HBMが来るならTOWA(6315)でしょ

米国マイクロンの株価が21日急騰した。

この急騰の原因はどうやら同社がエヌビディアの生成AI用GPU向けの高スペックなメモリー(HBM = High Bandwidth Memory,)を量産化することにあったようだ。

エヌビディアは、HBM3Eを第2・四半期の出荷開始が見込まれる次世代GPU(画像処理半導体)「H200」に採用する。同社のサプライヤーであるSKハイニックスがAI向けHBM需要を主導している。
ムーア・インサイツ&ストラテジーのアナリスト、アンシェル・サグ氏は「SKハイニックスはすでに2024年の在庫を完売しているため、別の供給元はAMDやインテル、エヌビディアといったメーカーによるGPUの生産規模拡大に資するだろう」と述べ

Reuters

上記に出てくるSKハイニックスは韓国のメモリーチップメーカー。

さて、以上の前提知識を踏まえたうえで、TOWA の2Q決算説明資料でどのくらいHBMに言及しているか見てみよう。

2024年3月期 第2四半期決算説明資料 (pdfファイル)

このPDFファイルを開いて「Ctr + F] キーを押すと検索小窓が立ち上がる。そこで「HBM」で検索するとこの決算説明資料で17語HBMという単語が使われていることがわかる。いくつか引用してみよう。

受注⾼は、前期の4Qを底に中国での半導体内製化に向けた投資の再加速や、⽣ 成AI関連向けのHBMや2.5Dパッケージ向け投資の増加により、今期1Q、2Qと 回復が進みました。

TOWA2Q決算説明資料

韓国地域において、HBMや2.5Dパッケージ向け装置の受注が急増したことから、 2Qの受注が大幅に改善いたしました。

同上

投資が増加してきているHBMや2.5Dパッケージなど⽣成AI関連向け装置 需要は2024〜2025年にかけて本格化すると⾒込んでいます。 2025年3月期は⽣成AI関連向け装置納⼊の本格化や⺠⽣品向け投資の再開に伴 い、業績回復を⾒込んでおり、第⼀次中期経営計画の売上⾼600億円、営業利益 126億円を目指して、取り組んでまいります。

同上

⽣成AIの普及に向けて、今期2QよりHBM(超広域帯メモリ)向けや2.5Dパッ ケージ向けにコンプレッション装置の受注が大幅に増加しました。コンプレッ ション装置の受注⾼は今期の上期だけで、前期通期の受注⾼を超過いたしました。 TOWA独⾃のコンプレッション技術は樹脂流動がないため、チップやワイヤの ダメージがなく、薄型、積層、モジュール化されたパッケージに最適な技術です。 また、基板を樹脂に漬け込む独⾃の方式により、狭ギャップへの樹脂充填も可能 な技術となっています。 HBM⽣産時の優位性については、次のスライドで説明いたします。

同上

⽣成AI⽤半導体に必須となる最新HBMの⽣産に当社コンプレッション装置が採 ⽤されている理由について、簡単にご説明いたします。 通常のDRAM製品に⽐べ、HBM製品は積層化が進んでいることや狭ギャップ成 形が求められています。 前のページでも述べたように、コンプレッション技術は積層されたチップの成形 や狭ギャップ間への樹脂充填に対応可能な技術となっていることから、 HBM⽣産⽤モールディング装置にはTOWAのWLP(ウエハーレベルパッケー ジ)向けコンプレッション装置が採⽤されています。

同上

どうやら、同社のビジネスにとって、HBMを量産する会社が増えるのは追い風になるらしい。この記事で紹介したロイター電は、米国マイクロンが韓国勢に続いてエヌビディアの生成AI半導体用のHBMを量産するという記事であった。

で、TOWA はどんな製品を出しているのかというと、昨年の9月に出た同社リリース記事が参考になる。

3.生成AI向けメモリ半導体とTOWA独自のコンプレッション技術について 生成AI向け半導体などのチップレット製品で、必ず使用される超広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)は複数のチップが積層された構造ですが、チップ間の非常に狭い積層空間に樹脂を均一に充填させる技術が必要です。特に最先端のHBMは、これまで以上に高い樹脂充填技術が求められており、この課題を解決できる当社のコンプレッション装置「CPM1080」が、今話題となっている生成AI向けHBMの業界初の量産装置として生産採用されています。今後、生成AI向け半導体など、チップレット製品の増加にともないHBMの需要が増えると予想され、当社コンプレッション装置の需要も拡大が見込まれます。
4.引き合い状況について YPM1250-EPQについては、大手半導体メーカーから引き合いがあり、2024年3月期中の受注を予定しています。また、HBM向けのコンプレッション装置「CPM1080」については、既にお客様の工場で量産設備としてご利用頂いており、2024年3月期の後半から年間10~20台の売上を見込んでおります。
5.2024年3月期業績への影響について YPM1250-EPQ及びHBM向けCPM1080の需要拡大については、現時点では2024年3月期の後半を見込んでおり、今期連結業績への影響は軽微です。今後開示すべき事項が発生しましたら速やかにお知らせいたします。

www.towajapan.co.jp

では、同社の四半期業績を見てみる。今期は通期で減収減益の会社見込みだが、直近の第3四半期は増益に転じている。


株探 TOWA 四半期業績

四季報春号(四季報オンライン) によれば、同社の2025年3月期の営業増益率は50%を超え最高益更新との予想になっている。

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