汝、星のごとく

予約していた人気作がやっと読めたシリーズです

本を予約することの悪い(?)ところ

このシリーズの嫌なところは
予約する度に考えずにはいられない
命の有限性

予約を完了させ 一旦は
"いつかは読める"(約束をとりつけた)
と安堵するが

同時に 果てしない予約者数を見て
その頃自分は何をしているだろう
どんな環境にいて どんなことを感じ
どんなタイミングで
それを読むことになるんだろうと思う

いや 変に濁す必要はないな

本当にその未来はあるのか
あるとして
果たして僕はそこで生きているだろうか 
と思うのだ

毎日
当たり前のようにやってくると思っている"明日"が
"未来"になると
突然不安定に感じられる

(別に悪いことではなかったかな)

そして しばらくはこの本が自分の手元に周ってくることはないなと
その本のことは忘れて 他のことを考える日々に戻る
(だって 平気で一年とかかかるんだもの)

本を予約することの良いところ

そしてこのシリーズの良いところ
それは なんつったって 
突然のプレゼント感よ

忘れた頃に届く通知
(本が確保されるとメールが届くようにしている)
単純に超うれしいよね
誕生日でもないのにサプライズプレゼントだ

でも今みたいに 
村上春樹とオウム真理教関連の本を読み漁ってるタイミングだと ちとキツイ

…てのは贅沢な悩みで
まだまだ予約待ちの人がたくさんいるので
早く読んで返す

哀しみの涙 そして やさしさ

返却に関しては何の心配もいらなかった
終盤のある哀しすぎる展開以降 
最後まで本を置くことができなくなったからだ

僕はこの展開で
久々に哀しくて哀しくて涙が止まらなかった
嘘ではなく 子どものようにうぇんうぇんと泣いた
自分のそのような感情は 予期していなかったし
抑えることができなかった
そして とても嫌な気持ちになった

どうしてこんなことに・・・
どうしてこんなにうまくいかないの・・・

(でも さて自分の人生を振り返ると そうだよな
選択を迫られた時に 毎回それが自分の望み通りだったか 最良だと思えたか 幸せだったか 哀しくはなかったか 嫌ではなかったか 嫌で嫌でたまらなくても どうしようもないと感じたことはないか ある ある あるあるあるあるある 哀しいけどある それでも生きてきたのだ 生きていける限り そしてこれからも できるならそうしたい だって彼らをみてごらん)

自分が ここまで物語に没入し
登場人物に感情移入していることにも驚いたし
それだけ辛かった
もう読みたくないとさえ思った

でも読み進めた
単純に彼らのことが気になったから
彼らは僕にとって そういう存在になってしまった

(してやられている
凪良ゆうさん 良い作家さんだ)

決して哀しみに持っていかれた訳ではない
それはもっと複雑な感情だ
でも一番の動機は
彼らに幸せになって欲しいという願いだ
それが見たくて見たくて読み進めた

そしてまた何度もうぇんうぇん泣いた
その後は ただただ やさしさにやられた

物語に感動した時に思う
良い物語には作者のやさしい眼差しがあると
重要なのは作家としての技術ではない
(もちろんこれも大事だが確実に一番ではない)

こんな物語が綴れるなんて
凪良さんって一体どんな人なんだろう
当然 個人的には何も知らない人だけど
その人を構成する 
"やさしさ"の成分を知ることができる

この説得力はすごい

物語を通じて 自分を表現する
いや生きることができるんだな

素敵だし 同時に
これまでどんな哀しみを通りすぎてきたんだろうとも考える(通りすぎた=過去形 のかどうかもわからない)

ここにある 哀しみ や やさしさは
確実に彼女の中を経たものなのだから

凪良さんの作品は (ミーハーだが)
『流浪の月』が大好きで 読んだ後 文庫を購入してしまった(装丁も好き)

そして今回 早速
『汝、星のごとし』のスピンオフ短編集
『星を編む』の予約をした
(奇しくも本屋大賞が発表されたばかりでしたね)

予約者数 300件超え・・・

またしばらく 彼らのことを忘れた日々がやってくる

でも またすぐに会いたいな

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