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マモの剣-第二章 遥かなる敵-第六部-初めての戦い-

 マーモスと聡明は人間が住む村にいた。マーモスはかつて、人間から剣を奪ったことがあるだけあって、人間の村のことはだいたい把握していた。マーモスはこれまでの聡明の話を聞いて、ターゲットをマーモットを連れ去り、闇市で売り捌くブローカーに狙いを定めた。マーモスと聡明は村の市場に忍び込んだ。キッキとくい坊を連れ去ったブローカーがいつものように、珍しい動物を売っていた。夕方になると、ブローカーが、「ちぇっ、今日はさっぱり売れなかったな」と小言を言いながら、帰り支度をしていた。ブローカーがトラックに、珍しい動物が入った檻を乗せたあと、運転席に乗り込もうとした瞬間だった。マーモスに「行けっ」と合図され、聡明が剣の先を斜め下に向けて、ブローカー目掛けて走っていった。ブローカーが剣を持って走ってくるマーモットに気が付き、両腕を頭に置いてしゃがみ込んだ。次の瞬間、聡明は、剣を持ち上げ、勢いよくブローカーに振り下ろし、ブローカーの腕を斬りつけた。聡明の力が弱く、ブローカーは軽く腕を切っただけだったが、ブローカーは、腹を立て、聡明を思いっきり蹴飛ばした。聡明は空を飛んで草むらに倒れた。ブローカーは「ちきしょう」と言いながら、トラックに乗り込み走り去って行った。マーモスが聡明のところまで、走っていき、頭をお越した。聡明は「マーモスさん、やりましたよ」と言って気を失った。剣を持ったマーモットが人間を襲ったという噂はたちまち広がり、これを機に人間はマーモットに警戒心を抱くようになった。聡明にとっては人間との最初の戦いであった。

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