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演技考察(1) 演技をするとはどういうこと?

note投稿150日チャレンジ、117日目。

どうやったら演技が上手くなるのか、整理をしている。

来月のレッスンでCMオーディション対策講座の座学の講義をすることになっていて、
今までの体験ベースの学びを体系化して言語化する良い機会になっている。


演技は大きく分けると、4つの表現で成り立っている。

・感情表現
・キャラクター表現
・身体表現
・セリフ表現

セリフの表現以外は、身体性が大きく関係している。
(厳密に言えばセリフの発声にも身体は大きく関係している)

身体をフル活用した感情表現や、キャラクター表現は
観る人に大きなインパクトを与えるものであり、そこへの探究は俳優にとってとても大事な事である。
そう信じて私も生涯かけて学んでいるところだ。

身体を媒体とした表現方法は、技術が伴うもので習得には時間がかかるものだけど、安定した演技力を身につけたいのであれば
身体を使った表現を意識することを、ぜひオススメしたい。


また、演技を表現する時は、外側と内側の2つの作業がある。

外側の作業は、
お客さんの目に見えるもの、聞こえるもので上記4つの表現だ。
とてもテクニカルな要素が強いともいえる。
多くの演劇学校や劇団などで体系的に演技を教わるのは、
この演技の外側の作業のことを指していることが多いだろう。


演技の内側の作業というのは、とても感覚的な内容だ。
人それぞれのとらえ方に違いが出てくるものなので、意味が伝えづらいという前置きをしたうえで説明すると、自身の心の扱い方のことを指す。

俳優は、俳優自身の心と相手役などの心も扱う専門家であることから、
自身の心と柔軟に向き合う事が大切だと思っている。

柔軟に心と向き合うとは、
自分の感情を素直に感じ取ることだ。
「いま、私はどんな感情なのか」を、言語化できることが望ましい。
そして、実際に言語化をしてみると、なかなか難しいことが分かる。

普段から何気なく生活をしていたり、抑圧した社会や環境の中で生活している事に慣れてしまうと
いまの私はどんな気持ちなのかを的確に言語化することが出来なくなる。
メタ的に自分のことを観察して、気持ちを言葉にすることは
俳優の演技トレーニングには欠かせないものだ。

自身の気持ちを欺いたり、感情にフタをしたり、本来感じている感情とは違う感情に置き換えて発信している事に慣れてしまうと、
実際に演技をする状況になった時に、俳優の外側の表現と、内側の気持ちが
ちぐはぐになって表現のコントロールが難しくなる。

例えば、心では悲しいと思っていても、外側で見える表現では、心から悲しそうとは見えないという現象が起きてしまう。クセみたいなものが出る。
または、型として演技を捉えて、そのような感情を感じ取る前に、強引に形にしてしまう。
テクニカルに外側を悲しく見せる事は、練習を重ねれば見えてしまう。
しかし、その演技にはリアリティがあるかというと疑問だ。

一般的に使われている「演技をする」という言葉の意味は、こうした人の内側と外側の不一致を起こしている状態を意味していることが多いけど、本来の「演技をする」という意味からは大きくかけ離れている。
本来の演技をするという意味は、人の内側の気持ちと、外側の表現が一致をしていることだ。

俳優は、日頃からメタ認知として自身の心と向き合って
今の気持ちを理解して解像度を上げていくことも大切だ。
素直さって、必要だと思っています。


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