社」と明記してある。従業員の幸福に言及があるのは概ね良い会社であるケースが多いと思っている。

経営環境

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特に半導体分野において世界を牽引する企業との取引関係が重要な事業基盤」だってさ。四季報ONLINEの特色のところに「韓国、台湾企業向け開拓で先駆、韓国サムスンと取引多い」とサムスンの名前が明示的に出ているが、台湾企業はどこのことなのだろうか。TSMC?ううん、どうだろう。

経営戦略

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なるほど、「国内・韓国・中国・台湾を中心とするアジアでの競争力強化と受注力拡大に注力」とあるので、米国市場・欧州市場はやっていないということか。潔いね。あと、「製薬業界へのUF膜法による注射用水製造装置の提案・受注強化」というのがある。これは何だろう。確かに、沿革の最初のほうには製薬業界への納入実績があったので、製薬業界にも超純水の需要があるみたいだ。

目標とする経営指標

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具体的な数値目標はないが、明快に前年度の営業利益率8.8%よりも改善していくことを打ち出している。営業利益率改善が同社のポリシー。

優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

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なんか、結構よさそうな会社の様な気がしてきた。

具体的な取り組みの状況等

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む、これは商社や代理店販売でなく、直販か直販に近い販売形態なのかな。需要先の近くに営業拠点を出していっている。

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今、大口を獲得できている半導体、製薬業界だけでなく、新たな領域での収益源の獲得も目指している、と。隙がない会社のように思えるが。

昨年の8月に、コロナ直撃の年度にもかかわらず、中期経営計画を出している。

2020.08.11
「中期経営計画 HiPES-2023」の策定に関するお知らせ(2,244KB)

Ullet の「対処すべき課題」は有価証券報告書がベースなので、昨年の5月に出されたもの。なので、この中期経営計画の方が新しく、同社の見解がどのように変わったかが一つの注目点。

営業利益率については

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明快に「10%以上を重要業績評価指標」と打ち出した。こういうちょっとしたところが重要だと筆者は思っている。

そして、同社は今年の2月に個人投資家向けオンライン説明会を開催していた。リアルタイムで参加したかった。そのときの資料へのリンク。

2021.02.25
合同個人投資家Webセミナー資料(8,616KB)

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わかりやすい。

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以下、それぞれの業界で超純水がどのように役立っているのかの説明がある。わかりやすい。

あと、八巻社長のインタビューがある。同社に関心を持った方はこれも読んでおいたほうがよい。これは昨年8月に出した中期経営計画を受けて丸三証券がインタビューをして10月に出されたもの。

2020.10.01
『丸三レポート(丸三証券発行)2020年10月号』トップインタビュー(1,954KB)

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明日、月曜の寄り付きは値が飛びそうなのが悩ましいが、持たない手はないと思っている。

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