売り手が知っておくべきM&A業界の闇—実例から学ぶM&Aノウハウ⑪
M&Aは一筋縄ではいかないもの。
どんなトラブルが起こりうるのか、どうすれば対処できるのか?
これからM&Aにのぞむ皆様に、リアルな「経験者の教訓」をお届けする連載です。
各案件に深く携わってきた売り手支援のプロ・宮崎氏に解説いただきます。
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メジャーな"仲介型"支援の落とし穴
売り手の方にとってはショックな事実ですが、M&A事業者の中には、自らの利益最大化にフォーカスを当てて行動するような人物もいます。
売り手であるあなたにアプローチしてきた人が、あなたにとって本当の意味でいい取引となるように動いてくれるとは限らないのです。
特に、買い手と売り手を引き合わせ、両者から手数料を受け取る仲介型の事業者の場合、買い手の希望に寄せて交渉を成立させようというインセンティブが働きやすいという事実は常に頭に置いておいた方が良いでしょう。
仲介型事業者が買い手優位になるようにディールを進めてしまいやすいのには、以下のような理由があります。
上記のような事情があるため、仲介型事業者にとって、売り手側に利する形に話を進めるメリットは小さく、リスクはかなり大きいのです。
そのため、仲介型業者には
にインセンティブが働く傾向があります。
仲介型事業者の存在感が強い理由
ある程度の規模まで会社を育て上げた有能な経営者の7割程は、仲介型事業者(両手取り)へM&A支援を依頼すると売り手が不利になることに気づき、アドバイザー型事業者(片手取り)への依頼を検討するようになります。
しかし、地方の中小・中堅企業等では、仲介からアプローチされ、すすめられるままに売却してしまっているケースが多いと思われます。
日本のM&A業界で仲介型の方が活況になっているのには、下記のような理由があります。