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ファンドによる買収の実態|M&A BANK Vol.152

ファンドはどうやって案件を探す?

島袋
本日も、日本創生投資の三戸政和さんに来ていただいています。
今回は、ファンドで案件を探されるときのことをうかがっていきたいと思います。

三戸
仲介とかFAとか銀行さんとか証券とか、いわゆる「M&Aやってます」というところはだいたい行ってますね。

島袋
なるほど。1000人ぐらいの起業家にお会いになったというお話でしたが、会社のどういうところを見るんですか?

三戸
起業家を見るときと近いんですけど、まずは1番最初にチームを見ますね。オーナーがいなくなってもちゃんと回っていくチームになっているかどうか。
それがちゃんとできていれば、まず第1段階はOKかなと。

実際に我々が組織に入ってからソリが合わないとか考え方が合わないということが出てくると、やっぱりしんどくなっちゃいます。
これまでのやり方を多少変えていくことも出てくるので、そういう時に信頼関係を構築できるようなチームがいいですね。
もちろん我々も信頼関係を作れるようにしていくんですが、まずそもそもチームが向いている方向が違う状態だと、ちょっと難しいところはあります。

あとは、我々はそんなに業種業態にこだわっていないので、当たり前の経営管理を当たり前にやっていきましょうねと言うことが多いです。

もしくは、私のキャリアの中でウェブビジネスはそれなりにやっていきているので、ウェブを入れていくとバリューアップしやすいとか、そういうことを上乗せして考えることはありますね。


ファンドのPMIはえげつない?

島袋
事業会社に買われた場合、事業シナジーが生まれるように買った側がPMIを始めて、だんだんその色に染まっていくと思うんですが、ファンドが買った場合は、買ったあとはどうするくんですか?

三戸
基本的にはこれまでとあまり変わりなくやっていますよ。それは事業会社が買っても一緒です。
これまでのやり方をいきなり変えちゃうと、それがいいことであれ悪いことであれやっぱり反発が生まれるので、基本的にはこれまで通りやってください、という方針ですね。
それで半年とか1年が経って、自分たちもそれなりに事業の中身を理解してきて信頼関係が構築できた時に、「僕だったらこうやると思いますけどどうですか?」「たしかに三戸が言うんだったらそうだよね」というレベルで変わっていくことです。いきなり俺色に染めるようなやり方はしないですね。
これまでと同じやり方の中で、我々のできるところはお手伝いしていきます、というところから始まっていく感じです。

島袋
そうなんですね、やっぱり買い手の方のそういう姿勢は大事ですよね。

三戸さんにまだまだお話を伺いたちところですが、残念ながらお時間になってしまいました。
三戸さん、今回はご出演どうもありがとうございました!


出演者

■三戸 政和:株式会社日本創生投資-代表取締役社長

日本最大級のベンチャーキャピタルにて国内外の投資先の経営に参画。その後、兵庫県議会議員を務める。2016年に中小企業向けの事業承継・事業再生専門の投資ファンドである日本創生投資を創業。ロンドンにて会社を立ち上げ、従業員へ事業を引き継いだ経験も。2018年、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」を出版。

【株式会社日本創生投資とは】

「地方創生」「中小企業」「事業承継・事業再生」をキーワードに設立された投資ファンド。ベンチャーキャピタルやバイアウトファンド出身のメンバーで構成される。金融機関への借入返済がリスケ状態となり、事業価値が毀損している企業の抜本改革を得意とする。

■島袋直樹:IdeaLink株式会社-代表取締役

シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。