個人投資家として「統合報告書」にどう付き合っていくか問題についての参考情報源(第2版)

このテーマの第1版では、最初に金融庁に誘導されてしまったために質の高い情報にたどり着くまでに時間がかかってしまった。第2版では情報源へのリンク先を必要最小限に絞ることとして4つだけにした。

現在、上場企業が「統合報告書」を作成するにあたり日本語文献で一番参照しているのは、どうやら経産省のサイトの、”企業と投資家との対話の「共通言語」として策定された”「価値協創ガイダンス」であることがわかってきた。以下が今現在どの企業にも参照されているはずの「価値協創ガイダンス」とその解説である。

価値協創ガイダンス解説資料(pdfファイル 39頁)

で、今年の5月末から経産省の「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)」が5月から立ち上がり月に1~2回会合を重ねて、「価値協創ガイダンス」を今年の11月末までを目途に改訂中であることがわかった。

経済産業省は、2017年に、「伊藤レポート2.0」(※4)の発表と併せて、中長期の価値創造の立場からの価値創造ストーリーに関する情報開示・対話のフレームワークとして『価値協創ガイダンス」』を策定し、企業と投資家の対話を促進してきましたが、実質化検討会において指摘されたように、実質的な対話に向けた課題は、引き続き存在しています。
そのため、本研究会では、実質化検討会で提唱された企業のサステナビリティと社会のサステナビリティの同期化など「SX」の考え方を踏まえて、企業の長期経営や投資家の長期投資、それに伴う具体的な対話の課題や在り方を明確にします。また、その要素を『価値協創ガイダンス』に反映させることで、『価値協創ガイダンス』を、「SX」を踏まえた企業と投資家の対話や統合的な情報開示のフレームワークとして改訂するための検討を行います。
また、実質化検討会では、対話の実質化に向けたもう一つの課題として、対話の手法や対話そのものに対する企業間の認識のギャップが指摘され、それを改善するために実質的な対話の要素を整理しました。本研究会では、こうした要素についても整理を行った上で、同ガイダンスの改訂の検討を行います。
なお、本研究会の立ち上げと合わせて、非財務情報及びその指針に関する世界的な動向に関する情報の共有を行いながら、質の高い非財務情報の開示を実現する指針のあるべき方向性を検討するため、「非財務情報の開示指針研究会」も立ち上げる予定です。

上4つが政策作成サイドの情報源。最後の2つの毎月の議論の内容を読んでおけば、「統合報告書」がどんなものになっていくのかがわかる。おそらく、「統合報告書」を読むことは、株式投資家にとって必要な作業になってくるだろうな、また、「統合報告書」を出す企業の方が、出さない企業よりも株価が上がりやすくなるだろうな、というのが今の仮説である。従って、「統合報告書」の要点をどう素早く読み取るかのノウハウの蓄積が大事になってくると思う。そういう前提に立ちながら、自分が保有している会社が既に「統合報告書」を出していたら、読むようにしていきたい。

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