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パフォーマンス・音楽・アートの扉_culture

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身体という物質性、知覚の直接性に興味があります。 目と耳、そして皮膚感覚。 それら刺激に満ちた世界。
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【美術評】 マヤ・ワタナベ 《Suspended States 滞留》 Part.2 『停滞』

本稿は マヤ・ワタナベ『Suspended States 滞留』Part.1『崩壊』の続編です。 マヤ・ワタナベ『停滞』9分ループ(2018) Covid19による都市閉鎖、自主隔離、自由な往来の制限といった行動抑制は、二項対立〈生存/非生存〉における二者択一という選択である。その状況においてわたしたちは、行動抑制による〈生存〉を選択したのだ。生存という生の持続のためのある種の選択の要請。戦後、とりわけ日本において、このような生の選択を迫られることがあっただろうか。 こ

【美術評】 マヤ・ワタナベ 《Suspended States 滞留》 Part.1 『崩壊』

マヤ・ワタナベ『崩壊』9分ループ(2017) 映像インスタレーション 本作の映像インスタレーションは生と死へと向ける視点への接近なのだが、見ること自体への言及でもある。世界は視線によって分節化され、そのことで世界は意味の存在を現し、視線によって世界は解体される。 “マクロ” と “ミクロ” を同時に見ることはできないということ。 この稿では、本作を、眼・見ることの観点から述べてみたい。 “表/裏” 二面のスクリーン。”表/裏” と言っても、どちらが表なのか裏なのかは意味