経営歴20年!これまでの驚きの経営判断に迫る|Vol.237
初めての売却は、実はこの方のおかげ?!
島袋
今日はなんと、証券コード3690・東証マザーズ上場、株式会社YRGLM(イルグルム)の岩田社長に来ていただいています。いやー岩田さん、来ていただいてありがとうございます!
旧ロックオンですよね。僕も元々ネットのマーケティング業界にいたのでもちろん存じ上げてますし、いろいろお世話になってますよ。
岩田
ありがとうございます。
島袋
僕が前に売却したフランチャイズのマッチングサイト、実はEC-CUBEで100万円で作ったんですよ。
岩田
そうなんですね!
島袋
それが2億4000万円で売れまして。どうもありがとうございます!
岩田
ちょっといただかないといけないですね?
島袋
いや~それは!勘弁してください!(笑)
あの「ロックオン」の名前を捨てる理由って何?
島袋
では岩田さん、改めて自己紹介をお願いします。
岩田
株式会社ロックオン改め、株式会社イルグルムの代表取締役・岩田でございます。
元々この会社は私が学生時代に創業した会社でして、20期目になります。
今やっている事業は、先ほどお話しいただいたEコマースのオープンソース・EC-CUBEがひとつ、もう1つが広告の効果測定、最近はマーケティングの効果測定プラットフォームと言っているAD EBiS(アド・エビス)になります。
大きくこの2つが主軸の会社です。
2014年9月にマザーズに上場して、今もマザーズで事業を営んでいます。
島袋
僕、社名変更しなくてもよかったんじゃないかと思うんですけど。
だってロックオンって、AD EBiSとかですごく有名だったじゃないですか。
元の社名が好きだった人も多かったと思うんですが、何があったんですか!?
岩田
ははは。まあいろいろありまして…。
絶対変えないといけないわけではなかったんですが、これからグローバル展開を目指していくと考えたときに、商標の問題も出てきまして。
島袋
あー、なるほど。
岩田
となると、このタイミングで他にない会社名を付けて、次のステージにいこうと。
そういうことで社名変更を決めました。
島袋
社名変更は「世界に出ていくよ」という1つの意思表示でもあるということですね。
岩田
そうですね。でも社名変更ってけっこうパワーがいるんですよ。
やっぱり長年使ってきた社名でもありますし。一定の認知度、ブランド資産みたいなものも捨てて、新たに社名を作らないといけない。やっぱり、もっといい会社名を付けたいと思うわけですよね。
そうするといろいろなクリエイターの方にも一定額を払わないといけないし、社内でもいろいろな議論がありますし、商標登録もそうですが、それなりにいろんなコストがかかるんです。
島袋
特に上場企業ですし、投資家・株主向けにも必要ですよね。
岩田
株主総会を開かないといけないですからね。
島袋
そうなんですか!
岩田
勝手に社名は変えられないんですよ、株主総会決議事項になってますから。
なのでパワーがいるんですが、やっぱり何でも改善していかないといけないと思うので。
そういう意味ではトップの姿勢が出るわけです。
目先の利益じゃなく、この10倍以上を目指すからこそ、社名変更もやっていくぞと。
島袋
今日はイルグルムのTシャツも着られていますね。
岩田
そうなんです、新社名が「YRGLM(イルグルム)」と言うんですが、そもそも読めないという問題がありまして(笑)。
語源もないし、何かの頭文字を組み合わせてYRGLMになっているわけでもなく、アルファベット5つの組み合わせでたまたまできたのがこの社名なんです。
今回の株主総会でも、「辞書に載ってないんだけど」と言われたりして。(笑)
島袋
「辞書にはこれから載るんだ」ということですね。
岩田
そういうメッセージですね。
島袋
ないものを作っていくと。なるほどなぁ
過去の驚きの撤退。しかも、売却ではなく譲渡!
島袋
じゃあ次はM&Aについてちょっとお聞きしたいと思います。
2018年にアドレポを買収されてますよね。
上場されたのが2014年ですが、4年間はM&Aをしたいとは思わなかったんですか?
