MonotaRo(3064)に関するメモ(1)

ミスミGについてのメモを書いたので、比較の意味で MonotaRo についても調べておこう。その理由は、例えば、会社四季報だと

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比較会社として、ミスミGがアスクルより先に来るからである。つまり、ビジネスが似ているのである。

【特色】工場・工事用間接資材のネット通販。同分野の米国大手が親会社。個人と小規模業者が主な顧客【連結事業】工場用間接資材販売100 <20・12>

ただ、ミスミGはメーカー機能を持っているのに対して、MonotaRo は基本的には流通業者である(最近はOEM製品を受けて、プライベートブランド品を増やしてはいる)。

同社について語るには、まず年足から見るのがいいのではないかと思う。

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2008年の株式分割等調整後の安値14円からすると、今年1月につけた上場来高値 6940円は500倍弱という驚異のパフォーマンスである。どういう業績だとこのようなチャートになるのか。

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凄いの一言。上場来連続二桁売上増を続け、営業利益率は7期連続二桁見込み、ROEは上場来ずっと二桁で今期は4期連続で30%台着地を見込む。2006年の上場時から一度も赤字はなく、減益になったのもリーマンショックの2009年12月期だけである。東日本大震災の年も増収増益となっている。

資本異動も四季報ONLINEで見てみる。

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2011年8月から2021年3月までの間に1:2の株式分割を5回、すなわち、2011.08の株主分割前からの長期保有者の株数は2の5乗すなわち32倍に増えているわけ。

また、年足のチャートは株価の推移のみで配当は含んでなく、基本的に実質増配の年度が多いので長期株主はチャートの伸びもそうだが、毎年の配当金の伸びも享受している。このような企業を長期に保有できればおいしいのである。

会社のIR情報の公式ページで3/29日に発表された有価証券報告書より。

会社の基本方針

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日本では大成功を果たし、そのビジネスモデルを使って海外ビジネスも展開する、と。

目標とする経営指標

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長期に株価が伸びる会社は、営業利益率、ROE を重視しているところが多いというのが筆者の感覚である(統計的な事実ではない。ただ、大川智宏氏の分析に近いものがあったと思う)。

中長期的な経営戦略

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はっきりとは書いていないが、ミスミG が meviy で対応可能にした図面品についての対応はできていないと思われる。MonotaRo で購入可能なのはほとんど標準品ということだろう。ミスミGによれば、図面品と標準品の割合はほぼ半々ということになっている。

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この辺りは、ちょっと抽象的である。

優先的に対処すべき事業上および財務上の課題としては次の5つが上がっている。1,新規顧客の獲得と顧客生涯価値の向上 2,顧客需要充足と利益率の双方を意識した商品マネジメント 3,より精度の高いデータベースマーケティングと商品検索性の提供 4, 成長の基盤となる物流インフラの強化 5,海外事業の推進。それぞれについて見てみよう。

1,新規顧客の獲得と顧客生涯価値の向上

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結局、購買履歴と検索履歴からの推論に頼るビジネス。

2,顧客需要充足と利益率の双方を意識した商品マネジメント

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ロングテール商材の在庫を持つように取れるので、利益率はそれについては悪くなるので、難しいチャレンジである。

3,より精度の高いデータベースマーケティングと商品検索性の提供

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ここも、結構抽象的。

4, 成長の基盤となる物流インフラの強化 

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ここはかなり具体的に書いてあり、毎年物流センターを増設していくことになっている。

5,海外事業の推進

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海外は、まだ、韓国とインドネシア、インドだけであり、グローバル企業への道は遠い。

筆者は、かなり、ミスミGの meviy の革新性にバイアスがかかっているので、MonotaRo のビジネスが陳腐化しているように見えてしまう。しかしながら、業績の履歴にあるように、同社は基本的に毎年二桁の成長を続けている。そこを肝にとどめて、両社はともに月次売上を開示しているので注意深く今後比較していきたい。

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