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売り手が知っておくべきM&A業界の闇—実例から学ぶM&Aノウハウ⑪

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M&Aは一筋縄ではいかないもの。
どんなトラブルが起こりうるのか、どうすれば対処できるのか?
これからM&Aにのぞむ皆様に、リアルな「経験者の教訓」をお届けする連載です。

各案件に深く携わってきた売り手支援のプロ・宮崎氏に解説いただきます。

宮崎淳平 株式会社ブルームキャピタル 代表取締役社長
ライブドアグループ、株式会社セプテーニ・ホールディングス、株式会社社楽にてM&Aアドバイザリー業に従事。その他にもプライベートエクイティ投資案件、資金調達案件、及びファンド組成・運営を多数経験。2012年にブルームキャピタルを創業。同社は会社売却に特化した日本随一のファームとして知られている。『会社売却とバイアウト実務のすべて』著者。
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メジャーな"仲介型"支援の落とし穴


売り手の方にとってはショックな事実ですが、M&A事業者の中には、自らの利益最大化にフォーカスを当てて行動するような人物もいます。
売り手であるあなたにアプローチしてきた人が、あなたにとって本当の意味でいい取引となるように動いてくれるとは限らないのです。



特に、買い手と売り手を引き合わせ、両者から手数料を受け取る仲介型の事業者の場合、買い手の希望に寄せて交渉を成立させようというインセンティブが働きやすいという事実は常に頭に置いておいた方が良いでしょう。

仲介型事業者が買い手優位になるようにディールを進めてしまいやすいのには、以下のような理由があります。

1.買い手は継続顧客になる可能性がより高い
買い手は売り手に比べて短期間に何度もM&A取引をすることが多く、継続顧客になる可能性が高いため、買い手の満足度をより重視する形になりやすい

2.経験豊富な買い手は多少のサービスでは満足できない
M&A経験豊富な買い手は「紹介」以外のM&A実務を自社でできることが多いため、仲介会社に対して「金払ってるんだから、よりよい条件で交渉できるように調整してよ」と要求することがあり、仲介としては応えざるを得ない

3.「知識・経験の少ない売り手」は「買い手」に比べ説得しやすい
1.により、売り手が「本来M&A取引で大前提として知っておくべきこと」を知らない場合も、買い手の損に繋がるような売り手への助言はしにくい。
そのため、仲介の言われたことを信じるしかない売り手を説得する方向に動きやすい

  

上記のような事情があるため、仲介型事業者にとって、売り手側に利する形に話を進めるメリットは小さく、リスクはかなり大きいのです。


そのため、仲介型業者には

・1件1件のディールに深入りせず、できるだけ少ないコストで多くのM&Aを成立させること

・買い手側と別案件でも継続取引できること

にインセンティブが働く傾向があります。





仲介型事業者の存在感が強い理由


ある程度の規模まで会社を育て上げた有能な経営者の7割程は、仲介型事業者(両手取り)へM&A支援を依頼すると売り手が不利になることに気づき、アドバイザー型事業者(片手取り)への依頼を検討するようになります。
しかし、地方の中小・中堅企業等では、仲介からアプローチされ、すすめられるままに売却してしまっているケースが多いと思われます。


日本のM&A業界で仲介型の方が活況になっているのには、下記のような理由があります。


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