岩田
2社に対して20%のマイナー出資をしたことはありました。
ただ、それ以外の事業を買ったり会社を買ったりとかは一切なかったです。
もちろんやりたかったと言えばやりたかったんですけども、やっぱりM&AってM&Aをしたくてやるというよりも、そもそも事業をどう伸ばしていくかという方針がまずあって、時間を買うような感覚で実現を早める1つの手段としてM&Aが存在しますから、そういう意味ではそれまでの間はタイミングがなかったのかなと思っています。
島袋
しかも自社でいろいろサービス作れますからね。ウェブマーケ牛耳ってますし。
岩田
いや牛耳ってるわけではないんですが(笑)。
島袋
いやいや、ある意味牛耳ってますよ。効果測定の熾烈な争いの中で勝ち残っていてすごいですよ。
岩田
そうなるように事業戦略をちゃんと引いていかないといけないといけないんですよね。
実は2014年9月に上場したタイミングでは、マーケティング効果測定のAD EBiSと、EコマースのオープンソースEC-CUBEと、創業以来やっていたビジネスの受託開発事業の3つを組み合わせて売り上げを形成しているような状況でした。
でもやっぱり、3つもやっていると全部負ける可能性があってまずいよねということで、事業を1本に集中させようという話が出ました。
2015年の末か2016年の上旬だったと思います。それでマーケティングプラットフォームの効果測定領域に集中しようということになりました。
実は上場した直後くらいでマーケティングの環境が変わってきて、前年比売上高成長率が前年比で5%くらいしかなったんです。もうほぼ横ばい、もうちょっとしたら純減に転じるぐらいの状況になっていました。
Eコマースもほぼ同じ、受託開発はそもそもあまり伸びない状況だったので、その3つを並べてどれにしようか考えて、AD EBiSに集中することになったんです。
受託開発も売上は一定して3億くらいはあったんですが、そもそもやめようと。
島袋
えー!やめちゃうんですか!?
岩田
7年間かけて3億積み上げてきた事業なので、もったいないかなとは思ったんですが、そのままジリジリいってしまう可能性があるので、ここは思い切ってやめようと。
しかもやめるにも売り先を探すのに時間がかかるから、速やかにやめようということになって、もらってくれる会社を探していたんですね。
島袋
言ってくださいよ!たくさんいますよ!
岩田
言ったらよかったですね。(笑)
でも、もらってくれるとは言っても安心してわたせるところじゃないといけないですからね。我々が長年かけて取引いただいてEコマーズのコアの部分をやっているわけですから、「他社に譲りました、あとは知りません!」とは言えません。
それで、信頼できそうなところを確保するために資本業務提携をして、我々も20%くらい株を持たせていただいて、取締役を派遣して、ある程度安心な環境を作ろうとしました。
それが最初に申し上げた、20%出資していた会社なんですね。
そこに売ったわけではなくて、事業3億弱くらいをそのまま譲渡して、人だけ送り込ませていただいて、しばらくその事業をやっていました。
島袋
それはすごいですね。
岩田
関連会社になりますね。譲渡するというよりは、20%出して一定期間やっていた感じです。
ただ本体としては請負事業がいったんなくなって会社としてはかなりシンプルになってきてよかったねと。
次に外に出したのがEC-CUBEです。これも続けていると話がややこしくなってきたんですね。島袋
岩田さんちょっと待った!このお話はまた次回にいただきたいですね。
岩田
わかりました(笑)。
島袋
これは面白い。ぜひ次回じっくり聞かせてください!
それでは今回はここまでです。次回もどうぞお楽しみに!
【出演者情報】
■岩田 進:株式会社イルグルム-代表取締役
1997年、関西学院大学を休学し、バックパッカーで東南アジア、北米を旅する。飲食店経営、旅行ビジネスでの起業を経て、2001年有限会社ロックオンを設立し、代表取締役へ就任。卒業翌年に有限会社ロックオンを株式会社化。2019年に社名を「株式会社イルグルム」に変更。
■島袋直樹:M&A BANK株式会社-取締役会長
シリアルアントレプレナー。26歳でインターネット広告代理店を創業、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運営を主体とするIdeaLink株式会社を創業。2017年12月、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡し、2018年3月よりM&A BANKの運営を開始。「事業は創って売る」をモットーとする。「会社は伸びてるときに売りなさい。」の著者。
(M&A BANK YouTubeチャンネル)
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